今年で開局50周年KZOOはみなさんのラジオ
−デービッドさん
先日、元大相撲力士の小錦さんが番組 で話してくれたことが印象的でした。ハワイ 自慢をするというコーナーで、私が 「KZOOは50周年!」と自慢したときに、小錦さんも今年ちょうど50歳だとおっしゃって、 「KZOOは(彼の人生の中で)意味がある」 と。日本で最初に優勝したときに、彼のお母 さんはKZOOを通して放送していたNHK の大相撲中継を聴いて、その瞬間を知り、祝ったのだそうです。
この50年を振り返っても、大相撲中継は大人気番組でした。テレビ放送は1日遅れたものだったり、生中継になったときも英 語での解説だったので、テレビを見ながらKZOOを聴いていた方がたくさんいらっし ゃいました。
—ロビンさん
ハワイ島でケーブル放送の仕組みが変わり、KZOOが聴けなくなったときは「生きている意味がない」と手紙をもらったこともありました。(今はOceanic Time Warner Cableで聴取可) 臼木屋スタジオの前をラジオを聴きながら通り「ずっと聴いているよ!」と言ってくだ さる方、朝出掛けるときも、買い物をしているときも、配達中もずっとラジオを持っている方もいらっしゃいます。
一人暮らしのお年寄りは、夜寝るときもラジオをつけていたり、先日はラジオをスタジオまで持って来て 「聴けるように合わせて!」と(笑)。ホテルからいらっしゃった観光客の方でしたね。
−デービッドさん
最初にKZOOに入った時、父の気持ちはわかっていたものの、あまりにも経験が違ったので自分がKZOOにいるのがおかしいと思っていました。 そんなときに、買い物をしていた私の背中をバンと叩く女性がいて「古屋!日本語 放送はKZOOだけなんだから、がんばってよ。毎日楽しみにしているからね」と言われました。
面識のない方でしたが、その方は私を知っていてくれたようです。思わず 「ありがとう、がんばります」と答えました。その ときに、私たちはオーナーだけれど、KZOOはみなさんのラジオなんだ。私のものじゃないと思ったんです。いろいろなものを変えていこうとしていたタイミングでしたが、大事なところは残しながら、進めていこうと決 めました。
KZOOには開局以来50年間続けているアナウンサーもいます。宇良啓子アナウンサーと彼女が担当してきた「かりゆしとともに」という沖縄の番組、また電話応答の番組も開局した時から続いています。ー方で新しいサービスも今年8月からはじめました。NGNで 「KZOO ハワイニュース」というテレビ放送をしています。テレビ でKZOOのラジオニュースを聴いて見ていただけるというものです。ヘッドラインのハ ワイローカルニュースや週末情報も流しています。
ホテルで見てくださる観光客が多く、ローカル向きのイベント情報を喜んで いただいたり、反響が出てきています。 歴史は繰り返すものです。みなさんが必要とするもの、文化や情報、教育、安全を提供するという意味では50年前と同じです。同じこと繰り返しながら、新しいプレゼンテーションをしていきたいのです。
KZOOの名前の由来は、大人も子どもも喜ぶ動物園”ZOO”のような番組を作りたいという意味にあると聞いています。 変わっていく時代の中で、常に聴いている方のコミュニティに合った番組、こ要望にあ った情報を伝えていくことが大切です。聴きたい番組、知りたいことなどどんなことでも、ぜひリスナーのみなさんのご意見をいつで もKZOOまで直接お聞かせください。
大切にしている言菓
ーデービッドさん
私が大好きな言葉は「逢えてよかった」で す。プナホウ・スクールのひろみ・ ピーターソン先生が、ご主人が亡くなったときに「逢えてよかった」という気持ちで、KZOOに書いてくださった言葉で、しばらくはスタジオにも飾っていました。 私たちはKZOOを通して、リスナーのみなさんに逢い、街でいろいろな方に出逢い、 インタビューでも多くの方に出逢います。
さらに白木屋スタジオがあることで、国を超えた出逢いがあり、広がりができたと実感しています。 私たち夫婦の出逢いがあって、二人のコラボレーションで生まれたアイディアがあってここまで歩いてこられました。そしてこの 50年間、KZOOのスタッフがしつかりとKZOOを支えてきてくれました。
そしてなにより、KZOOは毎日聴いてくださるリスナーのみなさんやスポンサーの方々がいなくては成り立ちません。こうしたたくさんの柱があるからKZOOが立っていられるのです。 私の子どもは5人ですが、一人は3歳半 で病気で亡くなりました。人生短いけれど逢えてよかったと心から思っています。悲しいことでしたが、私たち夫婦はいろいろなことを学んで、人生は良い方向に変わりました。
夫婦の出逢い、スタッフとの出逢い、そしてリスナーのみなさんとの出逢い。これま でたくさんのすばらしい出逢いをしてきました。KZOOを通しての出逢いはこれからも広がつて、リスナーのみなさんともっともっとつながつていくと思います。私たちはみなさんにとって 「逢えてよかった」と思っていただけるような放送局にしていきたいと思っています。
デービッド古屋 (David Furuya)
1960年ホノルル生まれ。日系3世。日本の資生 堂、ニューヨークの資生堂アメリカ勤務を経て、父 親が経営するハワイの資生堂へ入社。1996年に はオーナーだった両親からKZOOを引き継ぎ、社 長として経営を立て直す。
ロビン古屋 (Robyn Furuya)
ホノルル生まれ。日系3世。幼少の頃から日本語学校へ通い、日本語を使う旅行会社、販売員やレス トランでアルバイトや仕事をする。さらにKZOOで DJとなる。KZOOを辞めた後にデービッドと出逢 い結婚。KZOOを引き継ぎ、ゼネラル・マネージャーになる。
(日刊サン 2013.10.12)