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知識を得るだけでなく、人格形成、心身の健康、幸せな人生のためにも大切な教育。アメリカ(ハワイ)の教育システムは日本とは大きく違うところも多く、子どもを現地の学校に通わせているお父さんお母さんは戸惑うこともしばしば。そこでハワイと日本の教育の違い、ハワイの学校、アメリカの大学について基本的な情報をまとめました。

 

ハワイ州の教育

ハワイを含めアメリカの教育制度は、初等教育、中等教育、高等教育の3段階に分かれているところは日本と同じですが、日本は基本的には国が教育の方針や指導内容を決めるのに対し、アメリカの教育規定は各州によって異なります。ハワイでは、始業日や終業日、中学校や高等学校の進級学年の区切り、カリキュラムの内容などが学校によって違うことも。学校形態は公立、私立、ホームスクーリング(学校に通わず家で学習)の3種類に分けられます。

 

  日本 ハワイ
義務教育期間  6歳~15歳までの9年間 6歳~18歳までの12年間
学年 小学校6年間、中学校3年間、高校3年間の6-3-3制 小学校5年間、中学校3年間、高校4年間の5-3-4制(学校によって異なることも)

学校年度:8月1日~6月3日(2014年~2015年)

学期制:2学期制

1学期: 2014年8月1日~12月19日

2学期: 2015年1月12日~ 6月3日

※私立学校、一部チャータースクールではスケジュールが異なる場合もある。

標準的な年間授業日数:約180日(年度によって若干異なる)

就学年齢基準日:基本はその年の12月31日までに満6歳になる者は 同年の新学期に入学

 

数字で見るハワイの学校

・公立学校(小学校~高校)286校。そのうち32校は州政府から学校運営の資金を 与えられ、学校側で自由に予算やカリキュラムを組むことができるチャータース クール

・公立学校の就学者数:185,273名(2013~14年)

・私立学校123校

 

●保育園

3歳以上を対象とした“プリスクール”、また“ナーサリースクール”があり、日本の保育園にあたります。義務教育ではないため、私立の保育園が大部分で費用もかなり高めです。

 

●幼稚園

就学前の教育機関で“キンダーガーデン”と呼ばれ、期間は就学前の1年間と決まっています。義務教育ではありませんがほとんどの子どもが通っています。公立と私立があり、公立は無料で小学校と併設されています。

 

●小学校

“エレメンタリースクール”と呼ばれ、一般的には1年生から5年生まで。学校によって学年の分かれ方が異なり、6年生までの学校もあります。教科書はレンタルで、各学年の終わりに返却をするため、教科書内の書き込みは一切禁止されています。公立校の学費は無料。

 

●中学校

日本の小学6年生がハワイの中学1年生にあたり、呼称は“ミドルスクール”。通学年数は3年間。小学校と同様に教科書はレンタル。

 

●高校

高校“ハイスクール”は4学年に統一されています。日本の中学3年生がハワイの高校1年生にあたります。公立高校の入学には選抜試験はありませんが、居住する地域の学区内へ進学します。学区外の公立校へ入学を希望する場合は越境の申請を決まった期間に提出して認可を得る必要があります。単位制のため、必要な単位数を取得しないと卒業できません。

 

●大学

ハワイには、州立ハワイ大学機構(4年制大学3キャンパス、2年制コミュニティーカレッジ7校)、私立大学のハワイパシフィック大学、シャミナード大学、ブリガム・ヤング大学ハワイ校などがあります。 名門私立学校 

 

名門私立学校 プナホウ vs イオラニ

ハワイには120校を超える私立校がありますが、2大名門校といわれるのは、プナホウ・スクールとイオラニ・スクール。幼稚園から高校(12年生)までの一貫教育を行う共学校で、大学進学率は99%といわれています。各募集学年の合格倍率は毎年5~6倍以上の人気校。 

 

プナホウ・スクール

1841年に宣教師によって創設。オバマ大統領の出身校として知られるハワイ州屈指の名門私立校。マノアに位置し、76エーカー(東京ドーム7個分)の広大な敷地に建っています。幼稚園から高校までの生徒総数は約3,750名で、単独のキャンパスとしては全米で最大規模。3つの図書館、オリンピックサイズのプールなどスポーツや芸術教育施設も充実し、数多くのオリンピック選手を輩出しています。2006年に、全米一緑の多い学校に選ばれ、2008年と2009年には、プナホウのスポーツプログラムがスポーツ雑誌”Sports Illustrated”で全米38,000高校中1位に選ばれました。学費は1年に20,700ドル(各学年共通)。校風は自由で、生徒の個性や自主性を重んじる雰囲気を持っています。
所在地: 1601 Punahou Street, Honolulu, HI 96822

TEL: 808-944-5714 または 808-944-5715

E-mail: [email protected]

HP: http://www.punahou.edu

 

イオラニ・スクール

1863年に創設され、1870年にクイーン・エマによりイオラニスの名前を与えられた伝統校。幼稚園から高校までの1,800人余りの生徒が在籍しています。毎年数多くの生徒をアイビー・リーグへ進学させることで知られ、医者、弁護士、政治家などの卒業生を輩出。学費は1年に20,900ドル(各学年共通)で、プナホウとともにアメリカでも高い学費の学校にランクインしています。アラワイを挟んだワイキキの向かい側に位置し、校風は勉学に励むと同時に、スポーツ活動も盛んに行われています。
所在地: 563 Kamoku Street,Honolulu, HI 96826

TEL: 808- 949-5355

E-mail: [email protected](link sends e-mail)

HP: http://www.iolani.org/

 

・私立校へ入学するには!?

プナホウやイオラニを受験するチャンスは限られていて、基本的には9年生以降は欠員があった場合の補充のみというのが現状です。
例:イオラニ・スクール 入学可能学年:幼稚園、6~9年生

①オンラインで申し込む。申し込み期限は、入学の前の年の12月1日(9月入学)

②SSAT(SECONDARY SCHOOL ADMISSION TEST)を最低1回受験し、 その点数を送る

③在学中の学校の成績表を提出する

④2人の先生からの推薦状を送る

⑤キャンパスで個人面接 (オアフ島以外に住んでいる人は、エッセイで代替できる)

 

アメリカの大学入試

アメリカの大学入学についての規定は統一されていませんが、日本の大学入試のように、一斉に学力テストを受け、合否が決まるということはありません。各大学が定めた入学要件によって入学者が決定され、多くの大学が高校の成績や標準テストのSATやACTの点数、小論文の提出を求めています。最近の傾向は、学業に加えて課外活動や人格の評価に重きを置き、課外活動に積極的に参加したり、スポーツや生徒会でリーダーシップを発揮したり、ボランティアなどの活動が評価につながるとされています。

 

【選考時期】

大学入学の時期は一般的には9月です。選考は通常、高校の最終学年(12年生)の11月(前期)から、翌年の2月までに願書を提出します。合格通知は、入学年の3~4月に行われます。最近は、一部の入学枠について通常よりも数か月早く願書を受け付けて、早く合格を通知する早期入学者決定制度(early admission)を実施している大学も多くあります。

 

【アイビー・リーグとは!?】

アイビー・リーグとは、アメリカ北東部に所在する私立大学8校(ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス大学、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、イェール大学)からなる連盟です。その歴史は古く、最初に設立されたハーバード大学は全米でも最古の大学で、1636年に創設されました。“アイビー・リーグ”の名前の由来は諸説あり、卒業記念に校庭にツタ(アイビー)を植える習慣から、校舎がそのツタで覆われていることが多いためともいわれています。 

【アイビー・リーグへ入学するには】

アイビー・リーグは、全校がU.S. News & World Report誌の大学ランキングで常に15位以内に入り、世界各国から優秀な学生が集まる学校です。各学部の入学は超難関とされ、合格率は6~18%(2015年)。

 

◆SAT (Scholastic Assessment Test) 大学入学にあたり、高校による学力差や、学校によって異なる成績評価基準の問題を解決すべく、4,500校余りの高等教育機関からなる大学評議会が1901年に導入した標準テスト。試験は1年間に7回実施され、繰り返し受験することができます。その中から提出したい高得点のテスト結果を選んで大学に提出できます。教科はCritical Reading(読解)、Writing(英作文)、Math(数学)で、2400点満点。回答は基本的にマークシートによる多肢選択方式。いわゆる引っ掛け問題や超難題も出されます。2016年に大幅な改定が予定されています。

◆ACT (American College Test) SAT同様のテストで、アメリカ大学テスト事業団が実施。テストは英語、数学、読解、科学的推論の4領域で、高校での学習成果を測定することを目的としています。回答は基本的にマークシートによる多肢選択方式。テスト実施は1年に7回で、受験回数に制限はありません。アイビー・リーグ以外でもほとんどのアメリカの大学が進学にSATかACTのいずれかのテストの点数の提出が義務づけています。

◆GPA (Grade Point Average) 高校での成績。「A」、「B」、「C」評価。アイビー・リーグ入試にはオールAが基本とされています。

◆エッセイ (パーソナル・ステートメント) 合否に大きく関わりますが、その基準は明らかにされていません。応募資料の内容を裏付け、その説得力を持ち、オリジナリティのある内容が担当者の心を揺さぶるという合格者の声も。

◆課外活動の実績 スポーツ、芸術活動やそれに伴う賞の受賞、熱心なボランティア活動、リーダーシップを発揮した経験など。スポーツが得意で芸術に造詣が深いのは魅力的な資質とされています。

◆面接 アイビー・リーグが求める資質を伝えることが重要と言われますが、各大学によって合否の基準が違い、対策が立てづらいのが現状です。

《その他評価に有利とされる要素》

◆サブジェクトテスト 科目別テストのことで、英語、アメリカ史、数学、生物、化学、物理、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、日本語、韓国語などの科目があります。アイビー・リーグではこれらのスコアの提出を求めます。

◆APテスト (Advanced Placement ) 成績上位者が高校で履修でき、大学の一般教養に相当するクラスをAPクラスといいます。APクラスで学習後に受験するのが全米統一のAPテスト。公立校ではAPクラスがない学校もありますが、APクラスを受講しなくてもAPテストは受けられ、その成績は大学が入学審査にあたり、高く評価します。

◆PSAT SATの模擬として受験するテストで実施は1年に1回。全国優秀学生の奨学⾦を申請するためのテストで、11年生で受験して240点満点のうち215点以上を取ると奨学金申請枠に入れます。(10年生でも受けられますが奨学金にはつながりません)。

 

IVY PREP ACADEMY

サン・リー塾長のアドバイス!

大切なのはタイムマネジメントです。誰でも与えられている時間は1日24時間。学校で先生の言うことを聞いて授業に集中して、宿題はしっかりしましょう。そして予習復習も頑張りましょう。こうした毎日の積み重ねがとても重要です。時間をうまく使える生徒は全員が必ず成功しますよ!

25年以上の数学指導の経験を持ち、ホノルルの高校で校長を務めた経歴を持つサン・リー塾長が開校した進学塾。対象は幼稚園から12年生まで。少人数制で個人の能力に合わせて学力を向上させ、アイビー・リーグをはじめ難関私立大学へ多くの塾生を合格させている。プナホウやイオラニ・スクールなどハワイの有名私立校への受験対策塾としても定評がある。

「無料体験実施中です」

☎︎772-2533(代表)
☎︎721-5426 (日本語でメッセージを お残し下さい)1522 Makaloa St. #221 (マカロアプラザ2階)www.ivyprepacademy.net

 

〜お母さん インタビュー アイビー・リーグ 受験に向けて〜

9年生でハワイに引越し、公立高校に通う11年生の息子さんを持つセレナさん。息子さんの成績はオールAをキープ。学校の授業、宿題、部活動以外に、7~8種類のクラブ活動を行い、週末はボランティア活動に勤しむ他、進学塾IVY PREP ACADEMY に通い、来年はアイビー・リーグやケンブリッジ大学などを受験するといいます。そんな息子さんの教育とハワイの教育についてお話を伺いました。

 

・私立ではなく公立高校を選んだ理由を教えてください。

スペインからハワイへ引っ越して来たのですが、それが9年生の時。行きたかった私立校は欠員の補充しか行わない学年だったので、受験はできませんでした。

 

・日本とどんなところが違うと感じていますか?

勉強も宿題もすべてコンピューターを使うところです。オンライン上で先生のウェブサイトに入って先生とやり取りをしたり、そこから課題を得たり、コンピューターありきですね。宿題の量も日本よりかなり多いです。それから日本では暗記中心の勉強が多いですが、アメリカでは暗記するだけの勉強法では点数は取れません。本や問題を読んでエッセイを書くのが主流です。ティーチング・アシスタントといって、先生のアシスタントとして授業のサポートをするというのも日本にはないシステムですよね。これは限られた生徒さんしかできませんが、単位ももらえるんですよ。

 

・息子さんの1日のスケジュールを教えてください。

朝学校に行って授業を受けて、放課後はロー・ソサイエティ、スピーチ&ディベート、演劇、ナショナル・オナー・ソサエティ (NHS) のリーダーシップ養成のための活動など、曜日ごとに予定があります。帰宅は夜8時頃です。もちろん遊ぶことも欠かせませんし(笑)、宿題も必ず完璧に終わらせるので、結局就寝時間は午前3時頃になっています。

 

・部活動はしていますか?

息子はサッカーが大好きなのですが、部活動は日本の高校と違うんです。日本では入学時に一つの部に入り、基本的には3年間所属しますが、アメリカでは各スポーツごとに2~3ヶ月のシーズン制となっていて、部活動もシーズンごとで変わります。サッカーのシーズンの時はもちろんサッカーをしていますよ。

 

・アメリカの高校でよかったと思うことを教えてください。

勉強の手段として、パワーポイントなどのコンピューターの使い方を自然に覚えるなど、社会に出てすぐに実践できるスキルが身に付くこと。それから教科を自分で選べ、能力があれば上の学年の授業も取れるので、頑張る分だけそれに応える環境が整っているのもいいところだと思います。

 

・逆に気になるところはありますか?

日本では教室や廊下の掃除を生徒がしますし、給食も当番で自分たちで配りますが、アメリカはそれぞれのスタッフの方がされるんですよね。自分たちの教室を自分で掃除をしたり、給食を自分で配膳するというのも教育としてあってもいいのかなと感じます。

 

・優秀な成績を取る子育てのコツを伝授してください!

小さな頃から英語と日本語で毎晩読み聞かせをしていました。プリスクールに入る頃になると自分でも読むようになり、とにかく読書が大好きなんです。読解力はアメリカの教育の中において、とても重要だと思います。最初は興味があるものならなんでもいいので、本が好きになることはよい成績にもつながると感じます。

 

・最後にハワイのお母さんたちに一言お願いします。

転校をお考えのお母さんにお伝えできるのは、公立高校へ進学する場合、ハワイは学区で学校が決まるので、最初に行きたい学校を調べてその学区に住むという決め方もよいと思います。というのも、その地域の特色によって学校の雰囲気や施設、また教育水準も大きく違います。また、私立高校へ入れるタイミングも決まっているので、選べるなら引越し時期も考えるといいですね。

 

 

取材協力:SAT/SSAT受験対策【IVY PREP ACADEMY】
参照:外務省ウェブサイト http://ivysuccess.com/index.html