日刊サンWEB

過去記事サイト

意外なチームがプレーオフへ?今季のNFL

Bynikkansan

12月 16, 2017

イーグルスの本拠地リンカーンファイナンシャル・フィールド

 

早いもので9月に開幕したNFLも、あと3週間を残すのみとなりました。プレーオフ出場権を手にするチームも出始め、先週終了時点でフィラデルフィア・イーグルスとピッツバーグ・スティーラーズの2チームがそれぞれ地区優勝を果たしています。イーグルスがNFC東地区を制したのは4年ぶり。今季はプロ入り2年目のクォーターバック(QB)カーソン・ウェンツ率いるオフェンスがリーグ最多の試合平均31点を獲得し、11勝2敗でNFC第1シードにつけています。

 

しかし、ウェンツは先週のロサンゼルス・ラムズ戦で膝の靭帯を断裂。今季絶望となり、今週からはプロ入り6年目のニック・フォールスが急遽代役を務めることになります。フォールスは4年前の地区優勝シーズンにイーグルスの先発QBだった選手。先発出場経験が豊富な点は不幸中の幸いです。

 

スティーラーズは先週のボルティモア・レイブンズ戦の試合残り42秒で逆転のフィールドゴールが決まり、2年連続の地区優勝が決まりました。この試合はわずか1点差での勝利。その前週と前々週も3点差での辛勝ながら、目下8連勝中です。先々週のシンシナティ・ベンガルズ戦ではディフェンスの司令塔でラインバッカー(LB)のライアン・シェージアが下半身不随も危惧されるような大怪我を負って退場したばかり。

 

チームの選手からは「ライアンのために勝つ!」という意気込みが感じられます。 そのスティーラーズが今週、ホームに迎え撃つのはニューイングランド・ペイトリオッツ。昨季のカンファレンス優勝戦で対決したチームで、今季のカンファレンス優勝戦の前哨戦とも言われています。

 

スティーラーズは11勝2敗で現時点でのAFCの第1シード。ペイトリオッツは先週のマイアミ・ドルフィンズ戦で黒星を喫したため、10勝3敗で第2シードとなっており、この試合でAFCの上位2シードの順位が決まると言っても過言ではありません。スティーラーズは昨季を含め、過去3回ペイトリオッツにスーパーボウル出場を阻まれているチーム。

 

スティーラーズのスーパーボウル優勝6回はリーグ最多記録ですが、昨季5度目の優勝を果たしたペイトリオッツがすぐ後に迫っており、ペイトリオッツだけにはどうしても優勝させたくないはずです。

 

 

19年ぶりの地区優勝?

19年ぶりに地区優勝を狙うジャガーズの練習風景

 

スティーラーズやペイトリオッツはプレーオフの常連ですが、今季はしばらくプレーオフから遠ざかっていたチームにもチャンスがありそうです。AFCではジャクソンビル・ジャガーズが現在9勝4敗で地区首位に立ち、AFCの第3シードにつけています。

 

過去6シーズン連続で5勝以下に終わっていたジャガーズは、今季すでに10年ぶりの勝ち越しが決定。プレーオフ出場を果たせば、こちらも2007年以来10年ぶり。地区優勝すれば1999年以来なんと19年ぶりの快挙となります。 ジャガーズは州内にNFLチームが他に2つあるフロリダでも最も小さい市場に本拠地を構え、観客動員数が少ないチームです。

 

本拠地エバーバンク・フィールドは空席が多く、人気チームとの対戦では敵のファンの姿がよく目につきます。そのせいもあり、ジャガーズは2013年以降、毎年ホームゲームの1試合をロンドンで開催しています。ロンドンで試合を開催するのはNFLがヨーロッパでのリーグの普及を目指しているからなのですが、ジャガーズが自ら毎年ホームゲーム1試合を犠牲にしてロンドン開催を申し出ているのは、ロンドンでの試合の方が集客でき、チケット収入が多いためです。

 

ホームゲームが完売しているチームなら、地元開催試合を減らしてまで、時差が大きく、選手のコンディショニングにも影響するロンドンで試合をしたくはありません。 そんなジャガーズですが、今季はリーグ最強のディフェンスとラン攻撃で開幕以来、快進撃を続けています。

 

ディフェンスは試合平均の失点数(16)、パス喪失ヤード数(174)、サック数(47)で、タッチダウン数(4)でリーグトップ。インターセプト数(19)でリーグ2位。ラン攻撃も試合平均150ヤード獲得でリーグトップです。中でもルイジアナ州立大学出身の新人ランニングバック(RB)レナード・フォーネットは今季のオフェンス新人王の呼び声も高い活躍ぶり。パス攻撃が弱いチームだけに、頼もしい存在です。

 

AFC南地区は傑出して強いチームがいない点も幸いしています。インディアナポリス・コルツはペイトン・マニングの後継者であるQBアンドリュー・ラックが昨季終了後に受けた肩の手術から復帰できず、今季全休が決定。チームは3勝10敗と大きく負け越しています。3勝3敗でバイウィークを迎えたヒューストン・テキサンズは、10月末に新人QBデショーン・ワトソンが膝の靭帯を断裂してから1勝5敗と低迷。

 

ジャガーズを1ゲーム差で追っているテネシー・タイタンズは、ハワイ出身のQBマーカス・マリオタが先週のアリゾナ・カーディナルス戦で膝を負傷。こちらは軽症のようで、マリオタは今週のサンフランシスコ・49ers戦には出場できる見込みです。