オープン戦で打席に立つ大谷選手
「ベーブ・ルース以来の二刀流」として大注目を集めているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。投手としては、今季の先発投手中、最速の時速101.3マイルの剛速球を投げ、4勝1敗、防御率3.10。打者としては、試合前の打撃練習で敵チームの選手まで釘付けにする特大柵越えを連発し、6本塁打を含む打率2割8分9厘。
原則的に先発登板は週1回で、登板日の前日から翌日までの3日間を除いて打席に立っているため、どちらも総数は少ないながらも、オールスター戦に選出されてもおかしくない成績を挙げています。
そんな中、ショックなニュースが飛び込んできました。今月8日、右肘の内側側副靭帯の損傷により、故障者リストに入ったと発表されたのです。少なくとも3週間は投球練習を行わず、打者としても試合に出場しない模様。大谷選手は6日、本拠地エンゼル・スタジアムでのカンザスシティ・ロイヤルズ戦に先発登板したものの、4回まで63球を投げただけで降板。
右手中指にまめができたのが原因でしたが、試合後には肘の違和感も訴え、翌日には多血小板血しょう(PRP)療法と幹細胞注射を受け、その翌日の故障者リスト入りとなりました。 チームは8日からミネソタ、シアトル、オークランドへの遠征へ出発。通常通り中6日のローテーションなら、13日にシアトルでのデーゲームで先発登板するはずでしたが、大谷選手は遠征に同行せず、セーフコ・フィールドに姿は見せませんでした。
11日からのシアトル3連戦では、おそらく日本から見に来たのであろうと思われるファンの姿をよく見かけました。イチロー選手がヤンキースへ移籍した2012年以降は、日本からの観戦客がめっきり減ったものの、今年3月にイチロー選手がマリナーズに復帰するや否や、セーフコ・フィールドで大谷選手との対決を見たいと、観戦旅行を計画したファンが多かったのでしょう。
しかし、イチロー選手は5月上旬に会長付特別補佐となり、それ以降は試合に出場せず。試合前は従来通り、チームメイトとキャッチボールをしたり、打撃練習に励んでいますが、試合が始まると、ベンチに残ることができず、クラブハウスから試合を見守っています。イチロー選手の姿を見るなら、試合前の練習時と、勝った試合の後にベンチから出てきてチームメイトとハイタッチする時しかありません。
しかし、ホームゲームではホームチームがビジターチームよりも先に打撃練習を済ませるため、スタジアムのゲートが開いた時点で、ぎりぎり間に合うかどうか?といったところ。その上に、大谷選手は故障者リスト入りのみならず、遠征にさえ同行していなかったので、まったく姿を見ることはできませんでした。
せっかく日本から見に来たファンの人たちには大変気の毒な結果となりました。 エンゼルスは7月3日から独立記念日を挟んで、シアトルでの3連戦が組まれています。こちらも微妙なタイミングです。というのも、大谷選手がPRP療法と肝細胞注射を受けてからちょうど4週間目に当たり、ベストケースでも、投手としては投球練習を再開し始めたばかり。
当然ながら、試合出場はまだまだ先のことになります。投手としての復帰が長引いても、打者オンリーとして先に復帰する可能性はあるものの、故障からの復帰初戦は遠征先ではなく、本拠地とでとチームが配慮すれば、今季最後となるシアトル遠征にもまた同行しない可能性があります。そう考えると、5月4日からの3連戦で大谷選手の活躍ぶりを目に焼き付けた方は非常にラッキーでした。
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危ぶまれるオールスター戦出場
7月17日にはワシントンDCでオールスター戦が開催されます。指名打者として候補選手リストに名前が挙がり、投手としても監督推薦などでの出場が期待されていた大谷選手も、今回の故障欠場により、たとえ選出されても出場はほぼ不可能な状態となってしまいました。また、楽しみにしていた人が多かったホームランダービーの参加要請も、なくなったのも同然でしょう。
今週、オールスター戦のファン投票の第1回中間結果が発表されました。大谷選手はア・リーグの指名打者でレッドソックスのJD・マルチネス(51.3万票)、ヤンキースのジャンカルロ・スタントン(23.2万票)に次ぐ3位で21.9万票を獲得しています。13日現在、47勝22敗でメジャー最高勝率を誇るレッドソックスは、外野手のムーキー・ベッツもファン投票で最多得票の74.9万票。
ベッツのチームメイトのマルチネスは14日現在、22本塁打で、大谷選手のチームメイトの外野手マイク・トラウトの23本に次ぐア・リーグ2位の強打者となっています。 ファン投票が締め切られる7月上旬まで、ほぼ全試合に欠場することになる大谷選手がマルチネスを追い抜く得票数を得るのは厳しそうです。
それでも、選出されれば、たとえ試合に出場することはできなくても、いい経験になるから是非参加すべきと、チームメイトのトラウトは言っているようです。メジャーリーグでもトップレベルの選手が一堂に会する豪華な球宴。まだ23歳と若い大谷選手にとって、大きな刺激、そして一日でも早く故障を直して復帰する奮発財になるはずです。