ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする
Vol.6 可愛い子には旅をさせろ
春休みが終わったばかりですが、またすぐ、長い夏休みが始まります。多くのハワイ在住者の日本人ママたちは、子ども達を日本の学校に行かせたりすると思います。
我が家の高校3年生の息子も、小学校6年間、毎年、夏休みは私の実家のそばの小学校に1ヶ月半ほどお世話になりました。
日本を知ることは、自分のルーツを知ることであり、この国がどんな国なのか、どのように暮らしているのかを知ることに興味を持ち、彼らとコミュニケーションが取りたいと思わなければ、日本語を習得させたいと願っても、子どものモチベーションが続きません。
そのためには、日本での体験が良いものでないと、「また、来年も行きたい」に繋がりません。ハワイ在住者は、いろんな国の人たちが混じり合って仲良く暮らしている環境で、他者を受け入れることは慣れています。逆にハワイの島から外に出て、他の場所で受け入れてもらうことは、少しチャレンジと感じる人もいます。
最初に子どもには、「特別に、夏休みだけ入れてもらうのだから、先生の手間にならないようにすること」「わからなかったら、わかりそうな人にきくこと」ときちんと、自分の立場はどういう立場で、何を学びにいくのかを伝えました。
また、閉鎖的で受動的な日本でどのようにすれば、受け入れてもらいやすくなるか、楽しくなるか、という「アウェイでうまくやるコツ」も事前に教えていました。行けば何とかなるのは、コミュニケーション能力の高い子だけで、多くの子ども達が、途中から行きたがらなくなってしまうのです。
日本語ができないから「馬鹿って言われた」と学校から帰ってきたこともありましたが、毎年、ハワイからやってくる子として、クラスのみんなに仲良くしてもらえたこと、給食、休み時間、ぞうきんがけ、放課後の自転車、たて笛、ピアニカ、習字、合唱コンクール、などハワイではできない体験が宝となっています。
9才から日本へ行く時は、JALのエスコートサービスをつけて一人でフライトさせていました。ハワイでは、12歳まで一人歩きもできないのに、彼の中では、一人で行くというのが「夏の大冒険」となり、親と離れて暮らすことで人との関係性や自立という面で毎回、成長が楽しみでした。
先日息子が、「僕の子どもができたら、夏休みに日本の学校に行かせたいからママが面倒みてね」と言ってきたのですが、日本で祖父母と暮らした思い出が良かったからなのだろうと、嬉しく思いました。「可愛い子には旅をさせろ」の意味がわかった瞬間でした。
著者プロフィール:イゲット千恵子オアフ在住、日米で会社経営&作家。2017年に「経営者を育てるハワイの親、労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスパーソンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、WEBサイト chiekoegged.com |