日刊サンWEB

過去記事サイト

Dr. 吉木の美容塾 | Vol.2 これが鉄壁の紫外線対策

日焼け止めの中で安全で有効な成分は2つだけ?!

日焼け止め成分には大きく分けて2つの種類があります。ひとつは紫外線散乱剤physical sunscreenというもので、紫外線を鏡のようにはね返します。もうひとつは紫外線吸収剤chemical sunscreenというもので、紫外線を吸収する化学物質です。  

 

現在、米国では、16の物質が日焼け止め成分として認可されています。それらのうち、2つの成分のみが安全で確実に紫外線を防ぐと認められ、その成分とはすなわち酸化亜鉛(zinc oxide)と二酸化チタン(titanium dioxide)であるとFDAは述べています。 これら2つの成分はいずれも、紫外線散乱剤です。金属を白く細かい粒子にしたもので、紫外線を鏡のようにはね返します。前記のパウダーファンデーションにも入っています。  

 

これらは金属の粉なので、化学物質(紫外線吸収剤) に比べると、皮膚から吸収されにくく、また、長時間、汗や紫外線にさらされても効果が下がりにくいといえます。敏感肌用の日焼け止めによく使われているゆえんです。

 

 

FDAの日焼け止めに対する見解

PABAは使用すべきでない

日焼け止め成分として長く使われてきた二つの成分、para-aminobenzoicとtrolamine salicylateについては、有効で安全だとはいえず、今後使用すべきでないとFDAは述べています。その他の12の成分については、安全で有効であるかの検証を再度行う必要があるとしています。 スプレー、シート、パウダータイプの 日焼け止めはNG  

 

これらの形のものは、十分な量を肌につけることが難しく、効果が疑問視されます。FDAとしては、効果に関する新たなデータを出さない限り、日焼け止め商品として適切であると認めないとの見解です。これらの商品は手軽で使いやすいものが多いですが、やはり、日焼け止めは、ローションかクリームタイプのほうが安全です。

 

虫よけスプレーなどに配合してあるものもNG  

虫よけスプレーに日焼け止め成分を混ぜて、両方の効果をうたう商品がありますが、混ぜた場合に有効であるかはわからないので、FDAはそこをきちんと検証してデータを出さない限り、今後は認めないとしています。

 

高すぎるSPF表示もNG

SPF100というととても高い効果を期待します。しかし、SPF50、80、100・・それらの数字ほどの違いが本当にあるのかは、疑問視されています。それらの日焼け止めが、それぞれ紫外線を何%カットしているかを測ると、大きな違いはないともいわれます。 それらの数字合戦は消費者に誤解を与えるため、FDAは、日焼け止めのSPF表示を原則60+(60以上※)まで、最大でも80までとする方針を打ち出しています(日本では50+までとなっています)。

 

※SPF60+とは60以上という意味。60以上になるとあまり効果に差はないので、まとめて60+と表記すればよいという考えに基づく。

 

UVAに対する効果が必要  

みなさんはSPFの数字から日焼け止めの効果を判断するでしょう。しかし、SPFは、UVBを防ぐ効果を示しているものです。broad spectrumの表示があったとしても、UVAにどこまで効果があるかはわかりません。  

 

UVBを浴び過ぎれば、皮膚が赤くなって痛くなるので、浴びてしまったことがわかりますが、UVAはそのような変化を起こさないので、浴びていることが本人にわかりにくいという問題があります。高いSPFの日焼け止めを塗っていれば、UVBは防がれるので皮膚は赤くなりにくいですが、かえって、知らないうちにUVAを浴びてしまう危険性があります。 UVAのほうが、皮膚の老化や発がんのリスクが高いといわれるので、より注意が必要です。  

 

FDAとしては、高いSPFの効果をもちながらUVA防止効果が低い日焼け止めは、逆に皮膚がんのリスクを高めるため危険であるとしています。すなわち、UVB防止効果がある日焼け止めは、UVAに対しても同じ程度の効果を持つものでなければならないということです。今後、そのような方向性で日焼け止めの認可を見直す動きが出ています。

 

 

ハワイではサンゴを守るため、世界初の日焼け止め規制

日焼け止めの成分のうち、oxybenzoneとoctinoxyateの2つが珊瑚に有害であるといわれます。これらを含む日焼け止めをハワイでは2021年1月1日から販売禁止にすることが決まりました。米国で売られている日焼け止めのうち3500種類がこれを含んでいたため、国内外で、ちょっとした騒ぎになりました。  

 

この2つの成分は、いずれも紫外線吸収剤です。これらが特に人体に対して有害ということではなく、あくまで珊瑚に対して有害ということです。  

 

ただ、ハワイ州全体で「売ってはならない」ということであり、使用が禁止されるわけではありません。アメリカ本土もしくは国外からハワイに持ち込んだり、それをハワイで使用することは認められています。