Study in Hawaii|ハワイで学ぶ
Vol.5 大学進学に備えて、夏休みはSAT対策の勉強を
お話をしてくれたのは、ホノルルで“フォーカス教育研究所”を主宰する鵜飼高生(ウガイ タカオ)さん。家庭教師と塾の良いところを併せ持つ家庭塾を開校しています。ウガイ先生(博士でもあります!)、よろしくお願いします。
「アメリカ、ハワイの高校では、学校がある間はGPA(ジーピーエー、Grade Point Average) が大切で、大学進学に当たってもこの数値がきわめて重視されますから、学校の勉強を最優先させます」
GPAは授業の成績評価値で、“各課目の単位数×獲得ポイントの合計÷履修登録した単位の総数”で計算する。
「GPAが2.0以下など、悪い成績を取ってしまうと学校から警告されます。ハワイのハイスクールは落ちこぼれを出さないよう、サポート体制を充実させているので、ヤバいと思ったら先生に相談して補習してもらいましょう。悪い成績を取ってしまった課目はもう一度受けて、再履修するチャンスを設けている学校もあります。そうすれば良い成績への書き換えも可能。アメリカの学校には挽回のチャンスがある。これはとても良いことですね。GPAが4.0に近ければ、かなりトップクラスの名門大学が狙えるはずです」
夏休みはアドミッションテストの勉強を
「アメリカの大学のほとんどは、入学審査の際にアドミッションテストの成績の提出を求めます。SATとACTがあり、どちらも民間の非営利団体が運営しています。SATの試験は2016年に大幅な変更が行われました。なので今回はSATについて紹介します。ちなみに、日本のセンター試験と違い、SATもACTも何度でも受けられるので、僕は最低3回はテストを受けるように勧めています」
SATは以下、4つのセクションのテストで成り立っている。
●Reading Test – 65 minutes, 52 questions
●Writing and Language Test – 35 minutes, 44 questions
●Math Test – two sections:
1) No calculator – 25 minutes, 20 questions
2) Calculator permitted – 55 minutes, 38 questions
●Optional essay section (50 minutes)
「Optional essayについては必ずしもやる必要はありませんが、ほとんどの大学で要求されます。また、そのエッセイは採点されることなくそのまま大学に送られます。エッセイを除いた3つのセクションの合計点数は400~1600点の間となります」
何点取れば良いのかは志望校と自分のGPA次第になる。下記のようなさまざまなサイトで合格できる確率をチェックできる。
https://www.prepscholar.com/sat/s/colleges/University-of-Hawaii-at-Manoa-SAT-scores-GPA)
「また、SATの試験は2016年に問題形式もすべて変わりましたが、間違えた選択肢を選んでも減点されなくなりました。僕が感じる全体的な印象としては、ものごとに関する深い理解がないと解けないようになっていますね。小手先の技術で、これさえやれば点数が飛躍的に上がる!といった必勝法的な教え方が難しくなりました。塾の教師としては悩むところです(笑)」
数学も概念を問うような問題が増え、文章問題は論理的思考を求められ、英単語についても単語一つがもつ複数の意味を知らないと解けないような問題が増えたという。
「ただ、文章読解を含め、問題の系統はほぼ決まっています。僕の家庭塾ではでは3セクションすべての問題系統をまずは一通り教えていきます。それと同時進行して、弱いところの補強を宿題を中心にしていきます。エッセイや語彙力、計算等ですね。一通りの問題系統を教われば、あとは文章の内容が違う、語彙が違う、数字が違う といった感じになるので、あとは自主学習で、ひたすら問題集を使って問題演習をしてもらいます」
その都度、知らないことが出てきたらメモをしておき次回また出てきたときにはきちんと覚えているようにして、知識を蓄積していく。この習慣は普段の勉強にも有効だと鵜飼さん。
「引き続き家庭塾で教えていく場合には、自主学習で直面したわからない問題や、解説を見ても理解できないものについて授業中に解説をしたり、ペース配分やモチベーションを管理していきます」
大学によるが、SATもACTも最も良い総合点を採用してもらえる。
「IVYなどの難関校については、各セクション毎に最高点を採用して、それらを足した総合点としています。夏休みのまとまった時間をアドミッションテストのための勉強に使えたら、志望大学への道がぐっと近づくはずです」
鵜飼高生 -ウガイタカオ
大阪生まれ、東京育ち。小学生の時、アメリカのオハイオ州で過ごす。明治大学理工学部卒業後、再度渡米。ハワイ大学マノア校にて博士号取得。現在は、「フォーカス教育研究所」の代表取締役。”家庭教師”と”塾”両方の利点を融合させた”家庭塾”メソッドを用い、ハワイ在住の多くの子ども達や家族のサポートに専心している傍ら、建築士としても活躍している。
(取材・文 奥山夏実)
(日刊サン 2019.05.31)