日刊サンWEB

過去記事サイト

海外で住んでいると、日本のお正月が恋しくなる。大晦日。お墓参りへ行き、紅白歌合戦をみながら年越しそばを家族で食べる。そして、除夜の鐘がどことなく聞こえてきて、新しい年を迎える。そんな静かに過ごすお正月が長年、恋しかった。

 

日本に住んでいたときは、「NYでカウントダウンして友人たちと盛り上がりたいな〜」とか「ハワイで暖かい気候の中、新年を迎えたいなぁ。」とか「どこか、今まで行ったことのない国で新しい年明けを味わってみたいな」などと思っていたけれど、結局、子どもの頃から慣れ親しんだ「習慣」にそった日本のお正月を迎えることが一番落ち着く、自分もそんな年になった。

 

今年は日本でお正月を迎えることができた。家族でいただくことができる年越しそばやおせち料理、それにお雑煮の懐かしいにおい。こうやって迎えることができるお正月が、どんなに有り難いものなのかを噛み締めた。シンプルな生活の中に、幸せがたくさん詰まっている。年が明けて2日目は、大学の先輩宅で新年会に呼んでいただいた。毎年、元旦の朝5時からすべて手作りでおせち料理をつくるそうで、心のこもった、愛情いっぱいつまったおせち料理とお雑煮は、食するだけで1年のエネルギーを頂いた気がした。

 

リラックスして先輩たちと話をしていると、目の前に半紙とすずり、筆が出てきた。次の瞬間、「さぁ、毎年恒例の書き初めをしよう!俳句で今の気持ちを表現してね」えええ!!! 筆を握るのもかなり久しぶりな上に、しかも俳句で今の気持ちを表すなんて聞いてないよーーー!私の心はリラックスムードから一変、予期していなかった出来事を前に緊張が走った。新年早々、私にとってチャレンジ到来だ。少し動揺したけれど、心を落ち着かせて考え、こんな俳句を読んでみた。「新春の 光り輝き 新たな一歩」  チャレンジが来ても、怯まずに新たな一歩を踏み出すことができる、そんな自分でありたいなと思いを込めた。

 

思いがけず書き初めを体験したことは、小さなことではあるけれどまたひとつ、私の中の「苦手」「できない」という枠を広げて新たな一歩を進ませてくれた。ちょっとの勇気を持って、自分の心地いいところから少し抜け出してみる。そこには、まだまだ自分でも気づいていない可能性の扉がたくさん眠っているように思う。今年は、どんな新しい扉が開くのか…。楽しみな1年がスタートですね!