プロ入り3年目でプレーオフ出場を果たしたマーカス・マリオタ
NFLでは先週末からプレーオフが開始。AFCとNFCの両カンファレンスとも上位2シードを除く4チームが初戦を迎え、今週末に行われるディビジョナル・プレーオフの組み合わせが決まりました。6日にまず対戦したのはAFC西地区の覇者で第4シードのカンザスシティ・チーフスとAFC南地区2位で第5シードのテネシー・タイタンズ。
ご存知の方も多いと思いますが、タイタンズの先発クォーターバック(QB)のマーカス・マリオタはホノルルのセントルイス高校出身の選手です。 オレゴン大学在学時代の2014年にハイズマン賞を受賞し、2015年のNFLドラフト全体2位でタイタンズ入りしたマリオタは、プロ入り3年目の今季がプレーオフ初出場。チームにとっては9年ぶりの快挙です。
試合は敵地で行われ、前半タイタンズは攻守ともにチーフスに圧倒され、18点差のリードを奪われます。しかし、後半に入るとQBのマリオタ自身が走ってボールを進めるなど反撃を開始。第3クォーター終盤には、マリオタが投げたパスがチーフスのディフェンス選手に弾かれ、そのボールがすっぽりマリオタの手に収まる珍プレーが発生。これがタッチダウンとなり、タイタンズは7点を追加。
棚から牡丹餅的な得点にマリオタは「ラッキーな時にラッキーな場所にいた」と苦笑しています。 前半途中にパス攻撃の主力であるタイトエンド(TE)のトラビス・ケルシーが脳震盪で退場したチーフスはオフェンスが停滞し、後半はタイタンズのディフェンスに無得点に抑えられます。一方、タイタンズのオフェンスは攻撃のリズムを取り戻し、第4クォーターにはマリオタ受賞の翌年にハイズマン賞を手にしたアラバマ大学出身のランニングバック(RB)デリック・ヘンリーが35ヤードのロングランでタッチダウン。
そして前半には落球ミスが目立ったワイドレシーバー(WR)エリック・デッカーが、試合残り6分余りに名誉挽回のタッチダウンパスを受け、タイタンズが遂に22-21へと逆転しました。
通常QBは怪我を恐れてブロッキング(ボールへ近寄るディフェンスの選手をオフェンスの選手が押し返すプレー)には参加しないのですが、一旦リードを奪うとマリオタ自身も身を投じてヘンリーの走路を作るなど献身的なプレーを見せます。これでファーストダウンを獲得し、チーフスへ残す攻撃時間を極力つぶして1点差を死守。今週末のディビジョナル・プレーオフへと駒を進めました。
次戦はハワイ時間で13日(土)午後3時15分から昨季の覇者ニューイングランド・ペイトリオッツと対戦です。百戦錬磨のベリチック監督とQBブレイディ率いる優勝候補が相手ですが、好試合を期待したいものです。
マリオタの出身校であるセントルイス高校 |
ハワイ出身の大学生選手も大活躍
ちなみに今週はマリオタと同じセントルイス高校出身の大学生選手も大脚光を浴びました。8日に行われたカレッジフットボールの全米優勝戦で、アラバマ大学1年生の控えQBテュア・タゴバイロアが後半から途中出場。延長戦の末、チームを逆転勝利に導き、オフェンスのMVPに選ばれました。
アラバマ大学の先発QBは2年生のジェイレン・ハーツですが、優勝を争ったジョージア大学戦では苦戦し、前半無得点に抑えられていました。そこでニック・セイバン監督はレギュラーシーズン中ほとんど出場機会がなかった1年生QBの投入を英断。これが功を奏して、アラバマ大学は同点に追いつき、延長戦へと持ち込みます。延長戦でタゴバイロアは16ヤードも押し返されるサックを受け、アラバマ大学の反撃もここまでか?のように見えたのですが、その直後に41ヤードのパスを成功。
控えQBが劇的な逆転タッチダウンを成功させ、チームは7シーズンで4度目の優勝を手にすることができました。ハワイではマリオタ以上に注目を浴びたのではないでしょうか?