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ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする Vol.21

ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする

Vol. 21 ゲーム好きをビジネスマインドにする方法

 

 日本でCEOキッズアカデミーという、子どもにビジネスを教えるクラスを開催しています。今回、東京でビジネスプランコンテストのために上級クラスの子どもたちが自ら考えたプランを携えて全国からやってきました。

 

 小学5年生から大学生までの幅広い年齢層が参加していましたが、日本で子どもにビジネスを教えることなどないので、みんな同じレベルからスタートしています。年齢が上だからいいビジネスアイデアとも限らず、いろんなアイデアをどんどん出して、さらにブラッシュアップさせて最後に発表しました。

 

 その中で決勝に残った2人は、小学6年生の男子の作ったボードゲームと中学1年生の女子の作ったシューティングゲームでした。どちらも甲乙つけがたいとても素晴らしい出来で、審査委員15名の投票により優勝者を決定し、ハワイホームステイを商品としてプレゼントさせてもらいました。

 

 シューティングゲームをパソコンで作ってきた女子は、2年ほど前に、「ゲームが好きすぎるなら、ゲームを作ってごらんよ」とアドバイスしたのがきっかけでした。彼女の親はその時すぐに彼女をプログラミングクラスに入れて、ゲームを作る側へと全面的に協力を惜しまなかったことで、この子はものすごいスピードで成長したのです。

 

 また、ビジネスの思考も学んでいたこともあり、自分が作ったゲームをどんなターゲットに売っていくかをかなり明確に捉えていて、現実に売れそうな的の絞り方ができていました。見にきていた父親が「自分の娘とは思えない」と娘のプレゼンに驚いていました。

 

 一方、ボードゲームを作ってきた男子は、ボードゲームを作った理由として、「今はみな、どこでもバーチャル世界でゲームをしているので、あえてリアルにみんなで遊んで楽しいものを作りました」というプレゼンの始まりでした。

 

 子どもたちも、ただゲームをする側のプレーヤーであるだけではなく、色んな社会問題に直面したり、それについて考えています。こうして売れる物を明確に捉えてそれぞれの商品を作ってきたのだなと思い、小さな起業家たちの今後がとても楽しみになりました。

 

 そして、なんと言っても、素晴らしい発想ができる天才たちを育てる親の存在は偉大だと感じました。制限なし、限界なしの協力体制と、子どもに徹底してやらせることに労力を惜しまない親たちばかりでした。「ゲームは現代の娯楽であり、悪」という認識では、創造性の高い子どもは育ちません。“今”を楽しむ親子の関係から生まれる、これからのビジネスが楽しみです。

 

 


イゲット千恵子

オアフ在住、日米で会社経営&作家 2017年に「経営者を育てるハワイの親 労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスマンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、chiekoegged.com


 

 

(日刊サン 2019.11.15)