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メジャーリーグのストーブリーグが始動 

Bynikkansan

12月 15, 2018

チーム解体のマリナーズは一から建て直し

 菊池投手の獲得を狙っていると言われるマリナーズは、オフシーズンに入ってから大型トレードの連発でシアトルの地元ファンを落胆させています。ウィンターミーティング開催前に先発野手では二塁手ロビンソン・カノ、遊撃手ジーン・セグラ、捕手マイク・ズニーノ、外野手ギヤーモ・ヘレディアをトレード。

 

中でもカノは2014年に10年2億4千万ドルの長期大型契約で獲得したスター選手で、まだ契約の半分が残っています。セグラも2017年に延長した契約がまだ4年6千万ドル残っています。 投手陣では先発左腕ジェームス・パクストン、抑え右腕エドウィン・ディアス、救援右腕アレックス・コロメ、救援右腕ホアン・ニカシオをトレード。

 

パクストンは昨季ノーヒットノーランを達成したエース。全盛期を超えたフェリックス・ヘルナンデスに取って代わるチームの大黒柱へと成長した途端にトレードされました。ディアスは今季両リーグ最多の57セーブを記録した選手。ディアス級の選手も一緒につけなければ、チームの財政を圧迫する高額契約のカノを引き取ってもらえなかったようです。

 

コロメと二カシオはいずれも今季チームに加入したばかりのベテラン選手でした。 カノとセグラは高年俸に加え、他の問題でも首脳陣の頭を悩ませていました。カノは今季、薬物規定違反で80試合の出場停止処分を受け、8月中旬に復帰。欠場中は元々二塁手だったのを外野手へ転向させていたディー・ゴードンを再び二塁手へ戻して起用したため、二塁手に困ることはありませんでした。

 

セグラはそのゴードンとクラブハウスで殴り合いの喧嘩をしたと伝えらたり、それ以後も怠慢プレーで試合中にベンチへ下げられた経験があります。 更に契約が満了した指名打者のネルソン・クルーズとは契約を延長せず。これでジェリー・ディポトGMが就任した2015年9月に40人枠にいた選手でチームに残っているのは先発右腕フェリックス・ヘルナンデスと三塁カイル・シーガーのみとなりました。

 

チーム再建を図るマリナーズの本拠地セーフコ・フィールド

 

今季のマリナーズは89勝73敗と16試合も勝ち越したのですが、後半の失速で地区優勝争いでは2連覇のアストロズに14ゲーム差もつけられ3位。ワイルドカードも8ゲーム差の4位で、決して僅差でプレーオフ出場を逃したとは言えない状況です。ディポトGMとスコット・サービス監督はチームが好調だった今季前半に契約を複数年延長してもらったばかり。

 

来季チームが18年連続でプレーオフを逃しても解雇される心配はほぼなく、思い切ってチームを一から建て直すことにしたようです。 来季マリナーズは日本で開幕を迎えます。今年5月に会長付特別補佐に就任し、選手としてはチームの契約下にないイチロー選手も春季キャンプには招待され、選手枠が3つ拡大される日本での来季開幕戦には出場する見込みですが、アメリカへ戻り、選手枠が25人へ減った後もベンチに入れるかどうかは疑問です。

 

マリナーズが菊池雄星投手を獲得してくれたら、楽しみが増えますが、そうでなければシアトルのファンはまた厳しいシーズンを耐え忍ぶことになりそうです。

 

 


金岡美佐

1992年に渡米。サンディエゴからサンフランシスコ経由で北上し、現在シアトル近郊在住。MBAを取得し某有名IT企業のファイナンス部門で勤務するも、大のスポーツ好きが高じて脱サラ。スポーツライターへ転身。「スポーツは見て楽しむもの」をモットーに年中スポーツ観戦に大忙し。春夏は野球、秋冬はアメフト、冬春はアイスホッケー。一番好きなのはアメフト。シーズン中の土日はスタジアム観戦以外、外出不可


 

 

 

(日刊サン 2018.12.15)