第4次安倍再改造内閣が9月11日、スタ-トした。
安倍首相の組閣回数は通算11回で、これは史上最多。ま、8年近く(この11月には在任が史上最長に)やっているんだから当然か。
組閣当日の流れは、まず午前中に自民党役員の人事決定。ついで11:30に前大臣の辞表とりまとめの臨時閣議があり、13:15から組閣本部がスタ-ト。13:20に官房長官が新閣僚名簿を発表すると同時に呼び込みが始まる。官邸エントランスに次から次へと新閣僚が胸を張って入ってきて、メデイアがそのたびに取り囲む。初入閣大臣は13人もいたが一様に緊張してるのか硬い顔。
その後、男性はモ-ニングコ-ト、女性はロングドレス・長袖の正装に着替えて宮中の認証式へ。昔は紋付き袴・和服の方もいたが、一方では、派手な釣り鐘型スカ-トのお姫様ドレスや、富士山ドレスと言われた上半身は白・裾に鮮やかな青のぼかしが入ったドレスの女性閣僚もいたっけ。私も野田総務大臣就任の時にドレス選びの相談を受けたことを思い出す。宮中の竹の間で安倍首相から辞令書をもらい、新天皇からお言葉をいただいて無事に大臣誕生!
そして18:45から初閣議。ここでは祝い酒として日本酒が振る舞われるそうで、「美味しい!もっと飲みたい!」「だめです!」と言われた大臣もいたとか。その後は恒例のひな壇(長い大階段)での記念撮影。新官邸を作るときにこれは必須、ということで以前の倍も大きな幅3m×高さ5mの大階段に(3階から2階へ下る形。脇にはエスカレ-タ-が作ってあって、通常はこちらを使用。ということはこの写真撮影のためだけに作った?)。赤い絨毯が上から下まで敷き詰められている。並び順を確認し、足下を確かめながらしずしずと降りてくる。今回は常に国民人気のトップを走っている小泉進次郎氏の入閣があっただけに、フラッシュの回数も多い。でも女性が二人だけとはなあ!政界の現状なんてこんなもの、とあきらめてはだめ。もっと女性の活躍を!といい続ける覚悟をした次第。
今回の組閣の一番の目玉は、やはり小泉環境相。戦後3番目の若さでの入閣だ。(一番は小渕優子さん、二番は野田聖子さんといずれも女性。エ?どう考えればいい?)フリ-アナウンサ-の滝川クリステルさんと新婚ホヤホヤで、早速「育休を検討します」と宣言していただけに、入閣を打診されても受けないんじゃないかと噂が飛んでいて、今回の入閣はまさにサプライズ!おかげで政治記者(社会部や芸能担当も)は大忙し。これまで注目されることが少なかったポストだが、組閣の次の日には早速これまで復興政務官等でかかわってきた福島を視察、次いで台風被害の千葉県視察と同行取材の毎日。そのうち「首相動静」(日本の新聞は総理大臣がどこへ行ったのか、毎日、逐一まとめられて新聞に載る)ならぬ「進次郎動静」という欄ができるんじゃないかしら?ともあれ、安倍首相からも特に指示された地球温暖化や海洋プラスチックゴミについて等、強力な発信力を使ってしっかりと大臣の職を全うしてほしいものだ。
しかしこの小泉氏登場のまぶしさの陰で、年功序列で入ったとしか思えない大臣や問題を抱える大臣達に注目がいかないのも困ったものだ。組閣当日の夜、記念撮影の後に初会見があるのだが、大丈夫かな?と思う大臣がいるのも毎回のこと。いい加減、こういう人達を選ぶのは間違いだと自覚してほしいのだが、キラキラがこれをぼやかしてしまう!
安倍首相曰く「安定と挑戦の内閣」だそうだ。ご祝儀相場なのか小泉進次郎効果なのか、各社の世論調査の支持率は5%ほど軒並み上がっているが、経済・外交等、課題が山積。朝日新聞は「側近重用」、読売は「集大成へ骨格維持」、東京は「改憲シフト」との見出し。さらに立憲民主党・福山幹事長は「国民不在のお友達・側近重用」、国民・玉木代表は「何をする内閣か見えてこない」、共産・小池書記局長は「改憲シフト」と様々な評価。
納得できる点、多々あるが、発足した以上、茂木外務大臣と河野防衛大臣のチ-ムワ-クで日米・日韓・日中関係をどうさばくか。そして加藤勝信厚労大臣と西村康稔社会保障担当相が少子高齢社会をどう乗り切るか、それには期待せざるを得ない。
川戸恵子 (かわどけいこ)
TBSテレビ・シニア・コメンテ-タ-。TBS入社後、ニュ-スキャスタ-を経て、政治部担当部長・解説委員さらに選挙担当として長年政界を取材。そのほか、これまでに自衛隊倫理審査会長、内閣府消費者委員会委員などを歴任。現在、TBSNEWSで週一回の政治家との対談番組を制作。また日本記者クラブ企画委員・選挙学会理事。
(日刊サン 2019.09.24)