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ディフェンス主体のチームでディフェンスの主力が離脱

強力なディフェンスを誇るヒューストン・テキサンズは、あとは平均並みのQBさえ確保できれば、プレーオフを勝ち進めるチームだと言われてきました。今季は新人QBのデショーン・ワトソンが数々新人QBの記録を打ち破る期待以上の活躍を見せ、ようやく待望のQBが現れたとファンが喜んでいた矢先に、ディフェンスの要で過去に3回ディフェンスMVPに選ばれたJJ・ワットが10月8日の試合で腓骨を骨折し、今季絶望に。

 

またこの試合では同じワットの次に重要なウィットニー・マーシラスも胸筋を断裂。更に今月2日の練習ではQBのワトソンまで膝の靭帯を断裂し、今季絶望となってしまいました。

 

同じくディフェンスが武器のシアトル・シーホークスでは、主力選手の1人であるコーナーバック(CB)のリチャード・シャーマンが今月9日のカーディナルス戦でアキレス腱を断裂し、今季打ち切りとなっています。シャーマンは9月下旬にアキレス腱を痛めながらも毎試合に出場してきたのですが、遂に断裂させてしまったカーディナルス戦は前週の試合から中3日で行われる木曜日の試合だったため、十分な回復時間を得られない状態で試合に出場する羽目となり、大怪我に至ってしまいました。

 

このニュースを受け、木曜夜の試合開催に対する選手の不満が再燃しています。以前からこうう不満はあちこちから聞こえていたのですが、シャーマンのような大物選手がシーズン絶望となる大怪我を負ったことで、ピッツバーグ・スティーラーズのQBベン・ロスリスバーガーなど他の大物選手達も口を揃えて異論を唱えるようになっています。

 

しかし、複数の試合が同時進行する日曜日と異なり、1試合のみが放映され月曜日や木曜日の夜の試合は視聴率を稼ぎやすい時間帯で、近年は視聴率が低下傾向にあるとはいえ、テレビ放映権やスポンサー契約の交渉を進める上で有利な材料です。オーナー達は常に選手の安全を重視していると口にはしますが、木曜日の試合開催を見直す意志は更々ないようです。

 

ただ、今季は主力選手の故障離脱が相次いだおかげで、開幕前には予想できなかった番狂わせや、例年下位に甘んじているチームが地区首位に躍り出る面白いシーズンにもなっています。カーディナルスとシーホークスの同地区ライバルであるラムズは現在7勝3敗でNFC西地区首位に立ち、14年ぶりのプレーオフ出場を狙える位置につけています。また、AFC南地区のジャクソンビル・ジャガーズも現在7勝3敗で地区首位に立っており、10年ぶりのプレーオフ出場への期待が高まっています。

 

 


金岡美佐

1992年に渡米。サンディエゴからサンフランシスコ経由で北上し、現在シアトル近郊在住。MBAを取得し某有名IT企業のファイナンス部門で勤務するも、大のスポーツ好きが高じて脱サラ。スポーツライターへ転身。「スポーツは見て楽しむもの」をモットーに年中スポーツ観戦に大忙し。春夏は野球、秋冬はアメフト、冬春はアイスホッケー。一番好きなのはアメフト。シーズン中の土日はスタジアム観戦以外、外出不可


 

 

(日刊サン 2017.11.25