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21時を回った今年のクリスマスイヴの夜。ダウンタウンの友人宅で開かれたパーティーの帰り道。夫アダムの親友で3人の小中学生の父でもあるジョンが、急に子供達にサプライズでプレステ4を買いたいと言い始めました。  

 

タイムリミットはクリスマスを迎える明日の朝。家族全員が集まりクリスマスツリーの下で、子供達はサンタさんから貰ったプレゼントを一つずつ開けて行く。それまでに、何とかプレステ4を手に入れたいという無茶振り。  

マンハッタン中の家電ストアなどに電話をかけること30分。時間的にも、そしてクリスマスイヴということもあり、どのお店も閉まっています。しかし、NYで長年キャリアを積む凄腕弁護士のジョンはそう簡単には諦めません。  

昼間の活気が嘘のように、クリスマスイヴのウォール街周辺はお店どころか薄暗く、恐ろしい程ひっそりと静まり返り人の気配すらありません。それでもジョンは、「チズ、お店を見つけたら、すぐに教えてね!」と、一人情熱とやる気で湧いています。 「マンハッタンは24時間何でも手に入る街だと思ってたわ!」とわざと嫌みを言う私。「いやいや、こんなギリギリになってプレステが欲しいって言う人がおかしい!」と夫のアダム。  

挙げ句の果てには、唯一見つけた24時間営業のドラッグストアに入って行き、プレステ4を売ってないか尋ねるジョン。「ここはドラッグストアですよ。笑」と店員さんから笑われても、気にするジョンではありません。  

ふと時計を見るとすでに、23時。そもそも、クリスマスイヴのこんな時間にプレステ4を探し歩いているのはマンハッタン中を探しても私たち3人ぐらいでしょう。  

とうとう、トライベッカ地区にあるジョンのロフト前に到着。すると、道を挟んだ向かい側のお店がなんと営業中ではありませんか。 「まさか、こんな家の目の前のお店にプレステ4があるはずないし。あったら奇跡だね〜」と、期待せず3人で店内へ。  

 

すると、なんと!!そうです。プレステ4とまさかのご対面!! 奇跡が起きましたー!  他ばかり探していたのに、こんな目の前にあるなんて!あまりのミラクル振りをすぐには信じれず、3人で大笑いしました。幸せも、何か手に入れたいと思うものも、このプレステ4現象のように、実はすぐ目の前にあるのにそれに気づかず、ないないと他ばかり探してはいないだろうか…。  

最後まで、絶対どこかに「あるある」と言っていたジョンが、プレステ4を見つけた帰り道、”Impossible!!” を連発。聞いてみると、「まさか本当にあるとは思っていなかった」だって。え?!  最後までクレイジーなジョンでした。(笑)

 

(日刊サン 2017/12/27)

 

大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。

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