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マンハッタンで信号待ちをしていた時、“Do What You Love”と大きく書かれたサインが目に飛び込んできた。「大好きなことをしよう」  

転機に差し掛かると不思議と耳にしたり、目にしたり、なぜかタイミングよく目の前にその時に必要な言葉が現れる。  

「大好きなことをする」とは、仕事だけに限らない。日常の生活の中でのひとつひとつを考えてみる。好きな人に会う時間だったり、「好きだな」って思う感情を頼りに、居心地のいい感覚を味わったり…。そういえば最近、「好き」というセンサーを起動させていただろうか?  

 

この言葉を目にした数日後、NY在住のある素敵な女性とランチをした。彼女と出逢ったのは3年前。そして、今回ランチをするのも3年振り。ハワイ在住の共通の友人を通して、NY在住の彼女とは偶然、東京で出逢った。  

「好き」という感覚を大事にして、大好きな人に会ったり、大好きなことをやりはじめると、次々と奇跡のような偶然を引き寄せる。  

彼女と楽しくて濃い時間を過ごした後、もう10年以上足を運んでいないNYの紀伊国屋に、ふと寄りたくなった。すると、たまたま彼女のお知り合いご夫婦が日本から、3日間のみ「鼻緒のはきもの」のイベントを開催中だと言う。早速、一緒に伺った。  

そこで出逢ったのは、きもの愛好家の方々に下駄で不動の人気を誇る、創業101年の黒田商店さんご夫妻。お話をしてみると、私の実家、香川県高松市にお店があり、その上、ご主人は地元の高校の先輩ということが判明! NYで母校の先輩に偶然出会えるなんて、どんな確率だろう。  

奥様が世界中を巡り、見つけだされたオシャレでレアな生地の鼻緒の数々は、ため息が出るほど美しい。私の「好き」センサーが反応しまくりだ。どうしても、お二人の生み出す下駄が欲しくなった。  

鼻緒を奥様と相談しながら選び、その後、3代目のご主人が101年もの間、先代から受け継がれてきた職人技で、鼻緒をすげてくださる。しばらくの間、自分がNYにいることなど、すっかり忘れていた。  

「好き」を頼りに行動したら、黒田さんご夫婦が共同作業で魂を込めて創り上げる世界で一つの下駄に出逢えた。  

 

今年の夏は、この下駄で大好きなNYの街を楽しく歩こう。多くの「イヤ」なことより、少しの「スキ」なことに目を向けると、人生は断然楽しくなるのだ〜♪

 

 

(日刊サン  2017/5/17)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

www.chizuomori.com