■虫の珍味いろいろ
セミ(中国、東南アジア)
夏の美食
古代中国では「皇帝食」と呼ばれ、夏の美食だったセミ。高たんぱく、低脂肪で健康によいとされ、今でも中国や東南アジアで食べられています。アメリカ本土では、毎世代がきっかり13年、17年周期で成虫になり、大発生する「素数ゼミ」というセミが、アイスクリームとして販売されることもあります。日本でも、昭和末期にリンゴ園に大発生するアブラゼミを唐揚げにした缶詰が試作されていました。
エビの唐揚げに似た味
揚げたセミは、エビの唐揚げのような、ナッツのような味で、意外と美味で食べやすいのだそうです。大陸から離れた島々、ハワイ諸島にセミはいませんが、興味と勇気のある方は、夏の旅行先でセミを見かけたら、キャッチ&イートでお試しを。しかし、生では食べられませんのでご注意を…。
ハチノコ(日本、台湾、東南アジア)
アジア各地で食べられている「ハチノコ」は、クロズスメバチの幼虫です。元祖グルメ漫画の『美味しんぼ』では、ハチノコを食した登場人物が「こってり濃厚な味、ちょっとウナギの蒲焼きを思い出させる味」と感想を述べています。また、昆虫料理研究家の内山昭一さんが書いた『昆虫食入門』(平凡社新書)では、ハチノコを蒸したものを、基本の味を数値化する「味覚センサー」で計測したら、旨味、塩味、苦味などのデータがウナギの白焼きとほぼ同じだったと記されています。
ミツツボアリ(オーストラリア)
オーストラリアの砂漠地帯に生息する「ミツツボアリ」は、腹に樹液や花の蜜を溜めて運ぶという珍しい性質を持っています。先住民族アボリジニには「生きた蜜壺」と呼ばれており、古くから食用とされています。琥珀色で、飴玉のように丸く膨らんだお腹を噛み潰して食します。 こちらも『美味しんぼ』に取り上げられており、ミツツボアリを食べた登場人物は「最上のボンボンの甘さを、さらに優雅にしたような味」と語っています。
タガメのオス(タイ)
タイの屋台で見かける「タガメ」は、水生昆虫の一種で、カメムシの仲間。オスのフェロモンにはバナナ、洋梨、キンモクセイに似た香りがあり、その成分は抗ストレスや安眠に効果があるのだそうです。そのまま茹でたり揚げたりして食されている一方、香り付けの調味料として使われたり、焼酎やテキーラに漬けこんで、フェロモン薫る「タガメ酒」が作られたりしています。