成分による違い
単純温泉
温泉水1kg中の溶存物質量(鉱物の成分など)やガス分の含有量が1g未満で、湧出時の温度が25℃以上のもの。pH8.5以上の温泉は「アルカリ性単純温泉」といいます。無色透明、無味無臭で、肌への刺激が少ないのが特徴です。単純温泉には、北海道の阿寒湖温泉、長野県の鹿教湯温泉、岐阜県の下呂温泉などがあります。
塩化温泉
温泉水1kg中にガス性のものを除いた溶存物質量が1g以上あり、陰イオンの主成分が塩化物イオンの温泉です。塩辛い味で、塩分濃度が高いものやマグネシウム含有量が多いものには苦味があります。塩化物泉には、宮城県の鳴子温泉、山形県の銀山温泉、静岡県の熱海温泉、石川県の片山津温泉などがあります。
炭酸水素塩泉
温泉水1kg中にガス性のものを除いた溶存物質量が1g以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンの温泉です。カルシウムの多い炭酸水素塩泉からは、石灰質の温泉沈殿物や析出物が生成されることがあります。炭酸水素塩泉には、青森県の八甲田温泉、長野県の小谷温泉、和歌山県の川湯温泉などがあります。
硫酸塩泉
温泉水1kg中にガス性のものを除いた溶存物質量が1g以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンの温泉です。硫酸塩泉には、北海道の登別温泉、群馬県の法師温泉、静岡県の天城湯ケ島温泉などがあります。
二酸化炭素泉
温泉水1kg中に二酸化炭素が1g以上含まれている温泉です。高温になると二酸化炭素が弱くなるため、比較的低温で入ることが多い温泉です。日本の温泉全体の0.6%でしかなく、希少な泉質です。入浴すると身体に炭酸の泡が付着するため爽快感が感じられます。天然の炭酸水として飲用にも利用されています。二酸化炭素泉には、山形県・肘折温泉郷の黄金温泉、新潟県の中小沢温泉、大分県の長湯温泉などがあります。
含鉄泉
温泉水1kg中に鉄イオンが20mg以上含まれている温泉です。色は赤褐色。温泉が湧き出して空気に触れ、鉄が酸化するためです。含鉄泉には、石川県の谷崎温泉、岐阜県の長良川温泉、兵庫県の有馬温泉などがあります。
酸性泉
温泉水1kg中に水素イオンが 1mg以上含まれている温泉で、日本各地で見られます。酸味があり、殺菌効果などがあります。酸性泉には、秋田県の玉川温泉、岩手県の須川温泉、熊本県の黒川温泉などがあります。
含ヨウ素泉
温泉水1kg中にヨウ化物イオンが10mg以上含まれている温泉です。非火山性の温泉に多く、時間が経つと茶色から黄色へ変化します。殺菌作用があり、飲用すると高コレステロール血症の改善に効果があるとされています。含ヨウ素泉には、千葉県の青堀温泉、東京都の前野原温泉などがあります。
硫黄泉
温泉水1kg中に硫黄が2mg以上含まれている温泉です。温泉の成分が固まってできる「湯の華」が多いことや、硫化水素による強いゆで卵のような臭いが特徴です。硫黄泉には群馬県の万座温泉、新潟県の月岡温泉、栃木県の日光湯元温泉、神奈川県の箱根温泉(小涌谷温泉)などがあります。
放射能泉(ラドン泉)
温泉水1kg中にラドンが30×10-10キュリー以上含まれている温泉です。この放射線量は、レントゲン写真を撮影する際よりもかなり少ない量です。ラドン泉に含まれる極微量の放射能は、痛風、高血圧、皮膚病、婦人病などの改善に効果があるとされています。飲用もされており、前記の症状の他、神経痛や関節痛の緩和を促すと言われています。放射能泉には、新潟県・五頭温泉郷(村杉温泉)、鳥取県の三朝温泉、山梨県の増富温泉などがあります。
Memo
陽イオンと陰イオン
陽イオンは、電子を放出して+の電荷を帯びた原子や原子の集合体。陰イオンは、電子を受け取って−の電荷を帯びた原子や原子の集合体。電荷とは、物体が帯びている静電気の量のことです。