マイク・トラウトはスターパワーに欠ける?
大谷投手のチームメイトのマイク・トラウト外野手は、現時点でメジャー最強選手と言われています。今季メジャー8年目のベテランながら、大谷投手よりもわずか2歳年上の26歳。2011年に19歳でメジャーデビューし、2014年と2016年にア・リーグMVPに選出。
2012年以降、毎年MVP投票で4位以内に食い込んでいます。打率、長打力、走塁、守備、送球のどれを取ってもトップクラスで、現時点でのメジャー最強「5ツールプレーヤー」です。
それほどの選手でありながら、メディア露出度や知名度が低いのは、メジャーリーグが宣伝機会を十分に活用していないからではないのか?そういった質問がオールスター戦前の記者会見でマンフレッド・コミッショナーに投げかけられました。
特にロサンゼルスでは、マイケル・ジョーダンに次ぐか、匹敵する選手と呼ばれるレブロン・ジェームスのレイカーズへの移籍加入が決まったばかり。同じリーグ最強選手でも、ジェームスとトラウトの知名度には雲泥の差があり、メジャーリーグは貴重なマーケティング機会を無駄にしているのではないか?という問いでした。
これ対し、コミッショナーは「マイクは何をしたくて、何をしたくないか、自由時間をどう過ごしたくて、どう過ごしたくないかの決断をした。リーグは彼のブランドを拡大する手助けはできるが、まずは彼がそうしたいと決めることが先決だ。時間も労力も要することだ」と返答。トラウト本人にその気がなければ、リーグだけではどうすることもできないと主張しました。
この発言を受け、翌日にはエンゼルスが声明を発表。「彼のブランドは卓越した野球選手、かつチームメイトである上に、地元や遠征先でファンとの触れ合いに多大な時間を割くことで築かれている。更に、マイクは夫、息子、兄弟、叔父、友人としての時間を尊重している。商業的な自己PRよりも、個人的な価値を優先する彼を称賛したい。今の社会では稀なことで、彼の稀有な才能と同じぐらいに際立っている」とチーム生え抜きのスター選手への批判とも受け取れるコミッショナーの発言に異議を唱えています。
東海岸のチームが注目を集めやすいという報道の偏りもあり、損をしている部分もあるとは思いますが、本人は野球以外のことにあまり時間を割きたくないとも発言しています。
金岡美佐 1992年に渡米。サンディエゴからサンフランシスコ経由で北上し、現在シアトル近郊在住。MBAを取得し某有名IT企業のファイナンス部門で勤務するも、大のスポーツ好きが高じて脱サラ。スポーツライターへ転身。「スポーツは見て楽しむもの」をモットーに年中スポーツ観戦に大忙し。春夏は野球、秋冬はアメフト、冬春はアイスホッケー。一番好きなのはアメフト。シーズン中の土日はスタジアム観戦以外、外出不可 |
(日刊サン 2018.07.21)