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日本に ラグビーW杯 がやってきた!~楕円球を追いかけて・・・私的ラグビー観戦記~

Bynikkansan

10月 3, 2019

『4年に1度じゃない。一生に一度だ。』の力強いキャッチフレーズとともに、9月20日にラグビーワールドカップ(W杯)が開幕しました。

 

第9回を迎えたW杯の歴史上、アジアでは初の開催。開幕前は盛り上がりが心配されましたが、今は国内の空気も一変し、ラグビー熱が沸騰中です。そんなW杯の興奮と裏側を、スタジアムに足を運ぶファン目線、そして日本流の“おもてなし”でお迎えする開催国の市民目線で、レポートします。

 

最寄りの「愛野」駅には試合の3時間前にもかかわらず、大勢のサポーターが続々と集結

 

肌で感じるラグビー熱

我が家が通勤・通学で使う東京ローカルの京王線が、突然見慣れぬ国際電車に変身しました。沿線の飛田給駅(東京・調布)には、開幕戦や準々決勝の舞台となる東京スタジアムがあり、様々な国のユニホームを着た一団が車内やホームに入り乱れ、非日常の熱気を生んでいるのです。 

 

開幕の翌日、新宿駅の雑踏で白と緑の生地に赤いドラゴンが描かれたウェールズの旗をつけた若者が、バックパックを背負い、携帯のアプリ見ながら途方にくれているのを見かけました。思い切って声をかけてみると、中野新橋のホステルに行くため丸ノ内線を探しているとのこと。

 

彼はドイツ人でしたが、父親がウェールズからの移民で、ドイツで盛んなサッカーでなくラグビーをしながら育ったとのこと。明日はウェールズの試合を見に、愛知・豊田に向かい、その後は大分まで応援に行くと、丸ノ内線の改札までの間、楽しそうに話してくれました。

 

 

各国ファンも続々来日

その後もJR中野駅で、両国に向かうはずが、総武線で逆方向に来てしまったニュージーランドの夫婦に遭遇。1週間でオールブラックス(NZ代表の愛称)戦など3試合が観戦できるツアーでウェリントンから来日。

 

ラグビーの合間に大相撲も観戦し、日本の文化も感じたいと目を輝かせていました。 W杯開幕に先立ち、元日本代表の主将で、最近はTBSのドラマ「ノーサイド・ゲーム」で俳優としても大活躍した広瀬俊朗さんのトークショーに出向きました。

 

「前回15年のW杯で日本が南アフリカに勝ったとき、町のあちこちで“コングラチュレーション”と声をかけられました。ぜひ皆さんも、外国のファンと草の根の交流をしてください」との話が印象的で、ハワイで身につけたアロハ精神と、ちょっとした勇気で道案内をしています。

 

 

日本の歴史的勝利に歓喜

そして、9月28日には日本が強豪アイルランドに挑んだ第2戦を応援しに、静岡・掛川まで娘と一緒に出かけました。東京駅で新幹線「こだま」を待つ間にも、緑のアイルランドユニホームを着た恰幅の良いファンの姿がホームにあふれ、車内では試合を待ちきれない人の歌声が響き渡りました。

 

結果は日本が世界ランク2位の格上のアイルランドを下す、歴史的な勝利。開催国の日本では出場国を歓迎するため、試合前の国歌を一緒に歌って迎える「スクラム・ユニゾン」という活動も広がっています。

 

アイルランド代表は、アイルランド共和国と英国領の北アイルランドの合同チーム。そのため「国歌」はなく、「アイルランズ・コールズ」という特別な歌を大切にし、国歌斉唱の代わりに試合前に歌います。

 

私を含め試合前に大勢の日本人が「アイルランズ・コールズ」を歌い、スタジアムは試合が始まる興奮と、お互いをリスペクトするどこか温かい空気が流れました。

 

スタジアム周辺には「ファンゾーン」が設けられ楽しめます。こちらは地元・静岡の方がガーベラの生花で作った日本、アイルランドの国旗

 

ユニホームも大売れ

試合後は、4万7000人の大観衆から自然発生的に万歳三唱が起こり、大人しい日本人も歓喜を爆発させました。 前回15年のW杯中は、約1万着売れたという赤と白の日本代表のレプリカユニホーム(約1万2000円と高い!)が今回は、すでに10万着が売れているとか。これから決勝まで1カ月。日本でどんなドラマが生まれるか、しっかり目撃したいと思います。

 

 


竹下聖(たけしたひじり)

東京の某新聞社でスポーツ記者、広告営業として15年間勤務後、2012年〜2014年末まで約3年間ハワイに滞在。高校時代より、花園に泊まり込んで高校ラグビーの全国大会を応援するほどのラグビー好き。1995年のW杯で日本が歴史的大敗を喫した後は、観戦から遠ざかるも、3年前から再び日本代表をフォロー。今回のW杯は自腹で5試合を観戦予定。好きな選手はFW1列目の稲垣、3列目の姫野、左ウィングの福岡。現在隔週土曜に日刊サンで「コラム・マスコミ系働き女子のひとりごと」を連載中。


 

 

 

(日刊サン 2019.10.03)