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 中学2年生の夏休み、アメリカオレゴン州でのホームステイを経験した私は、約3年後の16歳で、再びオレゴン州に戻りました。前回は1ヶ月のホームステイ。今回はその12倍の12ヶ月、私にとっては長い長い試練の1年間、アメリカ高校留学、ホームステイの生活がスタートしました。  

 オレゴンに戻ると、3年前と同じファミリーのもとでホームステイをしました。しかし、状況は大きく変わっていました。仲の良かったホストファミリー先のお父さんとお母さんが離婚。お父さんは家を出て、家族は、お母さんと2人の娘で暮らしていました。そこに私がまた加わり、女4人での新しい生活がはじまりました。  

 

 高校での生活は、今まで日本で苦手だった数学が、クラスで一番の成績となり、そのことがきっかけでクラスメイトたちから尊敬されるという、まさかの事態がおきました。何故かというと…高校2年生なのに、当時(25年前の話です)私が通っていた私立のハイスクールでは、日本の小学校高学年から中学1年生レベルの問題が出されていたこともあり、そのおかげで、簡単にスラスラと回答していくことができたのです。  

 英語で上手く会話がでず、自分を表現できない劣等感の中、数学だけが私の唯一の救いとなりました。ありがとう!数学!! 今まで嫌いと言ってごめんよ〜〜(笑)  

 日本では英語が大好きで得意科目。それがアメリカに来て自信を失い…しかし!思いもかけず、長年の超不得意科目の数学は、アメリカのおかげで得意科目に変わりました。  

 

 3年ぶりに戻って来たオレゴンで、仲良しだった家族が離れてしまったことや学校での授業のこと…好き、嫌い、得意、苦手などといったことは、時間や場所や状況が変わると、それ自体も変わるんだということを16歳の私は目の当たりにしました。そして物事は、常に変化し続けているということを。  

 

 今まで小さな世界で生きていた私にとって、まだまだ自分の知らない世界が存在しているということをあらためて実感したのです。  留学して数カ月。まだまだ、チャレンジは続くのでありました…  

 

つづく

 (日刊サン  2016/4/8)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

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