氷点下のミネアポリスで行われた第52回スーパーボウルは、フィラデルフィア・イーグルスがニューイングランド・ペイトリオッツを41-33で下し、初優勝を遂げました。
試合はキックオフ直後の攻撃からイーグルスのフィールドゴールによる得点に始まり、両チーム合わせて74点を入れる乱打戦。僅差ながらもイーグルスが終始リードを保ち、試合残り5分を切ってから一時ペイトリオッツにリードを奪われますが、その直後にタイトエンド(TE)ザック・アーツへのダイビングタッチダウンで逆転し、そのまま逃げ切りました。
今季のイーグルスはレギュラーシーズンを13勝3敗で終え、NFCの第1シードでありながらも、プレーオフ2試合からスーパーボウルまですべて敗者と予想されたアンダードッグでした。これを不服とした選手はスーパーボウル出場が決まったNFCチャンピオンシップの試合後、犬のマスクをかぶってフィールドに登場。
チームのマスコットは鷲ながらも、チームのファンの間では犬の被り物が流行り、スーパーボウル会場にも犬のマスクをかぶったイーグルスのファンが押し寄せました。 両チーム合わせて74点も入った今年のスーパーボウルでは数々の新記録が生まれました。ペイトリオッツのオフェンスが獲得した合計613ヤード、両チーム合計1,151ヤード獲得はスーパーボウルのみならず、レギュラーシーズン戦も含めて史上最多。
ペイトリオッツのクォーターバック(QB)トム・ブレイディが投げた505ヤードはポストシーズン最多。ペイトリオッツが入れた33点はスーパーボウル敗者による最多得点。両チーム合わせて74得点はスーパーボウル最多記録にわずか1点及びませんでした。
イーグルスのトレーニングキャンプ風景 |
印象に残ったプレー
この試合で印象に残ったプレーは2つ。まずは前半終了間際にイーグルスのQBニック・フォールスが受けたタッチダウンパスです。QBのフォールスはパスを投げるのが仕事ですが、このプレーでは意表を突き、パスを受ける側に回りました。ペイトリオッツに15-12の3点差に迫られた直後の攻撃。イーグルスは前半残り41秒からの第3ダウンで敵陣エンドゾーンまであと1ヤードまで進みましたが、タッチダウンまで1ヤード及ばず第4ダウンを迎えました。
通常ならフィールドゴールを蹴って3点を入れるのが安全策ですが、タイムアウトを取ったイーグルスのサイドラインではフォールスが自ら「ここでフィリー・スペシャルを」とこのプレーを提案します。数秒考えた後、ピーダーソン監督がこれを承諾。プレーが再開すると、エンドゾーン右寄りへ走ったフォールスへTEトレイ・バートンがドンピシャのパスを投げました。先にペイトリオッツがQBのブレイディにパスを投げるプレーを試みて失敗していただけに、かなり強気のプレーコールです。
これでフォールスはスーパーボウルで唯一タッチダウンパスとタッチダウンレシーブを決めた選手となり、試合のMVPに選ばれました。 もう1つのプレーは試合残り3分を切ってから、5点差を追うペイトリオッツの息の根を止めたディフェンスタックル(DT)ブランドン・グラムのサック(パスを投げる態勢のQBをタックルするプレー)です。
自陣25ヤードから攻撃を開始したペイトリオッツの第2ダウンのプレーで、あと2ヤード獲得すれば、ダウン更新でペイトリオッツが攻撃を続けられる場面でした。しかし、グラムはブレイディが手にしていたボールをもぎ取り、こぼれ落ちたボールをディフェンスエンド(DE)デレク・バーネットが確保。これで攻守交替となり、ペイトリオッツは再逆転のチャンスを奪われてしまいました。
このプレーが出るまで両チーム合わせてサックなしだったこの試合。逆転がかかった非常に重要な場面でイーグルスにとっては値千金のビッグプレーが飛び出しました。