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ホリデーシーズン、特にクリスマスの時期は、あちこちで募金活動や、チャリティ活動が行われます。恵まれない子ども達にもクリスマスのギフトを提供しよう、美味しいお料理が食べられない人にお料理を恵もう、義援金を募ろうなど、さみしい思いをしている人たちに手を差し伸べよう、『Give(与える)』する行為が増えるチャリティ活動のピークシーズンでもあります。そもそもなぜ、アメリカではこのようなチャリティ活動が根付いているのでしょうか?
日本でクリスマスはいつから祝われるように?
1552年に、現在の山口県山口市にいた、カトリック教会の宣教師、コスメ・デ・トーレスが、日本人の信徒を集めて、降誕祭のミサを行ったのが日本で初のクリスマスでした。その後、江戸幕府の禁教令によりキリスト教は禁止されたので、その後、200年以上の間、クリスマスが日本で受け入れられることはありませんでした。 明治時代、1900年に明治屋が銀座にオープン。その頃から日本でのクリスマス商戦が活発に始まりました。大正時代には、子ども向けの雑誌にクリスマスにまつわるストーリーや挿絵が多く紹介されるように。昭和になると、12月25日が大正天皇祭として祝日になったことから、日本でクリスマスの習慣が広く普及するようになりました。
戦後は、法律改正により、大正天皇祭が休日として外されましたが、その後も25日はクリスマスとして、日本の年中行事に定着しました。毎年、クリスマスツリー、サンタクロース、クリスマスケーキなどが当たり前になり、街中がクリスマスイルミネーションで華やかに飾り付けられるように。クリスマス商戦の流れで、家族の行事というよりもカップルの行事になったという側面も。やはり本場のキリスト教圏と比べると、規模や意味は、ちょっと違った解釈をされているという指摘もあります。
アメリカでのチャリティ活動
アメリカでは積極的にチャリティ活動や寄付を行う人たちが多いものです。ハワイもアロハスピリットが根底にありますので、一般のアメリカ人に増して、人を助ける気持ちは強い場所なのは間違いないでしょう。しかし、アメリカ人がこのように積極的に寄付をするのは、慈善事業が課税控除の対象となるため、節税対策のために行なっているのでは?といった考えをする人もいます。
またクリスマスに増えるのは12月が1年の決算の時期だからといったことを言う人もいます。果たして、本当にそうなのでしょうか? いえ、それは一部の人たちの考え方であって、実際は、その根底にキリスト教の宗教的な価値観があるからなのです。 例えば、キリスト教の聖書の中には、貧しい人々に対して寄付をすることが神の祝福につながるものであり、寄付は他人に強制されていやいやするものではなく自主的にやることであるといった言葉が書いてある部分があります。そのせいもあって、昔からアメリカでは教会や慈善団体に寄付をする習慣があります。ただ、大富豪が数億ドルという寄付をしたというニュースが出ると、寄付はお金がある人がやることだと考えてしまう人もいるようですが、決してそうではなく、貧しい人は貧しい人なりにできることをしたり、お金持ちはお金持ちなりにそれ相当の寄付をすれば良いというのが、一般的な考えです。
キリスト教の根底にある、困った人へ救いの手を差し伸べるという考え方は、寄付だけでなく、チャリティ活動、ボランティア活動など、様々な奉仕活動をすることにも及んでおり、小さな頃からアメリカ人は学校の活動の一環としても、積極的にボランティア活動をしたり、チャリティ活動に参加することを体で学んで育っていきます。
日本では、まだ慈善活動が一部の人のやることと考えたり、売名行為と誤解されることも今だに多いのが事実です。例えば、2015年の寄付データによると、アメリカの寄付の総額が27兆円であることに比べ、日本は7409億円。アメリカの2.7%という金額です。それを知るだけでもいかに日本が慈善活動に関して世界から遅れをとっているかがわかります。日本の社会では「働かざる者食うべからず」という言葉があるように、自分の努力が足りないならもっと努力しなくてはならないと考える社会で、自分にも他人にも厳しいというのが現状のようです。
日本とアメリカでは文化や社会的な構造が違いますので、何が正しいとは一概に言えませんが、寄付やチャリティ活動することは、欧米では名誉ある行為であると認知されています。クリスマスの時期に行われているチャリティ活動や募金活動はたくさんありますが、自分でその団体がどのような活動をしているかしっかり調べることも大切。今年のチャリティシーズンは、納得のいく団体やコミュニティに貢献してみては?
アメリカで有名なクリスマスのチャリティ活動をする団体
Toys for Tots (トイズフォートッツ)
1947年にロサンゼルスの海兵隊のビル・ヘンドリックス少佐が、個人的に、5000個のおもちゃを購入し、恵まれない子ども達に無料でプレゼントしたことから始まった米海兵隊運営による慈善プログラム。翌年には、全国的な活動となり、いまではアメリカ人だったら誰でも知っている団体です。この団体の目的は、包装されていない新しいおもちゃをコミュニティから回収して、クリスマスのギフトとして恵まれない子ども達に配ることです。この活動を通して、子ども達に感謝の気持ち、慈善の心、そしてチャリティの精神を教えていくことが目的という大変価値のある活動です。おもちゃのドロップオフ期間は10月から始まり、12月まで回収されます。現在は、世界的な活動となり、毎年700万人以上の恵まれない子ども達に、2000万個以上のおもちゃが配られています。
ハワイのオアフ島のトイズフォートッツの活動では、昨年30000個のおもちゃを集めるというゴールを上回り、36000個のおもちゃが回収できて、23000人以上の恵まれない子ども達におもちゃを配ることに成功しました。オアフの回収期間はすでに始まっていて、12月7日まで。自らおもちゃを集めるポイントとして活動することもできます。おもちゃのドロップオフロケーションや、担当者のリストは下記のリンクを参考に。
Operation Christmas Child(オペレーションクリスマスチャイルド)
オペレーションクリスマスチャイルドは、戦争や飢餓、貧困の直面する地域でたくましくサバイバルしながらいきている世界中の子どもたちのために、普通のシューボックス(靴箱)いっぱいに入れたクリスマスプレゼントを届けようというプロジェクト。それを受け取る子どもたちのために祈りを捧げます。
この活動に参加する場合は、世界の子どもたちにプレゼントを送る際の送料も、($9)義務として寄付する必要があります。このプログラムの素晴らしいところは、サマリタンの活動ということもあって、プレゼントを受け取った子ども達がその後、12週間のバイブルスタディにも招かれるというところ。人生が変わると大変好評なプログラムです。
2017年のドロップオフは終了してしまいましたが、来年は11月12日〜19日まで。ハワイでは活動がなく、一番近いエリアはカリフォルニアとなっています。
Make-A-Wish Foundation (メイクアウィッシュファンデーション)
メイク・ア・ウィッシュ・ファンデーションは、1980年にアメリカのアリゾナ州で始まったボランテイア団体で、その目的は難病と戦う子ども達のお手伝いをすることです。始まったきっかけは1980年のこと。アリゾナ州に住んでいたクリス君という7才の少年が白血病と戦っていました。彼はどうにか元気になって、大きくなったら白バイの警官になりたいという夢がありました。そこで、警察官たちが、彼のために新品の制服など装備を全て用意し、彼を名誉警察官に認定。ミニバイクもプレゼントされ、実際に取り締まりやパトロールにも行き、その様子は全米のテレビで放映されました。その夢がかなった日からわずか5日後、クリス君は他界してしまいましたが、これがきっかけに、メイク・ア・ウィッシュ(願いを叶える)基金が設立されたのです。アリゾナ州から始まったこの団体は、現在、全米のほぼ全ての州に支部をもち、世界では30カ国以上で活動をしています。
クリスマスの時期は、この団体が多くの企業とパートナーシップを組み、様々な活動をしています。例えば、メイシーズに子どもがサンタへの手紙をドロップオフすると、お店が1ドルメイクアウィッシュファンデーションに寄付するといったシステムや、ディズニーストアで買い物したり、車をレンタルしたり、車を購入したり、飛行機の予約をしたりすると自動的にその一部が寄付されたり、トイザらスで子どもにクリスマスのギフトのウィッシュリストを登録させると、お金が自動的にトイザらスからメイク・ア・ウィッシュに寄付されたりと、いろんなプロモーションを行っています。
My Two Front Teeth and the Family Giving Tree
(マイトウーフロントティース・アンド・ザ・ファミリーギビングツリー)
メベイエリアを中心に活動しているチャリティー団体。学校で使う文房具など必要なものを子ども達に配布するためのプログラムで、寄付しても、自分がコミュニティの代表として募金活動をしてもオッケー、そのような活動でのボランティア活動するのも歓迎。色々な参加の仕方があります。
32000人の子ども達に、パックパックに必要なものが全部揃ったものを届ける、Back to School Driveといった活動もしています。今年のホリデーウィッシュドライブがいまも受付中で、寄付はホームページから可能。最低額の設定が35ドル。35ドルあると1人の子どもが学校に通うために必要なものが全て揃うそうです。
Angel Tree (エンジェルツリー)
エンジェルツリーは、親(少なくとも母か父のどちらか一人が)監獄に入っている子どもに、クリスマスを楽しませてあげようというプログラムです。ホームページによると、全米で収監されている囚人の3人に1人に子どもがいて、更に75%の女性の囚人は母親なのです。現在、アメリカにはそのような状況の子ども達が、270万人もいるのだとか。
エンジェルツリーの目的は、そんな環境にいる子ども達へクリスマスプレゼントを提供し、そしてゴスペルを聞かせてあげるということです。1982年、自ら、過去に囚人であった人が、罪のない子ども達に何かできないかと考え出しスタートしたプログラムなのです。
このプログラムを通して、囚人は、自分の子どもにプレゼントしたいものをローカルの教会のボランティアを通して、子どもに渡すことができるんです。そしてそのボランテイアは、教会のゴスペルを子どもにプレゼント。その後、大抵、教会ではその子どものためにクリスマスパーティをして一緒にご馳走を食べたりすることもあります。寄付はオンラインですることができます。