先発登板直前にビデオモニターで選手紹介
メジャーリーグは早くも開幕から2カ月が経過。ベーブ・ルース以来の二刀流選手として注目を浴びているエンゼルスの大谷翔平選手は、周囲からの重圧を物ともせず、堂々たる結果を見せてくれています。投手としての大谷選手は、5月30日現在、8試合に先発登板し、4勝1敗、防御率3.18。6回まで3失点以下で投げ切るクオリティスタートは5回。
打者としても試合に出場するため、基本的に先発登板は1週間に一度のみ。5月30日の登板は、前回登板でメジャー自己最多の7回2/3、110球を投げたため、中9日で投げています。 メジャーでは通常、5人で先発ローテーションを組み、中4日で投げるパターンが主流ですが、エンゼルスでは二刀流、かつ今季がメジャー初シーズンとなる大谷選手の体力の回復を考慮し、先発6人制を導入。その上で、変則的なローテーションを組んでいます。
大谷選手は基本的には中6日での登板ですが、その他の5人は試合がない移動日の日程や、対戦相手に右または左打者が多いかに応じて、中4日から5日での登板となっています。 5月29日現在、勝敗数でトップの投手は、ナ・リーグがワシントン・ナショナルズのマックス・シャーザーで8勝1敗。ア・リーグはクリーブランド・インディアンスのコリー・クルーバーで8勝2敗。
防御率でトップはナ・リーグはニューヨーク・メッツのジェイコブ・ディグロムの1.52。ア・リーグはヒューストン・アストロズのジャスティン・バーランダーの1.11。いずれの投手もすでに10試合以上の先発登板をこなしています。
大谷選手の場合は登板間隔が長いだけに登板回数も少ないのですが、防御率3点台はまずまずの結果。5月30日のデトロイトでのタイガース戦では今季の先発投手の中では最速の時速101.1マイルを計測しています。また、決め球の1つであるスプリットは、ストレートが来るように見えて、打者の手前ですとんと落ち、空振り三振を量産。メジャーリーグで最も打てない球とも言われるほど、威力を発揮しています。
打者としての大谷選手
対レイズ戦で今季4勝目を手にした後のヒーローインタビュー |
打者としては、5月30日現在、103打数30安打の打率2割9分1厘。5月25日からのヤンキース3連戦に打者として出場し、9打数無安打に倒れたため、開幕戦以来初めて打率が3割を切ってしまいましたが、それまでの2カ月間は3割をずっとキープしていました。
大谷選手が打席に立つのは、基本的に登板日前日から登板日翌日までの3日間を除く、4日間となっています。先週は前回登板から中6日ではなく、中9日での登板だったため、珍しく6試合連続で打席に立ちました。 開幕戦では8番・指名打者で打者としてのメジャーデビューを果たした大谷選手は、試合を重ね、打席で結果を残すにつれ、打順が上がってきています。
4月中旬以降は7番や6番で起用され、5月に入ってからは5番・指名打者がほぼ定位置となっています。大谷選手が加入するまでは指名打者での出場が大半だったアルバート・プホルスは、今季は一塁を守るケースが多くなっています。38歳と、野球選手としては高齢のプホルスが休養欠場の場合は、大谷選手が4番で出場しています。
エンゼルス打線は圧倒的に右打者が多く、13人いる野手のうち、左打者は大谷選手を含めて3人のみ。それだけに、チームとしては左打者の大谷選手に毎試合、打席に立ってもらいたいはずです。また、チームは先発投手陣の2人が故障離脱中で、大谷選手に中4日でマウンドへ上がってもらえれば御の字でしょう。
しかし、キャンプ開催中からエンゼルス首脳陣は、大谷選手の起用方法に非常に慎重です。これから10数年間、チームの主力として活躍が期待される金の卵なら、そうならざるを得ないのかもしれません。