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日本と世界の温泉事情

Bynikkansan

5月 11, 2019

 

世界の温泉事情


アメリカ


アメリカでは、西部のアラスカ山脈、ロッキー山脈、東部のアパラチア山脈など、火山帯を中心に自然の温泉が点在しています。  

中でも有名なのはワイオミング州北西部にあるイエローストーン国立公園の温泉。公園内には多数の源泉や間欠泉があります。その他、保養目的の温泉地として、カリフォルニア州のカリストガ、コロラド州のグレンウッド・スプリングス、アーカンソー州のホット・スプリングス、ウェストバージニア州のバークレー・スプリングス、ジェファーソン・プールズ、ホームステッドなどがあります。

 


ヨーロッパ


ヨーロッパの温泉地は、古代ローマの公衆浴場から、日光浴や森林浴を含めた保養地として発展していきました。ローマ帝国が滅亡した5世紀後半頃から、ヨーロッパの温泉文化は一時的に廃れましたが、15世紀頃から再び活発になりました。中でも、スイスのバーデンが王族や貴族の社交場として発展しました。16世紀には上流階級の人々を中心とした温泉逗留の習慣が始まり、ヨーロッパ各地にある温泉地巡りなども盛んになっていきました。この習慣は、その後一般庶民にも普及していきました。

【入浴よりも飲泉が一般的】  現代のヨーロッパの温泉地では、入浴用の温泉設備がある宿泊施設もありますが、お湯に浸かって楽しむという概念があまりないため、飲泉目的の利用がより一般的です。入浴用の温泉では水着を着て入るため、温泉というより温水プールのように親しまれています。有名な温泉地として、イギリスのバース、ドイツのバーデン・バーデン、ベルギーのスパ、チェコのカルロヴィ・ヴァリ、ハンガリーのブダペストなどがあります。特にハンガリーでは、古代ローマ時代から温泉文化が受け継がれています。ブダペストには、セーチェーニ温泉、ゲッレールト温泉など、温水プールのような温泉が約100カ所もあります。

 

ハンガリー・ブダペストのゲッレルート温泉


イギリス・バースのローマ式温泉場

 


韓国


朝鮮半島の伝統的な入浴方法に、汗蒸幕(ハンジュンマク)という着衣のままで入浴する蒸し風呂があります。日本のようにお湯に浸かる習慣もありますが、これは1910年の日韓併合後、日本人が朝鮮半島で温泉開発を行ったことで始まりました。朝鮮半島には火山があまりないため、非火山性温泉が一般的です。

 


台湾


台湾では、古くから先住民が温泉を利用していました。現代の温泉文化は、1894年、ドイツ人のウォーリーという人が台湾北部の北投(ベイトウ)で温泉を発見したことが始まりとされています。日本による統治が始まった翌年の1896年、大阪出身の平田源吾という人が北投温泉に「天狗庵」という旅館を建設し、その周辺には陸軍の保養所なども作られました。また、台湾の南端にある四重渓(スーツォンシー)温泉は、日本統治時代に警察の保養所として建設された温泉旅館があり、戦後の蒋介石統治時代は台湾警察の保養所として利用されていました。現在は一般人も利用できるようになっています。また四重渓温泉には、高松宮夫妻が利用したという浴槽も残されています。  

台湾では、一般に温水着を着て温泉に入りますが、日本式の温泉という意味の「日式」と表示された温泉では何も身に着けずに入ることができます。

 

北投の温泉博物館

 


ニュージーランド


ニュージーランドには、多くの火山性温泉があります。原住民のマオリ族は、古くから温泉の効能を知っており、療養目的で利用していました。20世紀初め、国中にある豊富な温泉資源を利用して滞在型の温泉リゾートを開発しようとする動きがありましたが、日本のように湿潤な気候でないことや、入植したヨーロッパの人々に入浴という習慣がなかったため、あまり発展しなかったといいます。現在のニュージーランドの温泉は、温泉プールや、スポーツやアクティビティの後に汗を流して休むための保養施設として利用されています。

 

 

写真・参考サイト:

(2019年5月8日アクセス)

・日本温泉協会 温泉名人「温泉のメカニズム」<https://www.spa.or.jp/onsen/492/>

・温泉ソムリエ協会公式サイト「全国泉質別温泉地リンク集」<http://onsen-s.com/n023-zenkokuonsenti.html>

・野添ちかこ「温泉トリビア」<https://news.mynavi.jp/series/onsen> 

・Wikipedia 「温泉」<https://ja.m.wikipedia.org/wiki/温泉>

・環境省自然環境局「鉱泉分析法指針(平成26年改訂)」<http://www.env.go.jp/council/12nature/y123-14/mat04.pdf>

 

(日刊サン 2019.05.11)