ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする
Vol.10 先生も学校も人気商売
日本の公立学校のように、文部省で決められた一定のカリキュラムが受講できる教育で育った日本人にとって、アメリカの学校運営に驚く方も多いと思います。
アメリカの場合、固定資産税でその地域の公立学校の予算が立てられますので、エリアによって、カリキュラムが違う、学力レベルが違うのは、教育予算の違いで教育の質と内容が変わっていきます。だから、今年は予算がないので、音楽の先生が雇えませんというようなことも多々あるのです。
アメリカは、不動産価値をあげるために、学校教育のレベルを上げることで、住みやすい街、人気の街にし、教育意識の高い住民を集めようとします。家賃や土地の価格を上げ、固定資産税の収益を増やすことで、住民のためによりよい教育をしていこうとしています。
公立学校でも毎年出される学力ランキングによっては、予算がもっと減らされる可能性もあり、成果の出るものに対して税金を出すというビジネスマインドで学校教育も成り立っているので、教育格差を作ります。
ハワイでは、とくに不動産価値の高いエリアには、公立学校がないのが特徴です。そこには公立学校のニーズがないからです。例えば、今、開発途中のカカアコは、オーシャンフロントで商用エリアに近いこともあり、投資目的の外国人投資家が持っているため、学校にいくような子ども達がほぼ住んでいません。また、住んでいたとしても、億ションを購入している所得の家庭は私立に行かせるので、広大な敷地を必要とする公立学校を作る予定はないのです。
学校教育の評判を作るのは、先生と生徒です。学校運営はビジネスマインドを持って運営されなければ、その学校の評価はどんどん下がります。そのため、先生達も常に転職やヘッドハンティングを視野にいれて、自分の仕事として教員キャリアをアップさせていますので、人気の先生は、給料の高いベネフィットの良い学校に、どんどん引き抜かれていきます。
また、世界的有名になりそうなスポーツ選手などが学校に入れば、そのスポーツの部活に予算を多くしたり、いいコーチを雇ったり、学校の知名度をあげてくれるためのPR 費用として投入するのがアメリカの学校運営です。
先生も学校も人気商売で、学校をビジネスとして運営できなければ、突然つぶれてしまうので、私たち通わせる生徒の親も、その意識を持っていることは常に求められています。
著者プロフィール:イゲット千恵子オアフ在住、日米で会社経営&作家。2017年に「経営者を育てるハワイの親、労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスパーソンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、WEBサイト chiekoegged.com |