アテネの中心部、シンタグマ広場で一日にニ度もスリに遭い、デモに巻き込まれて催涙ガスを浴びた。しかし、そんなことが帳消しになるほどギリシャの離島は美しく、驚きに満ちている。
今回は、お気に入りの三島をご紹介。 最高にロマンチックな気分に浸りたいならサントリーニへ。切り立った崖に並ぶ青い屋根と純白の壁の建物は太陽の光で眩しく輝き、紺碧のエーゲ海と空とのコントラストに心が洗われる。新婚旅行先として人気があるのも納得で、宿泊するならフィラよりもイアの街がおススメ。
イアの夕日は世界一と賞賛され、日が沈む時間になるとたくさんの観光客が押し寄せるが、実は夜景も素晴らしい。 それから、非日常感をたっぷり味わうならヒオス。中世で時間が止まってしまったような要塞都市メスタと、“クシスタ”という不思議な模様の描かれた家が密集するピリギがある。
ヒオス島の“クシスタ” |
日本人が来ることは滅多にないようで珍しがられたが、島民は皆優しくもてなしてくれた。トルコとの戦いで廃墟になったアナヴァトス村や、世界遺産のネア・モニ修道院で歴史を感じ、さらに過去へのタイムスリップを。
お土産には、ヒオス島にしか生育しない“マスティハ”を使った製品をぜひ。 ただひたすら海の青さを堪能したいなら、ケファロニア!ギリシャ国内のみならず、世界のベストビーチにも選ばれたミルトスビーチがある。
カリブ海や紅海、地中海、アンダマン海…たくさんの美しい海を見てきたが、ここイオニア海の青さは別格だ。パステルカラーの家が可愛らしい港町アソスや、神秘的な雰囲気漂うメリッサニ洞窟も見所。
また、どの島も共通して、地物の新鮮なタコを使ったグリルドオクトパスと松脂を加えたレッチーナというギリシャ産白ワインの組み合わせが美味しい!
ギリシャには、数々の魅力的な島がある。本土のアテネでパルテノン神殿を見るだけではもったいない。エーゲ海やイオニア海に散らばる島々を自由にホッピングし、自分だけのお気に入りを見つけてみてはいかが?
●加西 来夏 (かさい らいか)
訪問39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/スリにカバンをカッターで切られたものの財布は盗られず済みましたが、その頃ドラマ“24”にはまり過ぎていて、思わず“Damn it!”と叫んでしまいました…。
(日刊サン 2019.10.31)