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NYCからコンクリートが消えた!?

日本からマンハッタンに戻って来た。たった1カ月とちょっと留守にしていただけなのに、見慣れた街並みが変わっているのも、私の中でのマンハッタンを象徴する特徴の一つだ。  

JFK国際空港からタクシーに乗り、自宅のあるチェルシー地区周辺に近づいた。「あれ?ここの角はイタリアンレストランだったよね?抹茶のお店になってる!」「建設中のそこのホテル、もうこんなに高くなって後ろのビル郡が見えなくなってる!」挙げ句の果てには、自分のアパートの入り口が一瞬わからなかった。理由は、すぐ隣に新しく、オシャレなタパスバーがオープンしていたから。  

そんな変化の目まぐるしいNYCは、まだまだ建設ラッシュ真っ最中。その為、NYではコンクリート不足が蔓延しているらしく、上質のコンクリートが手に入りづらいという。先日、夫の幼なじみで、アートギャラリーをアッパーイーストサイドからチェルシー地区に移転オープンし、まさにコンクリート不足を身を以て体験したジムが、そう教えてくれた。  

世界的有名建築家たちが手掛ける超高級コンドミニアム、超高層オフィスビルやホテル建設などなど、とにかく、街中どこへ行っても絶え間なく、パトカーのサイレンや車のクラクションとともに、工事現場からの重低音が鳴り響き続けている。まるで生き物みたいに、脈打つ街の鼓動を聞いているようだ。  

 

60年代にマンハッタンで生まれ、この街で育った夫からすると、古くて個性ある美しい建物が新しいビルに変わり、見覚えのある光景がどんどん変わっていくのはちょっと寂しいけど、しかし同時に、どこまで進化して行くのか未知なる楽しさもあるらしい。この街はインターネットのハイスピード接続みたいな速さで、新しい文化が生まれ、コミュニティーも変化していく。そしてまた今日も、世界中から多くの観光客や夢追い人たちがNY目指してやってくる。  

 

人生は、長いようにみえてあっという間。やりたいことがあるなら思いっきり表現して、まだ出逢っていない新しい自分にどんどん出会って行こう。  今日、当たり前のようにみえる景色は、もう明日にはないかもしれない。当たり前など、この世に一つも存在しない。

 

(日刊サン  2017/9/20)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

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