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オールブリードハンドラー 井上耕盛さん

Bynikkansan

12月 8, 2012

犬を飼っている方、
これから飼おうと思っている方ヘアドバイス

犬と生活していく上で、犬のことをもっと勉強して欲しいと思います。犬というのは目的によって種類が作られているので、自分の生活にあった犬種を選ぶことができれ ば、人間も犬も豊かな生活を送ることができるんです。

 

アウトドアーの好きな人だったら、スポ一ティングドッグのグループから選べば、一緒に外へ出てアウトドアーをお互い楽しむことができます。また、家にいることが多くあまり出かけない人には、愛玩犬を選ぶことをお勧めします。

 

なので、見た目のかわいさやかっこよさだけで犬種を選んでしまうと、自分の生活スタイルに合わないものを選んでしまう恐れがあり、犬と生活を共にすることが難しくなってしまうことがあるのです。 犬種によってはよく吠える種類がいます。

 

それを知らずにコンドミニアムで飼い始めてしまい、後から吠えて困ると言って常に犬に怒ったりすると、犬にも人間にもストレスになってしまいますからね。最初から、犬の性質、特徴などが分かっていて、生活のス夕 イルに合わせた犬さえ選べれば、お互いに楽しく生活することができるんです。

 

そして犬種を決めた後の犬選びです。現 在ヨ ーロッパでは、ガラスケ一スに入れて犬をペットショップなどで販売することは禁じられています。アメリカでも州によってはブリーダーからしか買えない州があります。

 

ガラスケ一スに入っている子犬はとてもストレスが多く、子供のころに受けたストレスは、成長過程でも惑影響を及ぼしてしまうので、子犬はブリーダーさんから購入することをお勧めします。 ブリー ダ ーさんから購入する際も、いいブリーダーかどうかを見極める必要があります。

 

まずは自分で実際にブリーダーさん のところへ脚を運んでみてください。そしてまず、犬舎が衛生的かどうかをチェックします。ブリーダーさんのところへ行くのも、1 度だけではなく複数回行ってください、そしてその都度、犬舎の衛生管理はちゃんとしているか、犬自体もきれいになっているか、においはしないかを確認してください。

 

しっかりしたブリーダーさんは、衛生管理も犬 のトレーニングもしっかりできています。 そして子犬の両親を見てください。フレンドリーな両親からはフレンドリーな子犬が 生まれます。

 

そして実際に子犬を見せても らってください。同じ両親から生まれた子 犬でも、それぞれ性格が違います。すぐによ ってきて人懐こい子、自分で遊んでいる子、隅っこで恥ずかしがつている子。実際に子 犬を見て、自分に合う性格の子を選んでく ださい。

 

そしてもうーっ、色素のしつかりした子 を選ぶことをお勧めします。目や鼻の色が黒い子は性格のいい子が多いですからね。そして実際に犬を飼い始めたら、犬のことをしっかり勉強して躾をしてください。

 

犬の 性質を知らずして、正しいしつけはできま せんし、自分本位のしつけではなく、犬と共に生活していく上で何が必要かをまずは人 間が学び、それを犬に教えてあげるのが一番なんです。 ダメな犬って言うのは、まず99%いないんです。

 

ダメ犬と言っている場合のほとんどは、飼い主がダメ犬にしてしまった結果なんです。人の言うことを聞かないのではな く、言うことを聞かない犬にしてしまったの は飼い主の責任です。

 

そういうことからも、まずは飼い主が犬のことをしっかり学び、犬の習性や行動、あるべき生活習慣を理解した上で正しい躾さえできれば、問題のある犬はいなくなるんです。

 

 

ハワイを世界の中心にしたい

今現在、多くの犬がヒューマンソサエティーなどで生活し、新しい飼い主を待っている状態です。今現在捨てられてしまった犬のケアーも大切で、できる限りのお手伝いはしたいと思っているのですが、今後長い目で見て、捨てられない犬を作ることが 大切だと思っています。

 

何らかの問題があるからこそ、一度飼いはじめた犬を飼い主が手放しているんです。僕たちブリーダーにできるのは、健康で問題のない性格の穏やかな犬達を次世代に残していくことだと思っています。

 

私たちブリーダーは、繁殖をさせる前に必ず犬のレントゲンを撮り、専門機関で検査をしてもらい、エクセレント以上の結果が 出た子にしか繁殖はさせません。

 

何らかの 病気があったり、骨格や股関節の弱い親か らは、同じような子犬が生まれる可能性が 高いので、不幸な子を作らないためにも、メンタル、フイジカル共に健康な子犬を世に送り出していきたいと思っています。

 

そして今、ハワイに縁があってハワイに住んでいます。ハワイにはすばらしい人たちがたくさんいて、僕自身ハワイがすごく好きになりました。なのでこのす ばらしいハワイが、犬の中心地になれるようにしていけたらと思っています。

 

「犬を買うんだったらハワイに行こう」って言ってもらえるような場所にしたいですし、ここハワイから何かを発信できるようになれたらいいと思っています。そして今後は、飼い主のエデュケーションができるような場所を作っていきたいと思っています。

 

そしてもうーつ、現在手がけているのが、 Land of Alohaプロジェクトの犬の部を担当させていただいています。これは人間や動物が自給自足の中、自然に生きていけるように作られてた場所なんですが、ここにいる犬たちはドッグフードではなく、本来の 雑食生活をしています。

 

本来あるべき自然 の中で生活をする事で、人間も動物もメンタル、フイジカル共に健康な生活を送ることができています。 ここで生活する犬たちはとても自然体で、その犬たちから学ぶこともたくさんあり、今後のハワイでの活動に大いに生かせ ると信じています。

 

 


井上耕盛(いのうえこうせい)

熊本県生まれ。子供のころから多くの動物や犬に囲まれ 生活する中、15歳でショードッグとしてドーベルマンを購 入。17歳で知人のドーペルマンを引いてハンドラーとして FCI九州インターナショナルショウに出場し、ドーペルマン 部門で優勝、ワーキンググループで2位を獲得。高校卒業 後、東京のケネルで修業中、アシスタントハンドラーとして 多くのドッグショーに出場し、数多くの犬を優勝に導いた。 5年の修業を得て独立し、自分のケネルを持つ。2006年3 月よりハワイで開業し、現在はヤングストリートにあるグルーミング店 “Fur Love”を経営しながら、多くのドッグショーに出場している。


 

 

(日刊サン 2012.12.08)