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ハワイの教育コラム|カリスマ音楽教師リネー先生の人生が決まる!? 大切な幼児教育 vol.18

左から二番目がキャシー

ストリートからカーネギーホールへの道 Vol. 4 by Shige

 

Kathleen Conry との出逢い

とある日、古い友人がニューヨークのダウンタウンにある劇場で、オリジナルのミュージカルを上映するとのことで、僕にもゲストで出演してくれないかと依頼を受けました。お客さんの中には劇場関係者や音楽関係の仕事をしている人が多く、いい出逢いがあれば良いなと思っていました。

 

僕は休憩の合間に、依頼してくれた友人とゲストとしてアンドレア・ボチェッリの名曲「The Prayer」を歌いました。 緊張することもなく、いつも通り歌えましたが、客席では一人スタンディングオーベーションで大きく手を叩いていてくれる人がいました。元気な人だなーなんて思っていたのですが、それが今後、ともに多くの仕事をすることになるKathleen Conry(通称キャシー)との出逢いだったのです。

 

公演後、キャシーが楽屋まで僕を探しに来てくれました。 「本当に素晴らしかったわ! なんてアンビリーバボーな声をしているの!?」と大きな声と大きな身振り手振りで褒め讃えてくれました。

 

話を聞くと、彼女は数々の舞台に立った元ブロードウェーシンガーで、今はコーチや監督、また、日本の音大でも客員教授として教鞭を執る経歴の持ち主でした。

 

「来週、私の通う教会でコンサートがあるから是非出演して!」と、その場でオファーを貰いました。 リハーサルのためにタイムズスクエアのすぐ側にあるメトロバプティスト教会へ行きました。そこは天井がとても高く、声がよく響く場所でした。

 

彼女は「歌詞を音読してみて」と僕に言ったのですが、面白いことに、何度も歌い完全に記憶しているはずの歌詞が、メロディなしで読むとなるとなかなか出てきません。

 

そして普通に歌詞を音読できるようになると、「歌詞に沿って体を表現してみて」、「目をつぶらないで!フラフラしない!」など、適切に的を得た彼女の指導に感動しました。劇の中で、体全体を使っていかに自然に表現するかということをいつも教えてくれていました。

 

キャシーは本当にパワフルな人で、友達は100人いるのではないかと思うほど、どこに行っても人気者です。呼ばれた教会でのイベントは、彼女の友達の元ブロードウェーダンサー、シンガーたちが大集合するチャリティーイベントで、そのトリを飾ったのは、バレエダンサーとしてニューヨークで大活躍されたという、90歳を超えるベラさん。

 

足取りがおぼつかないはずなのに舞台に立てば突然にキリッと演技を始めます。そのプロ根性に胸が熱くなりました。 そして舞台が終わり、帰りのバスから眺めるマンハッタンはスノーシャワーで寂しく曇って見えました。

 

毎日少しずつ広がっていくニューヨークの景色。それは、素晴らしい人々との出逢いが、それぞれの美しい色で描いてくれるどこにもない絵画のように、僕の心に永遠に刻まれたのでした。               

 

(文=中野成将)

 

 

 


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ドンキホーテそばのハワイの音楽教室。リトミック教室から音大受験コースまで幅広いコースが選択可能。日本語・英語どちらでも対応。ピアノ、ウクレレ、ドラム、ギター、歌など趣味で音楽を嗜みたい人もウエルカム。トライアルレッスンも可。


 

 

 

(日刊サン 2019.10.18