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ハワイ神話 特集

Bynikkansan

11月 25, 2016

 

ペレの物語   

【オヒアレフアの伝説】

黒い木に赤く美しい花を咲かせるハワイ固有の植物、オヒアレフアには悲しい伝説があります。昔々、オヒアという美男とレフアという美女のカップルがいました。そんなオヒアに恋をしたのが女神ペレ。美しい女性に扮してオヒアを誘惑したものの、オヒアは見向きもしませんでした。そこでペレは怒り、彼を黒く醜い木に変えてしまいました。それを知った恋人レフアは毎日その木の横で泣いていました。見るに見かねた他の神々がオヒアとレフアがずっと一緒にいられるように、レフアを赤い花に変えてオヒアの木に咲かせました。そのためこの木をオヒアレフアと呼ぶようになりました。

 

 

 

【二人の少女と老婆】  

昔々、2人の少女がパンの実を焼いているところに老婆がやってきました。「そのパンの実を分けてくれないか?」と頼むと、一人の少女は断り、もう一人の少女はそれを分け与えました。老婆は立ち去る時に、パンの実を分けてくれた少女に言いました。「帰ったら家に旗を掲げて、食物を貯めておくのだよ」。数日後、火山が噴火し、少女たちの村は溶岩流に呑み込まれてしまいました。ところが、旗を掲げていた少女の家だけは難を逃れたのでした。その老婆は女神ペレだったのです。  ……この伝説は、「お年寄りや見知らぬ人に親切にしましょう」というハワイの教えにもなっています。

 

 

ペレの妹『ヒイアカ』 フラとヒーリングの女神

火の女神ペレがかわいがっていた妹であり、フラの女神の一人。でも悲劇が起きてしまいます。姉のペレがカウアイ島の王族ロヒアウと恋に落ちます。その後、妹のヒイアカに彼を迎えに行かせました。ところがロヒアウを連れてくるまでにいくつもの困難に遭い、あまりにも時間がかかってしまいます。その間にロヒアウとヒイアカは互いに惹かれ合うようになり、ようやくペレの待つハワイ島に戻った時、恋人を取られたペレが二人を怒りの炎に包みました。ロヒアウは死んでしまい、生き延びたヒイアカはペレと決別したのでした。この物語はフラでも表現されています。

 

半身半人の『マウイ』 島々を釣り上げた力持ち

マウイの母は前述の月の女神ヒナ。父親は人間でした。末っ子のマウイは誰よりも母親思いで力持ち。少々手荒い手段を使ったものの人間を助けるためにいくつもの偉業を成し遂げました。釣りに出かけてポリネシアの島々を釣り上げ、ハワイの主要8島やハワイ島ヒロ湾に浮かぶココナツ島もマウイが釣ったとされています。また、昔は人間が腰をかがめなくてはならないほど低かった空を、マウイが両手で空を押し上げて、少しずつ高くしたのでした。この他にも日照時間が短くて、タパ作りの時にいつも困っていた母ヒナを助けるために、太陽に交渉して太陽の動く速度を遅くしたり、火の起こし方を聞き出して人間に教えたりしたのもマウイでした。

 

 

ハレアカラ・クレーター(マウイ島)

 

 

月の女神『ヒナ』 虹を渡って月へ

ハワイ語でヒナは月を意味するように、ヒナは月の女神です。半神半人マウイの母であるヒナは4大神と並んで高位の神とされています。というのも、天空の父ワケアとの間にモロカイ島を産んだのでした。またある時は4大神の一人である戦いの神クーの妻だったり、人間を夫に持ったこともあり、その際には横暴な夫から逃れるため、夜の虹、ムーンボウを渡って月へ逃げたのでした。ヒナはタパ(ハワイの布)を作ることが好きな女神としても知られています。

 

雪の女神『ポリアフ』 ペレとの対決で勝利

ポリアフは雪の女神。ハワイ最高峰のハワイ島マウナ・ケア山に住むとされています。ある日、マウナ・ケアの山腹でソリ滑りをして遊んでいたポリアフの前に、謎の美女が現れ、ポリアフに勝負を挑んできました。2回滑ってもポリアフが勝利。すると3回目にその美女は溶岩流でポリアフを妨害しました。その正体は火山の女神ペレだったのです。ポリアフは溶岩に雪をぶつけて凍らせ、溶岩を島の南端に閉じ込めました。こうしたことからペレはマウナ・ケアを支配できず、今もマウナ・ケアは死火山なのです。

 

フラの女神『ラカ』 カウアイ島に ヘイアウが残る

フラの神様として有名なのがラカです。フラを最初に踊った女神であるラカはハワイの島々を旅しながら、優美な動きやチャントを伝え、それが現代まで継承されたといわれています。カウアイ島にはラカのために捧げられたヘイアウがあり、今もこの神殿跡でフラを奉納することがあります。また、ラカは森の守り神ともされ、ハワイアンは森に入る前には彼女に捧げる祈りを唱えます。