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日本に ラグビーW杯 がやってきた!~楕円球を追いかけて・・・私的ラグビー観戦記~

Bynikkansan

10月 10, 2019

ラグビーW杯も予選プールが山場を迎えています。日本も3連勝と奮闘していますが、私の一番の注目チームは史上初の3連覇を目指す、ニュージーランド(NZ)代表のオールブラックス。左胸にシダ(シルバーファーン)のマークが付いた上下真っ黒のユニホームでお馴染みですが、謙虚で紳士的な振る舞いが絶賛されています。

 

日本橋の「福徳神社」を参拝したオールブラックスの選手たち。写真右がペレナラ

 

謙虚な大男たち

「…僕、ベジタリアンだから」。南半球からやって来た世界最強の大男たちのチーム、そんな印象が一瞬で崩れました。 W杯の開幕当日、NZ代表のオールブラックスの選手たちが、スポンサーイベントで東京・日本橋界隈を散策した際、幸運にも仕事で立ち合うことができました。

 

選手たちはビルの谷間の神社や200年近い伝統を持つ老舗の日本料理屋を見学。徒歩で移動中に何気なく近くにいた選手に「日本食は好きですか?(Do you like Japanese food?)」と声をかけたところ返ってきたのが冒頭の言葉。

 

あまりに意外な返答に、「そんなに筋骨隆々なのに、肉も牛乳も取らないの?」と畳みかけたところ、ベジタリアンの代替え食品はいろいろあるから、でもチームにベジタリアンは彼だけと教えてくれました。

 

 

神が降臨、ハカのリード

その選手こそ、NZ代表が試合前にチームを鼓舞する伝統儀式の「ハカ」でリード役を務めるTJペレナラ。先住民族のマオリの戦士のごとく、勇ましく腕やモモを叩くハカは迫力満点。そのチャントをリードする役割はマオリの血を引く選手とされています。

 

日本橋のイベント当日も「神社の見学で、自分たちマオリが信じるマナとの類似性を感じた」とそれは、それは優しい口調で話していました。そんな人物が一転、W杯でのハカの姿は天から戦闘の神が降臨したかのような神々しさです。 世界最強軍団のオールブラックスですが、チームが一番大事にしていることは「Hamble(謙虚)であること」。

 

開催国日本の文化を心の底からリスペクトしてくれ、試合後に観客席へお辞儀をしたり、大分・別府では砂風呂を体験したりと共感を呼ばざるをえません。

 

散策の日も、だしの取り方(それ程興味があるはずは…)の説明に熱心に聞き入り、周囲のスタッフにも丁寧なのに驚きました。野球のMLBや海外のサッカーチームも過去に取材しましたが、そのどのチームにもない、静かな自信と相手への尊敬の念、謙虚さを秘めているように感じます。

 

▲試合前の「ハカ」では、一人立ち上がりマオリ語でチャントをリードします(Allblacks公式ツィッターより)

 

ハワイと共通のルーツ?

ちなみにNZ在住の友人によると、マオリは太平洋の伝説の島「ハワイキ」から自分たちがやってきたと信じ、アイランダー(トンガ、フイジー、サモア)や沖縄、ハワイアンと同じルーツとされているとか。

 

マオリ語で歌うNZ国歌の1番の歌詞には「Me Aroha Noa(我らを慈しみ給え)」と「アロハ」の単語があります。スペルは違いますが、マオリ語の「Aroha」もハワイ同様、愛や愛情という意味を持つそうです。

 

 

まだまだ続く7週間のW杯

すっかりオールブラックスに魅せられた私は、10月6日のNZ対ナミビア戦のチケットを直前で入手。迫力満点のハカと試合を生で体感できました。 体力消耗の激しいラグビーの特性上、7週間と他の競技と比べて期間の長いW杯。各国の戦いぶりも素晴らしく、今、日本中のテレビで朝から晩までラグビーの映像が流れています。 

 

 


竹下聖(たけしたひじり)

東京の某新聞社でスポーツ記者、広告営業として15年間勤務後、2012年〜2014年末まで約3年間ハワイに滞在。高校時代から大のラグビー好きで、今回のW杯は自腹で5試合を観戦予定。好きな選手は日本のFW1列目のスクラム番長・稲垣、好男子・姫野、文武両道のトライゲッター・福岡。現在隔週土曜に日刊サンで「コラム・マスコミ系働き女子のひとりごと」を連載中。


 

 

(日刊サン 2019.10.10)