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イースターってどんな日?

 日本ではあまり馴染みがないけれど、イースターと言えばキリスト教圏ではクリスマスに次ぐ重要な行事です。日本では「復活祭」と呼ばれることも多いイースターについて、起源や行事を解説します。

イースターの起源

 イースターとはイエス・キリストの復活を祝うお祭りであり、キリスト教最古の儀式のひとつと言われています。

 キリスト教では、十字架に架けられたイエス・キリストが、3日の後に復活したとされています。

 イースターという名前の由来は諸説ありますが、8世紀のBedeという神父が唱えた説が有力とされています。これは、イースターという名前は、北方神話の春の女神「Eostre」に由来するというもの。本来はキリスト教とは関係ない異教徒の春の祭りが、キリスト教の布教の祭に意味を変えて普及したといわれています。

 寒さの厳しい冬から。草木が芽吹き動物たちが活動を始める春へと移り変わる様が、十字架で処刑された後に復活したキリストの姿にイメージが重なり、統合されていったと思われます。

 色をつけた卵を配るイースターエッグや、多産の象徴であるウサギがイースターのシンボルとされているのも、ゲルマン人の祭りに由来すると考えられています。

イースターっていつ?

 イースターは毎年日付が変わる移動祝祭日で、「春分の後の、最初の満月の、次の日曜日」と決められています。具体的には3月21日から4月24日の間になります。

 イースターは日曜日の1日だけですが、金曜から月曜にかけては連休になるお店や役所もあるので、何か予定を立てる時は確認しておいた方がよいと思います。

 西洋のキリスト教会は上記の方法でイースターの日付が決まりますが、東方教会では別の計算方法を用いるため、西洋とは日付が4~5週間もずれることがあります。

イースターには何をする?

 イースターといえば「イースターエッグ」。卵が好んで使われてきたのは、生命や復活を象徴するものだからではないかと言われています。

 中世ヨーロッパでは、イースターの前9週間は、野に出て野鳥の卵を探すことが禁止されていました。イースターの日にそれが解禁になると、人々は一斉に卵を探したそうです。また卵は、長い冬の束縛から解放され、春が始まることの喜び、新しい希望、繁栄などを、象徴しています。

 卵は「イースターうさぎ(Easter bunny/Easter here)」が運んできたとされています。子沢山のうさぎは、古代より繁栄のシンボルです。

 庭に卵を隠して子供に探させる「エッグハント」や、ホワイトハウスで毎年行われる「エッグロール」も定番です。エッグロールは丘の上から卵を転がすもの。卵をスプーンにのせて、落として割らないように気をつけながら走る「エッグレース」も人気があります。イギリスでは古代演劇「ペース・エッグ」が上演される地域もあります。

 家族でゆで卵を食べたり、家族や友人と卵やウサギのチョコレートを交換したり、中にプレゼントを入れたチョコレート卵を交換するという風習もあります。

イースターリリーは日本が起源

「イースターリリー」と呼ばれる大きく白いユリをご存知でしょうか?いかにも古くから西洋に自生していたかのような名前ですが、実はこのユリの起源は日本。沖縄のテッポウユリが、欧米にもたらされたものなのです。

 白ユリは純潔のシンボルであり、聖母マリアを象徴する花として親しまれてきました。宗教画には聖母マリアと共によくユリの花が描かれています。テッポウユリの大きくて美しい姿は人々を魅了し、圧倒的な人気を得るようになりました。

11億円のイースターエッグ

 家庭で作る素朴なイースター・エッグの他に、金銀宝石で飾られた、高級美術品としての「イースター・エッグ」があります。 

 映画『007 オクトパシー』でも、モチーフとして取り上げられた高級美術品の「イースター・エッグ」。その豪華さと美しさで特に有名なのが、ロシアのロマノフ王朝の秘宝「インペリアル・イースター・エッグ」です。 

 天才的デザイナー、ファルベジェが作った56個の「インペリアル・イースター・エッグ」は、黄金と宝石の豪華な装飾もさることながら、精巧な細工が施されており、今では誰も作ることができないと言われています。現在、44個の存在が確認されており、過去のオークションでは1個に11億円の値段がついたことがありました。

イースター島はどうしてイースター島なの?

 チリの首都であるサンティアゴから西へ3,700kmの太平洋上に位置するイースター島は、北海道利尻島とほぼ同じ大きさの小さな火山島です。正式名はスペイン語で「パスクア島(Isla de Pascua)」。”Pascua”はイースター(復活祭)を意味します。もともとは現地の言葉で「ラパ・ヌイ(rapa nui)偉大なラパ」と呼ばれる島でした。 

 どうしてイースターという名前がついたのでしょうか?それは発見された日がイースターだったためと言われています。1722年の復活祭の夜、オランダ海軍提督のヤコブ・ロッゲフェーンが、南太平洋上に浮かぶ小さな島を発見しました。 

 この島に上陸したロッゲフェーンは、1000体を超えるモアイと、その前で火を焚き地に頭を着けて、祈りを捧げる島人たちと出会いました。1774年には、イギリス人探検家のジェームズ・クックも上陸しています。(クックはその後1778年にハワイ諸島を発見しています。) 

 クックが上陸した時は、多くのモアイ像が破壊されていましたが、島のモアイの半数ほどはまだ直立していたといわれています。そして山肌には作りかけのモアイ像が、まるで作業を急に止めてしまったかのように放置されていました。 

 伝承では、1840年に最後のモアイが倒されたとされています。18世紀から19世紀にかけて、ペルー政府の依頼を受けたアイルランド人のジョセフ・バーンや、タヒチのフランス人の手によって、多くの住民らが奴隷として島から連れ出されました。また、外部から持ち込まれた天然痘が、猛威を振るった結果、島の人口は更に激減し、先住民は絶滅寸前まで追い込まれました。 

 1872年当時の島民数はわずか111人。イースター島は1888年にチリ領になり、現在に至っています。

4/22 グッド・フライデー(ハワイ州の祝日)

※州の公的機関、学校は休み。連邦政府機関や多くの企業、お店は通常通りの営業。

 イースター・サンデー(復活祭)直前の金曜日がグッド・フライデー(聖大金曜日)。十字架刑に処せられたイエス・キリストが天上に召された日とされ、その受難と死を記念する、キリスト教に根づいた祝日です。アメリカの祝日ではありませんが、ハワイ州を含むいくつかの州の祝日です。

 州の公的機関、図書館、学校は休み。市バス[TheBus]は休日ダイヤ。国の祝日ではないため、連邦政府機関や、ほとんどの企業、銀行は営業します。(株式市場は閉場。外国為替市場は開場)郵便局はオープン。ショッピングモール、小売店、飲食店も通常通りの営業。ホノルル動物園やワイキキ水族館ほか、ほとんどの博物館や美術館、植物園もオープン。ただしハワイ州立美術館は閉館です。

家庭でカンタンに作れる、 一般的なイースターエッグの作り方

1. 生卵を用意する。

2. キリなど先の尖った道具で、たまごの底に小さな穴をあける。

3. 穴から、串などを入れ、中身をそっとかきまぜる。

4. 黄身がつぶれたら、穴から中身を外に出して、カラだけにする。(上下に穴をあけて、一方から息を吹き込むと早く中身が出せる)

5. たまごの中を水で洗う。

6. 綺麗な布や千代紙を好きな大きさに切ってボンドで張り付けたり、絵の具で好きなように色づけする。

7. そのままバスケットに入れて飾ったり、たまごの上部にも小さな穴をあけて、紐やリボンを通し、釣り下げて飾ってもカワイイ。

イースターは実は90日間もある?

 イースターはキリストの復活を祝う1日だけのお祭りというだけではありません、イースターの前後には、かなり長期に渡る特別な期間があるのです。イースター前の40日間とイースター後の50日間、合わせて90日間は重要な意味があります。 

 ここで90日間を簡単に解説します。 

 

カーニバル(謝肉祭):レントの前の3日~1週間 イースターから数えて47日

 レントの前に肉を食べて楽しむという、主にカトリック教国の行事。リオのカーニバルやニューオーリンズのマルディグラが特に有名です。イギリスではレントの前日を「パンケーキデイ」と呼び、レントの間節制する卵や油をたっぷり使ってパンケーキを食べます。

 

レントLent (四旬節)とアッシュ・ウェンズデイ(灰の水曜日):イースター前の40日間(西方教会6週間/東方教会8週間) イースターから数えて46日

 聖書によれば、イエス・キリストは40日間断食をして荒野をさまようという修行をしています。この修行に習ってイースター前の40日間を「レント」と呼び、肉・卵、油、乳製品などを控えて食事を節制し、結婚式などの祝い事も避けます。

 西方教会でレントが始まるのは、実際には46日前の「灰の水曜日」からですが、日曜日はもともと神に捧げる特別な日なので断食はせず、レントの期間としてカウントしません。東方教会では土曜日もカウントしないので、レントの期間は8週間となります。

 この期間の水曜日は、悔い改めの日として額に灰を受けるという儀式を行います。これは、レントの期間中、罪人が悔い改めの印として、懺悔服を着て灰をかぶったことに由来しています。

 

ホーリーウィーク(聖週間・受難週間)とパーム・サンデイ:イースター前の1週間 イースターから数えて7日

 イエス・キリストは日曜日に首都エルサレムに入り、13日の金曜日に十字架にかけられて処刑されました。この1週間のことを聖週間と呼び、この期間はイエス・キリストに起こったことを追憶します。

 イースター直前の日曜日はパームサンデイと呼ばれ、イエスがエルサレムに入場したことを記念する日です。ガリラヤ地方で活動を行っていたイエスが、首都エルサレムにロバに乗って入ってきたとき、人々はヤシの葉を敷いて歓迎したことに由来します。ヤシ(またはシュロ)は、勝利と喜びのシンボルです。

 

聖月曜日:イースター直前の月曜日 イースターから数えて6日

 エルサレムに入った2日目の月曜日に、イエスは神殿に向かいました。そこでイエスが目にしたのは、祈りの場である神殿で、両替や捧げものなどを売って立ち並ぶ屋台などでした。怒ったイエスは屋台のベンチをひっくり返して商売人たちを神殿から追い出しました。

 

聖火曜日:イースター直前の火曜日

 エルサレム3日目の火曜日は、「論争の日」とも呼ばれます。これは、イエスが神殿内でパリサイ派やサドカイ派の人々を相手に行った論争に由来しています。「カエサルのものはカエサルに、神のものは神に」という有名な言葉は、この時に生まれました。

 

聖水曜日:イースター直前の水曜日

 マグダラのマリアという女性は、イエスの足に高価な香油を注ぎました。イエスの弟子たちは、香油で足を洗うなんて馬鹿げたことだと笑いましたが、イエスは「この行為は後の世にも語り継がれるだろう」と述べています。

 

洗足の木曜日(Maundy Thursday):イースター直前の木曜日

 イエスが十字架に架けられる前日に、12人の弟子と共にした最後の晩餐を記念する日。この時、イエスは自ら弟子たちの足を洗い、おごり高ぶることなく自分より下位の人々の足を洗うよう模範を示したので、洗足の木曜日と呼ばれています。

 

グッド・フライデー(聖金曜日):イースター直前の金曜日

 イエスが十字架に架けられた日。イエスは13日の金曜日に十字架に架けられ、3日後の日曜日に蘇ったとされています。

 グッドというポジティブな言葉が使われるのは、この日からイエスを通して救いが万人に与えられたためだという考え方から来ています。

 イエスが十字架に架けられたのは、午前9時。そして、正午から午後3時までは、地が暗くなったといわれています。イエスは午後3時に息を引き取りました。イエスの最後の言葉が「エリ・エリ・レマ・サバクタニ(神よ、神よ、どうして私をお見捨てになったのですか)」です。

 

イースター当日

 

キリスト昇天:イースターから40日目の木曜日

 イエスが復活後、昇天したことを記念する日。

 

ペンテコステ(精霊降臨日):イースター後の第7日曜日・イースターの50日後

 イエスの復活から50日目に、精霊がイエスの弟子たちに降りたことを記念したことに由来。ペンテコステはギリシャ語で50番目の意味。

イースターエッグとコンピューターって関係がある?

 英語のサーチエンジンを使って「Easter Egg」というキーワードで検索すると、検索結果に何やらよくわからないコンピュータ関連サイトが出てきて驚くかもしれません。実は、コンピューター業界では「Easter Egg」とは、ソフトウェアやホームページに開発者が名前やメッセージなどを一見わからないように隠した「ちょっとしたお楽しみ」を意味します。イースター・エッグハントを楽しむ子供たちのように、隠された「Easter Egg」を探すのが、コンピュータ・マニアの愉しみのひとつというわけです。

 この「イースターエッグ」、普通は使わないようなキー入力の組み合わせなどで呼び出すことができ、内容は、開発チームの名前から、面白い画像や音楽、そして凝ったものでは、ソフトの中にまったく別のゲームをプログラミングしたものもあます。例えば、マイクロソフトの表計算ソフトExcel 97には、なんとフライトシュミレーションゲームが埋め込まれていたとか。イースターエッグ探しに凝るマニアが、自分のホームページなどでその戦果を披露しています。

 このようなお宝探し精神は、コンピュータの世界のみならず、音楽や映画の世界でも発揮され、それらを総称して「Easter Egg」と呼ぶこともあります。ビートルズの歌の歌詞カードに書かれていない部分の歌詞や、映画『2001年宇宙の旅』に出てくるスーパーコンピュータ「HAL」に込められた意味など、「Easter Egg」を集めて紹介しているサイトもあります。

 




参考:http://www.eigotown.com  http://ja.wikipedia.org  http://www.hawaii-arukikata.com  http://www.visit-oahu.jp

(日刊サン 2011.04.22)