ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする
Vol.9 子育てのゴールと自立
ハワイは卒業シーズンです。ハワイでの高校の卒業式が特に派手なのは、卒業後多くの学生がハワイから米本土、カナダ、日本など外に出てしまったりするからでしょう。高校を卒業することが、友達とのお別れ、または親元を離れるという意味で成人式のような感じで、一大イベントに
なっているのです。
卒業後、大学に進学する場合は、1年目は全員が寮に入るケースも多く、また仕事を始める場合は、彼女や彼氏、友達などとシェアハウスをして、親元を離れる子がアメリカでは多いです。ハワイは住居費が高いこともありますが、アジア人の移民が多いこともあり、いつまでも親のすねをかじって、大人になっても親元に住みつづけている人が多いのも現実です。
ハワイでは、キンダーから高校生までの12年間が義務教育期間とされていて、その間に子どもの自立に向けての準備をしていくのが、親、子、そして学校も目指す教育になっています。
のんびりとした南国ならではなのか、ついつい、すべての生活において、おおらかにルーズになってしまいがちの親も多く、ホームレスやストリートチルドレン、生活補助を受けている家族が多いのもハワイの特徴です。
本来は、義務教育期間の中でもっと勉強をしたい、スポーツがしたい、仕事がしたい、音楽がしたいはずです。何を選んでもいいですが、情熱をもってやりたいことを見つけ、これからの自分の人生を自分で作っていくために、親が子どもと向き合い、勉強することや働くことに関して、
話していかないと子どもだけで自立はできません。
親が「自立を子育てのゴール」とする場合に、何歳までサポートするつもりなのか? 義務教育までなのか? 大学卒業までなのか? きちんと先に決めてあげると、子どもはその与えられた環境の中で「うちは義務教育までなら、大学は奨学金の取れるところに行こう」または、「働こう」と、自分の人生を具体的に考えることができるようになります。
この島で育った子ども達は、一度、離れていくと、新しい自分の居場所をみつけたり、やりたい仕事のある場所や給料の高い所にとどまり、島への就職リターン率は低いのも事実です。ですが、島の奨学金などで大学に行った子ども達は、大人になった時に、また次のハワイ世代を育てるために、遠く離れていても母校に寄付したり、故郷のコミュニティーに貢献しサポートしたりしています。そのような温かい気持ちを持つ場所で育ったことはラッキーだと言えるでしょう。
著者プロフィール:イゲット千恵子オアフ在住、日米で会社経営&作家。2017年に「経営者を育てるハワイの親、労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスパーソンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、WEBサイト chiekoegged.com |