日本語は、和語、漢語、カタカナ語の3つを組み合わせた言葉です。和語は日本で元から使われていた言葉、漢語の由来は古代の中国語で、2世紀以前、邪馬台国の時代より前に日本に伝わったと言われています。カタカナ語は 世紀、日本がオランダやポルトガルなどヨーロッパの国と交易するようになって以降使われるようになりました。普段何気なく使っている日本語が実は外国語由来だったり、新しい印象の言葉が実は昔から使われていたりと、少し掘り下げてみただけでも思いがけない発見があります。今回のエキストラ特集では、日本語の意外で面白い語源や由来をランダムにご紹介しましょう。
阿吽(あうん) 宇宙の始まりから終わりまでを表す言葉
2人の人が何も言わずとも解り合ったり、呼吸まで合わせるように行動するさまを「阿吽の仲」「阿吽の呼吸」と言います。「阿吽」は古代インドで使われていたサンスクリット語(梵語)の仏教の真言が由来です。サンスクリット語の阿(a)は、何の妨げもない状態で口を大きく開いたときの音を表し、吽(m)は口を完全に閉じたときの音を表しています。
また、サンスクリット語の文字配列の始めは阿、最後は吽であることから、「阿吽」は「宇宙の始まりから終わりまで」を表す言葉とされました。そのほか、阿には真理や求道心、吽には智慧や涅槃という意味があります。仏教に関わる像にも阿吽が取り入れられており、神社の狛犬やお寺の仁王像、沖縄のシーサーなどは、対の片方が口を開けた阿形(あぎょう)、もう片方が口を閉じた吽形(うんぎょう)の形をしています。
兵庫県明石市岩屋神社の狛犬。通常、神社に向かって左に吽型、右に阿形が置かれる。 |
あわよくば 漢字で書くと「間よくば」
「あわよくば」を漢字で書くと「間よくば」になります。「間」には「あわい」という読み方があり、何かの折や機会という意味が含まれます。「あわいよくば」で「機会があれば」という意味になり、それが連語に変化して「あわよくば」になり、「好機があれば」という意味になったと言われています。
板につく 経験を積んだ舞台役者の比喩
積み重ねの結果として態度や物腰などが似合ってくる様子のことを「板につく」と言います。経験を積んだ役者の足は板張りの舞台につき、安定した演技ができるようになるということから「板につく」という表現が生まれました。
うだつが上がらない 「うだつ」は防火壁のこと
「うだつが上がらない」はご存知の通り「いつまでも出世しない、生活が良くならない」という意味です。この表現の由来には諸説あるようですが、ひとつは日本の古い商家の間にある屋根付きの防火壁「うだつ」から来ているというもの。江戸時代、屋根の部分に上げるうだつには装飾的な意味もあり、金持ちの商家の象徴でした。
そこで、貧乏で出世しない人のことを「うだつが上がらない」と言うようになったとされています。美濃和紙で有名な岐阜県の美濃市には、「うだつの上がる町並み」と呼ばれるうだつ付きの商家が並ぶ場所があります。
もうひとつの説は、家の屋根の一番高い場所に使う木材「棟木」と、柱の上にある屋根を支える横木の「梁」との間に立てる短い柱を「うだつ」と呼んでいたことが由来というものです。この短い柱、うだつは屋根に押さえつけられているように見えることから、「いつまでも出世しない、生活が浮上しない」という意味になったと言われています。
お転婆(おてんば) 語源はオランダ語の“ontembaar”
男勝りな女の子を指す「お転婆」という言葉は、オランダ語で「手に負えない」を意味する“ontembaar”が語源と言われています。そのほか、「転婆」という言葉が先にあり、それに接頭辞の「お」がついてお転婆になったという説も。
瓦(かわら) 元々はサンスクリット語
瓦(かわら)は、実は古代のインド亜大陸(南アジア)で使われていたサンスクリット語“kapala”(カバーラ)が語源と言われています。Kapalaには「覆う」「頭蓋骨」などの意味があります。
カンパ 実は語源はロシア語
資金集めを意味する「カンパ」の語源は、ロシア語の“кампания”(カンパニヤ)。これは英語の“campaign”と同時意味で、大衆に運動を促すことや、そのための寄付を募ることを意味します。
さようなら 別れを受け入れるあきらめの言葉
さようならの語源は接続詞「さらば(そうであるならば)」「左様ならば」であるとされています。「そういうことならば(別れも)仕方ない」という、別れをそのまま受け入れるあきらめのニュアンスを持ちます。
ジグザグ フランス語の「鋸の刃」
直線が交互に折れ曲がっている物や形を意味する「ジグザグ」は、フランス語で鋸の刃を意味する“zag”が由来です。かつての日本では「稲妻形」と呼ばれていました。
ズボン アラビア語の“djubba”
「ズボン」は“jupon”というフランス語が由来です。Juponは女性がスカートの下にはくペチコートを指します。Juponの語源は男性が着るゆったりとした衣服を意味するアラビア語の“djubba”です。
サバを読む 魚の鯖のこと
年齢を若く言ったり、自分のために数をごまかす行為を「サバを読む」と言いますが、その語源はやはり魚の鯖という説が有力です。冷蔵庫などがなかった昔、魚屋は傷みやすい鯖をできるだけ早く売る必要がありました。そのため速く数えながら売っていて、実際の鯖の数と魚屋が言う鯖の数がずれることが多かったのだそうです。
魚屋が言う鯖の数はいい加減な数字だったということから、数をごまかすことを「サバを読む」と言うようになりました。ちなみに、相撲の技のひとつ「鯖折り」は、鯖を釣った直後にエラから指を入れ、頭を上に折り曲げて鯖の鮮度を保とうとしたことに由来します。