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Dorakuオーナー ケビン青木さん

Bynikkansan

6月 9, 2011

ケビンさんは、アメリカで鉄板焼きブームを巻き起し、アメリカンドリームを 実現した「紅花」チェーンのロッキー青木氏の長男です。ケビンさんは子供の 頃から深くレストランビジネスに親しみ、若い頃から父を助け、今まで30件以 上のレストランを手がけてきました。独立してスタートしたDorakuも絶好調 で、ハワイで2号店がオープンすることも決定しています。 レストランビジネスは失敗する確立90%以上と言われるハワイで、いかに してレストランを成功させたのか?詳しくお話しを伺いました!

 

 

アメリカで日本食レストランを成功させる方法

 

自分が行きたいお店、それがDoraku

もともと僕は20歳くらいから紅花で20年間働いてきました。現在、紅花は世界に約 120店舗を展開しています。僕は父を手伝って、ドゥバイ、レバノン、コリア、オーストラリアと30件以上のオープンに携わってきました。

 

父から色々教わり、勉強してきたので、一人で自分のアイデアでやりたいと思い、10年前にマイアミにDorakuをオープンしました。 3年前に父が亡くなり、今は独立しています。 Doraku1号店を始めた時、僕はまだ紅花で働いていました。

 

「Sushi Doraku」という紅花系列のレストランがマイアミにあ ったのですが、そこを閉めることとなり、「この場所を使いたかったら使っていいよ」と父に言われたんです。場所を見て、自分が行きたいタイプのお店を作ろうと思って作 ったのが最初のDorakuです。

 

シェフは、表のスシバーには日本人のスシシェフ、裏のキッチンにはマイアミなのでラテン系のシェフを見つけました。デザインのイメージはジャパニーズ・ティーハウス。伝統的だけど、カッコいい。例えば小さい部屋のようにスペースを区切って、のれんを付けて五円玉を飾ったり。

 

デザインを担当 しているのは、ニュー ヨ ークのノブ・トライベッカのデザインも担当した人で、アメリカ人です。僕とはマイアミ、ハワイを含めて5件くらい一緒に仕事をしています。テーマはロマンティック、ムーディー、エナジー、クール……。

 

店の雰囲気がお客様に伝わるように、スタッフは厳選しています。音楽はユーロハウスとトップ40を混ぜています。トップ40は皆知っている。ハウスは知らないけどカッコいい。それをミックスしているので、知らないけれど雰囲気がカッコよくて、時々知ってる曲がかかる。

 

音楽は僕の弟でDJのスティーブンが手伝ってくれています。 客層は21歳から35歳くらい。アーバンカスタマーズがメインです。

 

紅花は1960年にオープンして、最初は若い人に人気があるお店だったけれど、長い間やっているうちにファミリーが多くなった。今の若い人は料理を食べる時に何が大切かを考えて、 Dorakuは作りました。大切なのは、ダイ二ング・エクスペリエンスで、そこには、雰囲気、デザイン、フードクオリティ、アンビアンス、デコレーション、エナジー、パ一ビジネスなどが含まれています。

 

バービジネスというのは、時代のよって変化しています。例えばカクテルだったら、昔はピニャコラーダが人気があったけれど、今はマティ一ニの方が人気がある。 Dorakuにはウォッカが20種類以上揃っているけれど、昔はパーボンの方がたくさんあった。その流行を勉強してメニューを作っています。

 

それから、今は日本酒(sake) がとても大切で、Dorakuでは25種類以上揃えています。紅花のバーはもっと小さい。今の紅花のバーのお客様をDorakuのバーに連れてきてもたぶん合わないと思います、客層が違うから。

 

Dorakuのお客様はアメリカ人が多いのですが、彼らは日本酒のボトルに書いてある漢字は読めないけれど、日本酒を飲むというスピリットは理解できる。大抵の日本食レストランは3 ・4種類しか日本酒を置いていないけれど、日本人はあまり気にしない。

 

アメリカ人は日本酒の種類が分からないので、Dorakuがお客様をエデュケートするんです。これがスウィートで、これがドライで、これが大吟醸で一番ハイランクのもの、という風に。分からなくても違うボトルが25種類も並んでいたら、目には面白い。

 

教えてあげると喜ばれるし、新しい知識をDorakuで得ることができると、お客様はまた帰ってきてくれる。3種類のサンプルを選べるメニューもあります。バーテンダーも含めてスタッフは全員とても重要です。

 

 

Dorakuはアジアの味とコケイジャンの味の融合がコンセプト

お店を作った時、僕はお客様が週に1度来れるお店にしたかった。だからプライスはアフォーダブルに設定しました。でもフ ードクオリティは高くして、冷凍のものは使わない。すべての素材はキッチンで料理する。そしてちよっと変わった味というのがポイント。

 

僕はDorakuのカルチャ一を作りた ぃ。全部トラディショナルな味だと、カルチャーが少ない。例えば、エビの天ぷらには、衣にバジルを入れて風味をつけたりという風に、少しフレイバーを変える。そして、3ヶ月ごとにメニューを検討して、売れないものはチェンジしています。

 

マイアミで売れるものとハワイで売れるものは違いますね。エリンギ•マッシュルームはマイアミでは全然売れないけれど、ハワイでは人気がある。クリ ームチ ーズを使ったDoraku Roll は、マイアミでは売れるけど、ハワイでは売れないという風に、場所によ ってけっこう違いがあります。

 

ハワイの日本食は、マイアミよりもソフィステイケートされていると思います。アジアのカルチャーが浸透しているから。マイアミはまだ日本食の勉強をし始めたばかりと言 えますね。 魚のクオリティも違います。ハワイはフレッシュなものが入りますが、マイアミはあちこちから取り寄せなければならない。

 

今はハワイからマイアミに魚を送ったりしています。マイアミのお客様は、クオリティが上がったし、勉強になると喜んでいます。 ハワイの人は日本食の味がよく分かる。Dorakuは「アジアの味とコケイジャンの味の融合」がコンセプトだから、ハワイにはすこく合っていたのだと思います。

 

月に1度マイアミ店にハワイ店のシェフが行って、トレーニングをしています。マイアミの一般的な日本食レストランでは、クオリティはそれほど重要ではありません。魚のクオリティよりは料理のデコレーションの方が大事。

 

僕がハワイに来て一番勉強になったのは、きれいなデコレーションはもちろん大切だけど、料理に何を入れるかの方が大切ということ。素材は何を使うか?マグロのランクはどれにするか?マイアミの人はマグロのランクは分からないけれど、ハワイの人はポケなんかを食べなれているから、すぐにランクがパッと分かる。

 

ハワイの人は、フローズンのマグロはすぐにわかります。ハワイのスタンダードをマイアミに取り入れ たら、とても好評で、こんどマイアミに2号 店をオープンすることも決まっています。 ハワイでも、12月にもう一件Dorakuをオ ー プンすることが決まり、今準備中です。

 

ワードとカピオラニの交差点の近く、ブレイズデ ルホールの向かい、パシフィカ・コンドの1階にオープンするDorakuは160席で、ワイキ キ店とだいたい同じ規模です。ワイキキは観光客70%、ローカル30%ですが、バシフィカ は90%以上がローカルになると思います。 ですからメニューも客層に合わせて少しチ ェンジします。ププ•スタイルのように小さな ディッシュをた<さん用意する予定です。

 

The Rising Sun

Shrimp, Avocado, Takuan, Shiso, Spicy Tuna, Tempura Flakes, Red Tobiko, Kabayaki, Doraku Poke Sauce

 

レストランビジネスはいつでも問題がある

レストランをたくさん出店するのは面白いです。紅花ではたくさんのお店をどうやってマネージすればいいかを学んだので、パーフェクトではないけれど頑張るしかない(笑)。レストランは投資にお金がかかるし、儲からないとすべてを失う。それに比べれば、作る段階はとても楽しい(笑)。

 

今は、2 ヶ月に1週間はマイアミ店に行っています。レストランビジネスはいつでも問題がある(笑)。それに対していつでも準備ができていれば大丈夫。僕が21歳の時、紅花のマネージャーとしてある店舗に入りました。その時「店で誰か死んだら電話しなさい」 と父から言われました。死ぬほどのことがない限りは自分ですべてマネージするようにということです(笑)。

 

今は、マイアミ65人、ハワイ65人と従業員がたくさんいますので、どうしても問題はでてきます。人間だから、それを管理するのが一番大変。マイアミとハワイではスタッフのタイプも違います。

 

マイアミはラテン系の人が多いので、皆苦労しているからいい仕事を与えるだけで満足してくれます。 ハワイの人はのんびりしているので、もっと難しい。友達のように親身になって付き合わないと信用してもらえない。最初はそれが難しかったけれど、3年で昇給という方針で従業員を雇っているので、最近はあまり入れ替わりはないです。

 

スタッフは上・中・下の3段階に分けて考えます。上級のスタッフは良い条件で必ずキープする。中間のスタッフはトレーニングして上級にレベルアップする、下のスタッフは上に上がれるようにトレーニングするかどうするか考える。ミーティングで各パートで誰が一番重要か、誰にトレーニングが必要かを細かく聞きます。

 

スタッフの管理が一番のチャレンジだけど、一番大切だと思います。人がいないと努力の意味が全てなくなってしまいます。