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見る者を身体ごと引き込む壮麗な風景写真で世界的に注目を集めている芸術写真家、ピーター・リックは、オーストラリアのメルボルン生まれ。両親はチェコスロバキアからの移民だった。8歳の時にカメラに興味を持ち、それから30年以上に渡って独学でファインダーを見つめ、シャッターを切り続けている。

 

1984年、ピーター・リックはアメリカへ渡り、現在の作品群の原点となるパノラマ写真の技術を習得。1990年代には、アメリカ全州、5000マイル(約8047キロメートル)に及ぶ距離を横断しながら撮り続けた1000枚の風景写真を披露する「スピリット・オブ・アメリカ」プロジェクトを実施した。2000年代からは「Master of Photography, Australian Institute of Professional Photography」他、数多くの国際的な賞を受賞している。2012年には、ワシントンDCのスミソニアン美術館が、リックの代表作「Ghost」「Inner Peace」などを特集した。

 

2014年、彼の最高傑作の1つである「Phantom」に対し、風景写真としては世界最高額の650万ドル(約7億4000万円)という値が付けられた。「Phantom」はアリゾナ州のアンテロープ・キャニオンで撮影されたもの。「神の建築物」といった言葉を思わせる、優美な曲線を強調した岩肌が視線を導く先には、霧のような滝が浮かびながら流れ落ちている。その中心には、うっすらと人型の影が見える。見る者を幻影世界へと誘うこの作品は、従来のアンテロープ・キャニオンの風景写真と一線を画しているとして高い評価を得た。

 

2015年には、Professional Photographers of America に写真家としての実績を認められ、過去14人にしか授与されていない「Lifetime Achievement Award」を受賞するという栄誉を成し遂げた。また、今年から来年に渡って「ソニー・オープン」のスポンサーになっており、2018年には「ハワイ・ソニー」の設立20周年記念作品を制作する予定だ。

 

秀抜な技術とセンスを惜しみなく駆使し、風景写真を芸術の域にまで高め切ったリックの作品を目の前にすると、大胆な構図と繊細な描写が同居していることに気づかされる。これは、彼の視界に映ったものの最も美しい部分が切り取られ、自然の美と神秘を余すところなく引き出しているからだろう。相反する要素が融合し、森羅万象の支配力と優しさを同時に感じさせるダイナミックな風景写真は、鑑賞する者の情緒的な想像力を刺激させ、知的な賞賛を喚起させてやまない。

 

全米12カ所にあるリックのギャラリーの1つ「Lik Fine Art Waikiki」では、7月29日から9月30日までの毎月最終土曜日、「ピーター・リック・エクスペリエンス」と題してチャリティーイベントが開催される。このイベントの目的は、ピーター・リックが自らの成功に対する感謝の気持ちを表すことであり、売り上げは、提携している慈善事業団体「Friends of Hawaii」を通し、地元ハワイの恵まれない女性や子供のための非営利団体に寄付される。この機会に、偉大な芸術写真家、ピーター・リックの作品を目の前で感じ取ってみてはいかがだろうか。

 

(取材・文 佐藤友紀)

 

PETER LIK EXPERIENCE イベント情報
日時:7月29日(土曜日) 6pm~9pm 
会場:ワイキキビーチウォーク1F

入場無料

会場では、ギターのライブ演奏をバックにバーが設置され、Roy’sレストランのグルメ・オードブル、Stir Beverageによるクラフト・カクテルやワインなどが楽しめる。リックの作品やラスベガスのスタジオ見学の他、豪華な景品が当たるギブアウェイも行われ、イベントへの参加や、SNSのフォロー・発信などをする度に当選の確率が高くなる。作品を購入した方には駐車場のバリデーションを発行。

 

Waikiki Beach Walk 226 Lewers Street, L118
お問い合わせ ☎︎808-926-5656