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世界の民族衣装

Bynikkansan

6月 8, 2019

ポリネシア

パレオ 【タヒチ】 

パレオを纏ったタヒチの人々(1909年)

ビーチで女性がカバーアップとして使用するパレオ。その起源は「パレウ」というタヒチの女性の民族衣装。タヒチ語で、「巻きつけるスカート」を意味します。男性が腰に巻く布は「マロ」と呼ばれています。さまざまな色に染めた長方形の大布を身体に巻きつけ、余り布を縛って着ます。素材は綿が多いです。腰、首の後ろ、肩など、結ぶ部分によっていろいろな着方ができます。

 

 

 

南アジア・中東

サリー 【インド】

サリーを纏うインド人女性(1847年)

インド女性の伝統衣装のことで、サンスクリット語で「細長い布」を意味する「シャーティー」が語源です。「チョリ」というシャツと「ガーグラ」というスカート身につけた上から、細長い布でできたサリーを体を包むように巻きます。サリーにはさまざまな種類や巻き方がありますが、長さ約5㍍のサリーをペチコートに挟みつつ腰に巻き、残りの布は肩の上に回すというものが最も一般的です。さらに長い8mのサリーを使う巻き方もあります。

 

 

 

サルワール・カミーズ 【インド / パキスタン / アフガニスタン など】

サルワール・カミーズを着たアフガニスタンの少年たち

日本では「パンジャビ・ドレス」や「パンジャビ」と呼ばれています。「カミーズ」というシャツと、「サルワール」というスラックスがセットになった衣装です。 【女性】 女性はカミーズとサルワールの上から「ドゥパッター」というストールを巻き、3点セットで着用します。ドゥパッターは上半身のシルエットを隠すためのものですが、寺院などに入る時には頭を覆い、髪の毛を隠すためにも使われます。折り畳んで片方の肩にかけるなど、さまざまな着方があります。 【男性】 パキスタンやアフガニスタンの男性用サルワール・カミーズは、インドでは「パターン人の衣装」という意味の「パターニー・スーツ」と呼ばれ、女性用のサルワール・カミーズと区別されます。カミーズに合わせるスラックスには、ゆったりとしたシルエットのサルワールだけでなく、膝から足首までの部分がタイトになっていいる「チューリーダール」、裾が広がっている「ベルボトム」、下半身全体にフィットするスキニーパンツなど、いくつかの形があります。このうち、サルワールとチューリーダールはウエストが1m以上もあり、腰紐を縛って履かれます。

 

 

 

チャドル(ヒジャブ) 【サウジアラビア / イラン など】

チャドルを纏ったアフガニスタンの女性たち

全身を覆う半円の大布で、頭から被って着用します。前は下の方まで開くようになっていて、余った布は腰のあたりで留めます。伝統的なチャドルは、「ルーサリー」という頭を覆うスカーフ、「ピーラーン」というブラウス、「ドマーン」というスカートか、ズボンの上「シェルバー」というスカートとセットで着られます。さらに顔の部分をベールで覆う人もいます。

 

 

 

ターバン 【中東諸国 / インド】

4〜6世紀のアラビア人男性を描いた絵(19世紀後半)

男性が頭に巻く帯状の布で、一般に、頭の形に沿った丸い帽子を被ってから頭に巻かれます。汗を吸収したり、暑さ・寒さ対策、砂漠地帯の砂よけなどの役割があります。イスラム世界では、8世紀のアッバース朝期以降は、宗教的な敬虔さの象徴とされ、現代のイスラム教徒では、主にウラマー(イスラム教徒の知識人)やイスラーム復興を支持する人々が身につけています。インドのシク教徒も日常的にターバンを巻いており、インドでは、ターバン着用者はバイクを運転するときのヘルメットの着用を免除されているほか、軍隊に入る人には制定品のターバンが準備されています。

 

 

 

ヨーロッパ・ロシア

キルト 【スコットランド】

【古典的なフェーリア・モール】  

キルトの最古の記録は、1594年にスコットランド西岸のヘブリディーズ諸島で着られていたというもので、起源はスコットランド北西部・ハイランドの男性用衣装と言われています。古典的なキルトはゲール語で「フェーリア・モール」といい、タータンの長い大布を広げてひだを作り、その上に横になり、腰の部分をベルト、紐、ピンなどで締めて着用します。スカート丈は膝上約10cmで、現在よりもずっと短いものでした。長く余った腰上の布は、冬はそのまま下に垂らして足元を防寒したり、雨の時は頭から被ってカッパのようにしました。平時は肩にかけたり、背中にピンで留めたりと、さまざまな使い方や留め方がありました。腰に締めたベルトには、皮袋、ナイフ、「ダーク」という大振りのナイフなどを、肩掛け式のクロス・ベルトには長剣を提げていました。

 

 

【現在のスコットランドのキルト】  

キルト姿で伝統的なダンスを踊る

スコッツガーズの近衛兵たち

現在、スコットランド全域の民族衣装として着られているキルトは、膝丈のプリーツ・スカート状で、ゲール語では「フェーリア・ベック」と呼ばれています。18世紀前半から登場したもので、イングランド貴族のトマス・ローリンソンが考案したという説もあります。この新しいキルトは、着脱が簡単なことから一般化し、現在に至ります。キルトの前に提げられている革製のバッグは「スポーラン」というもので、ゲール語で「財布」を意味します。スポーランは、ポケットのないキルトには欠かせない装飾品です。

 

 

 

ルバシカ、サラファン 【ロシア】

【ルバシカ】  

ルバシカはロシア語で「シャツ」を意味します。民族衣装のルバシカは、スモック型の男女兼用シャツで、襟や袖口にはロシア風の刺繍が施されています。起源はウクライナの農民の衣装「ルバーハ」。19世紀末頃からルバシカと呼ばれるようになりました。身頃がゆったりとしていて、詰襟や前開きは脇の方にあります。裾はズボンの外に出し、ベルトを締めます。

 

【サラファン】  

サラファンを身に付けたロシア人の少女たち(1909年)

女性がルバシカの上に着る、ジャンパースカート型の民族衣装です。ゆるやかな仕立てで、ベルトや紐で腰を締めます。起源はウクライナの民族衣装で、主にロシア北部で着られていました。ちなみにロシア南部では、ルバシカに「パニョーバ」という巻きスカートを巻いたり、「ユープカ」というスカートを履いていました。16世紀頃から、農民女性たちが野良着として脛丈でシンプルなデザインのサラファンを着るようになりました。ピョートル1世(在位1682-1725)が服装令を発布する以前、貴族の女性たちは緻密な刺繍を施したワンピースのサラファンを身につけていたのだそう。晴れ着のサラファンには金襴、ダマスク織、ビロードなどが使われ、中には金糸の刺繍を施した豪華なものも。腰には美しい飾り帯が締められます。

 

 

 

 

<参考URL>

・BIG BERRY “A glimpse of traditional clothing” https://medium.com/ bigberry/a-glimpse-of-traditional-clothing-2867af61efde

・Summer Stewart “Traditional clothing around the world” https:// study.com/academy/lesson/traditional-clothing-around-the-world.html

・Alice Park “In pictures:traditional clothes around the world” https://www.roughguides.com/gallery/traditional-dress/

・明治の食育「世界の民族衣装を比べてみよう!」https://www.meiji.co.jp/ meiji-shokuiku/worldculture/costume/

・Malaika 「民族衣装」http://www.malaika.co.jp/story/traditionalitem/

・Wikipedia「民族服」https://ja.m.wikipedia.org/wiki/民族服

 

<資料写真>

Shutterstock、wikipedia他パブリックドメイン

 

 

(日刊サン 2019.06.08)