ペイトリオッツのドタバタ劇
試合開始前の国歌斉唱中、ペイトリオッツのコーナーバック(CB)マルコム・バトラーが指を目に当てて涙を抑えている様子がカメラに捉えられました。バトラーは第48回スーパーボウルの試合終盤に、ゴール前2ヤードまで迫ってきたシアトル・シーホークスのパスをインターセプトして、ペイトリオッツの優勝を決定的にした選手。その年のスーパーボウルMVPに選ばれました。
今季も先発選手として起用されていましたが、なぜかスーパーボウルでは先発から外れていました。バトラーの代わりに先発起用したCBエリック・ロウが次々とイーグルスにロングパスを許しても、ペイトリオッツのビル・ベリチック監督は一切バトラーを起用せず。体調を崩していた、試合前週の練習内容がひどかった、チームの規則を守らなかった、などと伝えられていましたが、真相は不明のまま、バトラーは契約が満了し、来月にはフリーエージェントになります。
スーパーボウル終了を待って、ペイトリオッツのマット・パトリシア・ディフェンスコーディネーターはデトロイト・ライオンズの新監督に就任。ひげもじゃ姿がトレードマークでしたが、別人のようなさっぱりとした姿で記者会見に現れました。
一方、インディアナポリス・コルツの新監督に内定していたジョッシュ・マクダニエルス・オフェンスコーディネーターは、監督就任が正式発表された後に、ペイトリオッツ残留を決意。口頭では合意していたものの、まだ契約書にはサインしておらず、土壇場で心変わりしてしまったようです。
早々とマクダニエルス氏に目をつけ、本人の合意を取り、スーパーボウルが終わるのを待っていたコルツにとっては非常に迷惑な話。他の有能な監督候補はすでに新天地が決まり、来季へ向けて始動している中、一から監督探しを始めなければならなくなりました。
また、気まずいことに、マクダニエルス氏とコルツのクリス・バラードGMは同じ代理人を雇っており、マクダニエルス氏の急な心変わりに振り回された代理人は代理人契約を破棄してしまいました。幸いにもコルツはスーパーボウルで優勝したばかりのイーグルスのフランク・ライク・オフェンスコーディネーターに的を定め、即刻合意。ペイトリオッツは攻守両コーディネーターの流出は避けることができました。しかし、今回の件でマクダニエルス氏の資質面での評価はガタ落ちでしょう。当分ペイトリオッツ以外のチームに雇ってもらえる可能性はなさそうです。
金岡美佐 1992年に渡米。サンディエゴからサンフランシスコ経由で北上し、現在シアトル近郊在住。MBAを取得し某有名IT企業のファイナンス部門で勤務するも、大のスポーツ好きが高じて脱サラ。スポーツライターへ転身。「スポーツは見て楽しむもの」をモットーに年中スポーツ観戦に大忙し。春夏は野球、秋冬はアメフト、冬春はアイスホッケー。一番好きなのはアメフト。シーズン中の土日はスタジアム観戦以外、外出不可 |
(日刊サン 2018.02.17)