子どもたちとビーチに行くと、砂遊びに夢中になりすぎて「まだ帰りたくない!」と困らせられた経験はありませんか?買ったおもちゃはすぐに飽きてしまうことが多いのに、ただの砂がなぜ、子どもたちをそれほどまでに夢中にさせるのでしょう。
ビーチでの遊び方は、子どもの年齢によって徐々に変える
サラサラと落ちていくのが心地良い、乾いた砂。手で握っては落とし、その感触を楽しんだり、ザルで漉して、砂の中に隠れていた珊瑚のかけらや貝を見つけ出したり。サラサラの砂には、自分で自由に形を変えられると同時に、形が固定されない面白さがあり、子どもの想像力と創造力を掻き立てることができます。
サラサラの砂の感触を存分に楽しんだら、バケツで海水を汲み、サラサラの砂の上に水を撒けば、湿った砂に変わります。ギシギシとした感触に変化した砂は、ぎゅっと押し固めると好きな形を作ることができるようになります。バケツに入れて、型からポコっと外すと、砂のプリンのできあがり。ビーチで拾った貝や石で飾り付けをすれば、さらにアート性が増します。おにぎりのように手のひらでギュッと握ってから丸く形を整えていくと、今度は砂団子ができます。どれだけ綺麗に大きく作れるか、お友達と競争するのも遊びになります。大人も一緒になって、体より大きな山を作ってトンネルを掘ったり、火山にしてみたりするのも、創作意欲や好奇心を高められるでしょう。このように遊びの可能性は無限大にあるのです。
ビーチで拾った貝殻を持ってビショップミュージアムに行き、その貝の名前を調べてみても、遊びがよりアカデミックなものに変わっていきます。
想像力、創造性、集中力、社会性など幼少時に高めたい能力を刺激する
以前見かけたもう少し年齢が上の子どもたちは、数人で大きな穴を掘り、そこに海水をひき、網ですくった小魚を泳がせたり蟹を放したりして小さな水族館を作っていました。砂だらけになって走り回り、びしょ濡れになって魚を捕まえ、それは楽しそうでした。子どもが本気で遊ぶと、想像力が広がり、それを形にする情熱は目を見張るものがあります。
普段の生活の中では、自分の体より大きな立体作品を作る機会はなかなか持ちづらいですが、ビーチだからこそできる自由さも魅力です。一人では成し遂げられなくても、お友達と協力をして、自分が何を作りたいのか説明をし、みんなで役割分担をして作り上げる、そんな協調性や社会性も育むことができます。
自由に形を作れそうで作れない、だからこそ楽しい砂遊び。時間を忘れて夢中になっているうちに、好きなものをとことん追求する集中力がそこで養われています。そう思えれば、親からしたらエンドレスに思える遊びも、余裕を持って見守ることができそうですね。
ハワイだからこそ味わえる美しい自然の恩恵を、子どもの成長に活用してみてください。太陽の光を浴び、砂や貝殻を触り、砂の上に寝転がる。寄せては返す波の音を聞き、潮の匂いを感じてというように、五感を十二分に刺激する体験を幼少期に多くすることで、その後の学習能力の向上にも役立ちます。
長い夏休みにこのような時間を、ぜひ取ってみてください。
増田智実
子ども学習教室 補助講師
女子美術短期大学卒業。中学教諭二種免許取得(美術)。オアフ在住。3男1女の母。学生時代は、テキスタイルデザインを学ぶ。ハワイで育つ子供達が楽しみながら生きた日本語を学び、日本語で考える力をつけられるようお手伝いしています。IJCC(ジャパニースクリスチャンチャーチ)のメンバー。
(日刊サン 2019.06.28)