生まれてはじめての海外一人旅。旅行先は韓国の釜山。
当時私は、日本の田舎の小学校3生になったばかりの8才でした。
曾祖母、祖父母、両親、私と6人家族で育った私はひとりっ子。そんなひとりっ子の私を心配した母が、将来、自分一人でも生きていけるようにと、夏休みを利用して、釜山に住むコリアンファミリーのもとへと私をホームステイに出したのがきっかけです。
山口県の下関港から船に乗り、荒波に揺られること丸一日。ついに韓国、釜山港に到着しました。まったく身内も知り合いもいない国、韓国。母が韓国を選んだ理由は、当時、韓国語にハマっていたのと、焼き肉だ大好きだったこと(笑)そして、日本にスゴく近い場所にある外国、だからでした。
釜山港に到着し、まず最初に感じた言葉で言い表せないほどの開放感。なぜだか分からないけれど、今でもその時の感情を思い出せるほど、軽快な気分を味わいました。
両親の元を離れ、はじめてたどり着いた異国の地。そして、今考えると家族からはなれて一人でここまで来れたんだと言う自信みたいなものを感じたのかもしれません。(もちろん、現地到着までの間、日本人のお世話係の大人の方々にサポートを受けながらの旅でしたが)
港には、これから先、約一カ月をお世話になる現地ファミリーが迎えに来てくれていました。唯一覚えていった言葉は、「アンニョンハセヨ(こんにちは)」そういって、本能的にまず笑ってみる。すると、目の前にいた女の人(後にお母さんだと分かる)も笑顔になり、あれよあれよと言う間に私の人生初海外体験である、面白エキサイティングな韓国式生活がスタートしたのでありました。
つづく
(日刊サン 2016/3/4)
大森 千寿 香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。 |