子どもの成長過程において、必ず通る「間違う」経験。間違ったとき、お子さんはどんな反応をしますか?また、親はどのように対応していますか?子どもの気質にもよりますが、ちょっとした言葉がけ、反応の仕方で、子どもを否定することなく、間違いを恐れずに挑戦し続ける姿勢を養っていくことは可能です。
自分なりに正しいことだと努力してきたことが否定されると、全てを投げ出したくなるような気持になることは誰にでもあります。そこで切り替えを早くして、軌道修正をスムーズにできれば、過ちは学びへと変わり、成長へとつながります。ですが、そこは皆人間。 「悔しいー!!」って思うことも多いですよね。低学年の小学生や幼稚園年長さんでは、この「悔しい」という気持ちを自他の比較から、初めて学ぶこととなります。
テストで一つ間違えただけで、0点を取ったように落ち込んだり、癇癪を起こしたり。「×」を勝手に「〇」に書き換えたり、ちょっとでも自信が無い問題があると全放棄の「やーめた」となったり。。。 ケースはバラバラですがおそらくお父様もお母様も、「え?なんで?」と、一度は悩むことも出てくるでしょう。「もう一度考えて」「やり直しなさい」は子ども達をときに混乱させます。
それまでは、ハイハイした、つかまり立ちをした、歩き始めた、自分で食事を口に入れた、など何をしても褒められてきたのに、この年頃になると「間違い」を指摘されたり、お友達と自分を比較したりすることが増えてきます。それに連れて「これくらいはできるだろう、理解できるだろう」と大人の期待値も高くなってくるのです。
まず子ども達は「間違ってもいい」ことを学ばなくてはいけません。 間違ってもいいことを受け入れられると、次に「なんで間違えたか」を考えられるようになります。 これは2段ステップなのです。
どうしても〇が欲しい子どもには、赤い×の代わりに青い〇をつけさせる指導をすることもあります。 青い◯の見直しができたら、さらに大きな赤の花まるで褒めてあげましょう。 学校から×をもらって帰ってきたら「マミー、これわかんないなぁ。なんで×なの?合ってるんじゃない?」と敢えてボケてみるのも一つの手段です。
自分の味方がいるという安心感があれば、先生から×をもらっても、×をもらうことの罪悪感が減り、自己否定をせずにすみます。見直しの際には、まず〇の数を褒めてあげてください。肯定から入る注意の与え方は努力を認めることにつながります。
また、途中で半分しかやっていない回答用紙をみれば、親はぞっとするでしょう。「何これ??全然やってないじゃない!」と怒る前に、間違ってしまった最後の問題一つを見つけてください。もしかしたら実は殆ど解けるはずなのに、途中放棄しただけかもしれません。「わからない問題は飛ばして、次に進んでもいいんだ」という方法を教えてみてください。
子どもは時間配分ができません。ですから、少しの躓きが全ての思考回路を止めてしまうことがあります。お家の課題でも「できるのだけやってごらん」というプロセスを踏んでみてください。 先生に提出するまでに完璧な回答を出さなくてもいいのです。あえて、先生にどこがわからないのかを伝え、正しく学校で学ぶのも手段です。
子ども自身で間違った箇所を見直し、なぜ間違えたかを理解し、それを訂正してまた脳にインプットするプロセスが完全にできるようになるのは、小学生の高学年、中学生になってからです。焦らず子どもたちの成長を見守ってあげたいですね。
岡崎恵子 Okazaki Keiko
98年にハワイ移住。日本女子大学英文科言語学科専攻より編入、ハワイパシフィック大学国際ビジネス学科卒業。2003年より不動産売買、管理業、他州で教育業務に携わり、現在はグレイスインターナショナル不動産代表、こども学習教室代表理事を務める。
【こども学習教室】
(日刊サン 2019.10.18)