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NYの自宅に戻りはや1週間。相変わらず、この街はものすごいスピードの波に乗って時間や物事が進んでいる。高松から戻ってくると尚更。2倍、いや3倍の時間のスピードの違いを感じる。

 

5月に新しいアパートへ引っ越しをしようかと考えていて、昨日はネット、クレイグズリストで見つけたアパートを試しに内覧してきた。場所はマンハッタンの北にある、アッパーウエストサイド。地下鉄の便もいいし、コロンビア大学とリンカーンセンターの間にあり、落ち着いた風情ある空気感が漂っている場所。アパートは、築100年を超える戦前に建てられたブラウンストーン建築。内装は、細かい細工の施された暖炉や木で創られた出窓の窓枠も当時のまま。そして、セントラルパークからは徒歩1分という抜群のロケーション。家賃の高さ以外は、どこも文句のつけどころのない素晴らしい物件だ。

 

アパートから出てすぐの大通りでは、世界中からの観光客を乗せた美しい馬車がパカパカと蹄の音を立てながら、優雅に行き来をしている。そして、ヨーコ・オノが住むダコタアパートと同じブロックにあるというあたりが、NYらしい。マンハッタンでは、世界的有名人と一般人が、近くで共存している面白い街だとつくづく思う。小さなまち出身の私からしたら、夢を見させてくれる最高のロケーション。そして、この街には、すでに「夢を叶えてきた人たち」が多く住んでいる。アパートを見た後は、地下鉄に乗ってブルックリンのブッシュウィックに移動。友人アーティストのヒデキが参加している、グループ展のパーティーに伺った。

 

マンハッタンのアッパーウエストサイドからは地下鉄で約30分程。たった30分で世界がまるっきり変わる。時間の流れも変わる。スピード感も違う。ブッシュウィックは、倉庫や工場が多く、アーティストのアトリエにもってこいの広いロフトスペースが手に入る。そのため、近年若手アーティストに人気の地域で、街中がクリエイティブで新しい何かが生まれそうな独特の雰囲気を漂わせている。これから、「夢を掴もうとしている人たち」が多く住んでいる街。アッパーウエストサイドの「夢を叶えてきた街」と、ブッシュウィックの「夢を掴もうとしている街」。真逆なタイプの2つの街だけれど、どちらも人々の生きるエネルギーに湧いている。NYに居ると、「夢」と向き合う時間が増える。ここは、夢を叶えている人にたくさん会える場所。そして、私にとっては、「夢は叶うために在るものなんだ」と教えてくれる現場でもある

 

(日刊サン 2018.03.07)

 

大森 千寿

香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。 www.chizuomori.com