ハワイの教育コラム|カリスマ音楽教師リネー先生の人生が決まる!? 大切な幼児教育
Vol.4
アロハ~! 前号で、幼少期に訓練すれば身につく絶対音感は、できるだけ早く始めた方がいいとお勧めしました。ですが、自己流で適当にやっても身につくわけではないですよね。ほとんどの場合、その道の達人達=先生から習って、技や才能を磨いていくものです。
人に何かを教えることは、その人の人格を育てるお手伝いをさせて頂くという大変な役を担うことで、プラモデルの組み立て方や、お菓子作りのレシピのような教本があるわけではありません。生徒さん一人ひとりのニーズや才能に合わせ、教材を選んだり作ったり、カリキュラムを考えます。そして、目や表情をしっかり見て様子を伺いながら、手足または体全身を使って伝えて行きます。その中でも一番大切なことが、心の中を探りながら、彼らの心の声に耳を傾けて、誠心誠意、真心と愛情を込め、“ど真剣”に向き合っていくことだと思っています。ちょっとした仕草、視線、言動に注意しながら観察し、性格や好み、行動・思考パターンを把握していくのです。レッスン当日の体調やムードによっても教え方は変えなくてはなりません。さらには、家庭でのしつけ方、嗜好、希望も深く関わってくるので、生徒、先生、親の3者で意思疎通しながら、目標をすり合わせていく必要があるんですね。
『厳しくビシバシ教えてください!』と言う家庭もあれば、母親自身が厳しい先生に子供の時に叱られて、ピアノが大嫌いになってしまった経験から、『どうか優しく教えてあげて欲しい』と懇願してくる家庭もあります。そんな両極端な希望を聞き入れるのは難問ですが、そんな時は自分の実体験も交えて、生徒さんにとってどうするのが最良かを話しながら折り合いをつけていきます。
生徒さんも十人十色。個々に合わせて優しくしたり、面白くしたり様々な工夫をしないといけません。生まれ持った気質も違うし、家庭環境も違うので、一辺倒の教え方では全然伝わりません。やる気満々で勝気の子には、メトロノームを使ってスピードの競争をさせたり、わざと他の子たちの前で演奏させあったり、コンクールに出したりすると燃えていき、メキメキと上達していきます。また恥ずかしがり屋で一人ではなかなかできない子には、音楽ゲームを一緒にしたり、連弾で楽しませながら自信をつけていくようにしたり。注意散漫の子には、いつも面白い音がなる楽器、新しい本やご褒美シールなど、何かサプライズにな
るようなものを用意し、気が逸れそうになる度に新技を使ったりします。どの子に教えるのも、どの親を説得するのにも、押したり引いたり常に絶妙のさじ加減があるのです。それには鋭い勘や長年の経験が必要で、ベテラン先生だからできるスゴ技でもあると思います。
こんな風に毎レッスン泣いたり笑ったり、飛び跳ねたりしながら教えていたら、クタクタに疲れてしまう仕事のように思えるのですが、ところがそんなことは全然ありません。私達は全ての生徒たちと、そのご家族のこともハッピーにしたいと真剣に願っているので、苦しみどころか、むしろ楽しくてしょうがないくらいです。教えることを通して、私達自身がハッピーにさせてもらっていると、感謝あるのみです。
著者プロフィール:レネーリエてるや Renee Rie Teruya『カリスマ教師、リネー先生』ことRenee’s Music Studioのオーナー・音楽教師。東京出身。国立音楽大学附属音楽中学校、同高校、同大学卒業。30年以上前にハワイへ移住、二人の女児の母。 アメリカ国内外の著名音楽大学への合格者、大きな世界コンクールでの優勝者等も多数輩出させている。同時に、赤ちゃんからシニアまで幅広い世代の人に 『音楽の素晴らしさ』と『愛と優しさ』をも伝える。 https://archive.nikkansan.net/learning/reneesmusicstudio/ |