ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする
Vol. 12 ハワイの教育水準と外国人投資家
先日、日本で甥っ子の授業参観に参加してきました。40年ぶりの小学校は、あの頃と何も変わってなく昭和そのもので、親世代の私たちにとっては、タイムスリップしたような懐かしい気持ちになりました。変わったことといえばエアコンがついたくらいで、今はすでに令和時代ですが、システムも習慣も何も変わっていません。
ピカピカの一年生だからなのか、こんなに教室って騒がしいの? とアメリカの子ども達と比べると、どう考えても授業を受けるような雰囲気ではなく、落ち着きもありません。「あめんぼ あかいな。あいうえお」と北原白秋を全員で大読誦してくれましたが、もう現代では使わない単語ばかりで、現代の子ども達にとっては“古文”のようでした。
なぜ、よき昭和時代の教育のまま止まっているのだろうかといえば、少子化なのに教育予算を取らない国だからなのです。 私達が住むハワイも変化を好まない人が多く住む、のんびりとした保守的な島です。ですが日本の教育と大きく違うところは、ハワイ州の公立学校の予算が、日本の子ども一人当たりの教育に当てられる公的資金と比べると3倍も多いことです。
これまでハワイは学力レベルが低いと言われてきましたが、2018年のUSA TODAYの州別教育ランキングではハワイは25位でした。カリフォルニア州は35位、ネバタ州が最下位、1位はマサチューセツ州とトップ10までは、主に東海岸でした。カリフォルニアは移民の比率が多く、英語が第二言語となるため学力ランキングが低いという結果でした。
物価や地価の上昇に伴い、ハワイは所得の高い人達があえてこの素晴らしい天候と環境を選んで移り住んでくる場所へと変わってきました。そうして得た固定資産税が地域の公立学校の資金源となるため、ハワイ州の公立の生徒1人当たりへの支出は13,436ドルと全米でも16位と、恵まれた環境になってきたわけです。
日本の3倍の公的資金をハワイ州に税金を払ってくれている人、多くは外国人投資家によって、ハワイの子ども達の未来のために費やしてもらっているわけですから、ハワイの子ども達はありがたい限りですね。 この素晴らしい環境で学べることに感謝し、怠けてしまうか、しっかり勉強するかは、親の教育次第なのです。
イゲット千恵子
オアフ在住、日米で会社経営&作家 2017年に「経営者を育てるハワイの親 労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスマンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、chiekoegged.com
(日刊サン 2019.07.12)