アロハ!いよいよ夏休みが近づいてきましたね。お子さんをお持ちのご家庭のみなさんは、夏休み中のお子さんの活動について(日本の現地校に行く、サマーファンに参加するなど)いろいろなご予定を立てられていることと思います。今回は、そんな夏休み中の家庭学習についてお話したいと思います。
日本の学校と違って、夏休みの宿題がないハワイの現地校。お子さんの予習・復習を含めた家庭学習をどうやって進めたらいいのか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。特に夏休みの宿題の定番、絵日記や読書感想文に代表される“日本語で文章を書く練習”をどのように進めれば良いのか?ここで意外と知られていないポイントが、“筆記用具”なんです。
現地校では筆記用具には特に制限がなく、鉛筆やボールペン、カラーペンなどを使って文字を書かせていますね。しかし日本では、文部科学省からは特に指定されていなくても、学校側から鉛筆の濃さ(硬さ)を指定されていることが一般的なんです。
というのは、昔に比べて筆圧が弱い子どもたちが増えてきたことが原因の一つにあげられます。専門家は、生活が便利になりすぎて、手首の発達や指に力を入れる動作が少なくなったことにより、筆圧が弱い子どもたちが増えてきていると指摘しています。
筆圧が弱いと何が問題なのか? 手の指の力と脳の前頭葉の発達とは、実は深い相関性をもっているとされているのです。つまり、筆圧の強弱は“物事を総合的に判断する能力の発達”に関わってくるというわけです。
そこで日本の学校では、鉛筆の濃さをB~2Bに指定し、指や手首の発達のためにも筆圧のコントロールを学ばせているのです。
個人的にも、シャープペンなどを使うより、柔らかい鉛筆を使う方が、より漢字のとめはねに敏感になったり、手首の疲れや姿勢も楽になるように思います。全国で唯一、硬筆による展覧会が開催されている埼玉県ではなんと10Bの鉛筆まで制作・販売されているそうです。子どもたちは手を真っ黒にさせながら、とてもきれいな字を書いていますよ。
日本語で文章を書くということは、英語で文章を書くことに比べ画数も多く細かい作業。しかも漢字の書き取りとなると地味な反復練習が続きます。そこでHBの鉛筆やシャープペンではなく、柔らかいB以上の鉛筆を使うことで、いつもより楽に課題に取り組むことができるというわけです。
文字を覚え・きれいに書けるようになり・脳の発達を促す、一石三鳥の“濃い鉛筆”。夏休みの家庭学習にぜひ取り入れて頂きたいです。B以上の濃い鉛筆は、ハワイにいてもインターネット通販等で簡単に入手できますよ!
ディラング真由子
神戸大学大学院人文学研究科博士課程修了。学術博士。2011年にハワイに移住。2児(1男1女)の母。日本在住中は小学生から大学生・留学生に国語を教えていた経験を活かし、2018年より学習塾「こども学習教室」の教室長に就任。
(日刊サン 2019.05.11)