皆さんは絵を描くのが好きですか?それとも嫌いですか? 週末のちょっとした遠出や、夏休みの長期旅行などの際、携帯電話やタブレットを小さなスケッチブックと鉛筆に持ち替えて、大人も子どもも自由に絵や文章を書きながら、旅を楽しむのはいかがでしょうか。
「上手に描けないから、絵を描くのは嫌い」とか、「小さな頃から絵を描くのは苦手」、そんな声をよく聞きますが、本物そっくりに描けなくても、大丈夫。楽しかったら、それで良いのです。上手い下手ではなく、楽しい! が、好き! という気持ちに変わってきます。
色彩豊かな景色でも、変わった虫でも、お昼に食べたものでも、お母さんの怖い顔でも(!)、ちょっと変わったお土産物でも・・・、旅行や外出時に気になったものは何でも、イラストと言葉で残しておくと、後になって、写真以上にその時の気持ちや情景が思い出されて、とても楽しくてお勧めです。
ハワイの色彩豊かで美しい自然の中、様々なルーツを持つ人々に囲まれて生活する私たち。子ども達も、ゲームの画面から顔をあげて、五感でそれらを感じ観察し、今ある環境をさらに楽しむことができるのは、ハワイならではの良さでもあります。
我が家の子ども達が、夏休みに日本の小学校でお世話になった時、教室に飾ってある絵を見て驚いたことがあります。それは、みんな構図がほとんど同じだったこと。絵を描くことが苦手な子が苦労しないようにとの、先生方の配慮かもしれませんが、ハワイの学校から持ち帰る自由すぎる絵を見慣れていた私には、大きな驚きでした。
もしお子さんが絵を描いたら、家族の皆さんは、子どもの自由な感性そのままを受け止め、話を聞くだけというスタンスでいてください。見て聞いて匂って味わって触って、そして感じたことを、自分なりの表現方法を見つけて、思い出として残すことの楽しさを見出せることは、素晴らしいことです。そして、大好きな家族にそれをそのまま受け入れてもらえたら、喜びもひとしおなはずです。さらに、描いた絵に、日本語で言葉を添えていければ、子ども達の日本語の勉強にもなって一石二鳥!
美術館、動物園、植物園、水族館、ビーチ、ハイキングなどなど、小さなスケッチブックをそっと忍ばせて、子ども達と一緒に思い出帳を作ってみましょう。
増田 智美
補助講師。女子美術短期大学卒業。中学教諭二種免許取得(美術)。ハワイで育つ子どもたちが楽しみながら生きた日本語を学び、日本語で考える力をつけられるようお手伝いをしていきます。
(日刊サン 2019.04.19)