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 日本の若い人たちの間で近年、英語学校留学先として、大変人気になっているセブ島。今では、東京から直行便を利用してたったの5時間で行ける楽園だ。

 今から約20年程前、私は家族や親戚など総勢15名程でフィリピンのセブ島へ行くことになった。きっかけは、真冬の日本からどこか暖かい所へ行きたいと誰かが放った一言に私が反応し、1年がかりでみんなのスケジュールを合わせ、12月がベストシーズンのセブ島へ出掛けることになった。

 行き先選びは、私に任されることに。候補地で重視した点は、3泊4日の日程で行ける国。かつ、当時それほどまだメジャーでない秘境の島へ行きたいという願望があり、日本から近隣のトロピカルな島を片っ端から調べていった。そこで、セブ島が浮上した。

 一緒に旅した親戚のメンバーは1番若いいとこが当時8歳、1番年長の祖母が70代。

 日本を出発し、マクタン・セブ国際空港に到着し、ホテルへ移動する頃には陽が落ちてあたりはすっかり暗くなっていた。ホテルに到着すると、南国らしい屋外プールが目に飛び込んできた。身が凍える真冬から半袖短パンの常夏の島へやってきた私達は、一気にテンションが上がり、心までもが開放的に。

 素早くチェックインを済ませると、みんなでプールに直行。ヤシの木が優しくゆらゆらする中、ライトアップされた夜のプールで伯父さんや伯母さんたちまでもが子どものようにはしゃぎ、時間を忘れて無邪気につかの間の時間を思いっきり楽しんだ。親戚の人たちの、こんなにも楽しそうな姿をみたのは初めてで、それだけでも私は心から嬉しかった。

 滞在中はゴルフ組とスキューバー組とにわかれて行動する時間があったり、みんなで市内観光を満喫、それに美味しいお料理も堪能できた。この旅で、様々なことを共有し、親戚との距離もより一層近くなったと思う。

 楽しい時間はあっという間に過ぎていく。心を思いっきり解放できた3泊4日の楽園での旅も終盤となった。セブ国際空港に到着。後は、日本に向けて飛行機に乗るだけ。そう思っていた。しかし…。

 出国審査を通過した際のこと。私の顔をみて何か不審気な様子の審査官。私に「本当に日本人なのか?」と何度も聞いてきた。結論から言うと、私が「フィリピン人」なのに、日本のパスポートを持って出国しているのでは?と思ったらしい。運良く両親がその場に居たことで、最終的には、誤解が解けた。

 日本でもフィリピン人とよく間違われるのだけれど、まさか、本場フィリピンでこんなことになろうとは想像もしていなかった。

 思いもよらない出来事が起こるのも旅の醍醐味。旅は人を成長させてくれる。だから旅はやめられない〜!

 

(日刊サン  2017/12/20)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

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