日常の中にある小さな気づき
最近よく雷がなりますね。ほとんどの子どもは雷の音を怖がります。先日、大きな和太鼓のような音はどこから来るのか、ピカッと稲妻が光ってから雷の音が聞こえるまでどうして時間がかかるのか、などの疑問からレッスンが始まりました。音にも光にもそれぞれの性質があるので伝わるスピードには差が出てしまう、そしてそれは皆が大好きな花火大会でも確認できること、音よりも光の方が約90万倍も早く、地球からおよそ1億5千万キロも離れている太陽の光はたったの8分ほどで地球に達してしまう、などなど、普段の生活の中にある面白い知識と情報に気づき、目を輝かせます。
教室では算数や国語の通常レッスンの他に、このように子ども達の好奇心(CQ)にとことん応える時間を設けています。全ての発明やアイデアは“小さな気づき”に思考力や分析力(IQ)、そしてチャレンジ精神(EQ)が組み合わさったものです。私はこれを『3Q』と呼んでいます。
学んだことをそのまま脳の中にしまっておいても何もなりません。取り入れた個々の知識に息を吹き込み立体化させるには、点と点を結び合わせて広い面にしていく別の作業が必要となります。残念ながらこのスキルは学校で教えてくれるものではないため、せっかく学んだことを有効活用できていない子ども達がたくさんいます。これほど残念なことはありません。
そのためいつも、生徒達にはありとあらゆる角度から物事を見て考える能力をつけさせています。その甲斐あってか、教室でのレッスンは、雷の疑問のようにランダムな質問から始まることが多く、科学や地理、数学者の話にもなり、脳と心を様々な方法で刺激していきます。トピックによっては政治や経済の分野に入る場合もあり、とことん追求して自分の生活への繋がりを見つけます。そうすると学校では楽しめない教科が本当はこんなに面白かったのか!と思うわけです。
このように、学びに対する興奮の体感は、人はどうして豊富な知識を身につける必要があるのか、またその知識をどのように使うと自分や周りの人たちの人生はより素晴らしいものになるのかなど、自分なりの答えを見つける手助けをしてくれます。子ども達が、自分の能力と情熱で人生を歩んでいけるようにするのが私の役目です。
融通のきかない学校システムの中で苦しんでいる子や、親の期待をプレッシャーに感じている子、また、将来のイメージが湧かず、今を頑張る理由が見出せない子はたくさんいます。そんな子ども達には、様々なことを乗り越える方法や、自分という人間を見つけるメリットにいち早く気づいてもらおうと指導に励んでいます。それにはまず、学んだ知識を自分の生活に直結させる回路を、より多く見つけさせることが確実な方法だと考えています。
教育スペシャリスト メアリー先生 vol.8
(日刊サン 2019.11.23)
メアリー
教育現場に24年携わるハワイ在住の教育スペシャリスト。カカアコにて英才キッズアカデミーを運営。人間能力開発研究所の創立者であるドーマン博士に直々教わったテクニックと独自の研究を合わせ、「IQ(頭脳)とEQ(人間性)をバランスよく育てる教育法」を開発。こどもLLCなど、子どもが社会に出るのを楽しみにするようなレッスンが人気。また、ストレスのない受験対策や子育ての細かい指導法は信頼が厚い。
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