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クリエイティブな生活

 

NYは先週からの約一週間、世界中からアート関係者が集結して、マンハッタンの約10カ所以上で大小のアートフェアがくり広げられた。いわば、アート三昧の一週間。夫アダムのアーティスト仲間や、彼が所属しているギャラリーオーナたちも集まり、新たな仕事や人脈が広がっていく場にもなった。

 

大規模なアートフェアは、どの会場も入り口から長蛇の列。1か所の入場料が55ドル前後と決して安いとはいえないけれど、会場には、小さな子どもから人生の大先輩の方まで、様々な人が集まっていた。人々の日常の生活の中でいかにアートが溶け込んでいるか、アートというものに対していかに価値をおいているかが伺える。もちろん、会場に顔を出しているのはニューヨーカーだけでない。ヨーロッパやアジアを始め世界中のコレクターたちも、この日のためにNYに来ている。だから、場内は耳にしたことがないような言葉がたくさん飛びかう。アートから放たれるエネルギーと、いい作品をみつけたいというコレクターや関係者たちの熱気に圧倒されて、わたしは毎年、熱が出そうになる(笑)。  

 

今回のアートフェアで、友人のお母さんが創作した2枚の作品がコレクターのもとへと行くことになった。彼女は60年代から70年代にかけてソーホー地区で活躍していたアーティストだ。アート好きな人がみんな名前を知っているような存在ではないものの、彼女にはファンやコレクターが存在する。アートフェアでは、一般公開される前日、VIP向けに特別に作品を観て買う事ができる日が設けられている。友人のお母さんの作品は、その一般公開前日の1日で2枚の作品に買い手がみつかった。その額、日本円にして4900万円超え! アートの価値を分かる人たちは、世界中に存在している。今まで世の中に存在していなかったものをクリエイトして生み出していくアーティスト。そして、その作品に価値を見いだし、購入してクリエイティブな生活を送る人々。生活にアートが入るだけで、日々の日常が変わっていく。絵画、彫刻、音楽、お芝居、映画、写真、あげると切りがないほど私たちの生活は様々な分野のアートで溢れている。クリエイティブな生活は、人生を豊かにしてくれる宝物。新しい考え方や楽しさ、新しい生き方のインスピレーションを、私たちに運んできてくれる。

(日刊サン 2018.03.14)

 

大森 千寿

香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。 www.chizuomori.com