シミは、シャツについた 飲み物の色ジミとは違います
初めまして、吉木伸子です。ハワイが好きで家族でよく来ています。ハワイにいる時は朝から水着の上にラッシュガードを着て、子どもと泳ぐ時はラッシュガードのまま泳ぎ、お昼ご飯で部屋に戻っても、ラッシュガードのまんま。いつの間にか乾いてしまうので、朝から晩までラッシュガードで直射日光を遮断しています。
ハワイも夏本番、陽ざしが強まる季節の到来です。紫外線はシミやシワなど、肌老化を一気に加速させます。あなたはどんな紫外線対策をしていますか? 戦うにはまず、敵を知れ! 紫外線対策をするためには、シミ・シワについてよく知ることが第一歩になります。“シミ”とか“シワ”をいつも口にする割に、お肌を気にする女性でも、メカニズムをよく知らない人がほとんどです。 「シミとは、肌にメラニン色素がたまったもの」。そんな風に考えていては、シミ対策はできません。顔のシミは、白いシャツにコーヒーのシミがついたのとは違うんです。
部屋の模様替えをする時に、ソファを動かしたら、カーペットの色が変わっていた−−、そんな経験が誰しもあるでしょう。顔のシミ・シワは、そういう変化に近いものです。何年も日光に当たり続けるうちに少しずつ色が変わり、質感(texture)も変わる。カーペットは、知らないうちに色がくすみ(fade)、表面のフワフワ感も失われてしまいます。ソファの下にあった部分とは、くっきり、境界線(border)がついてしまっているでしょう。これはカーペットの光老化。顔のシミも、それと似たものです。
シミやシワ、 光老化のメカニズムを知りましょう
繰り返し日光が当たることで、肌は、奥のほうからすべて変化していきます。 肌の細胞(skin cell)は、日光によって細胞そのものが老化して、形がいびつ(bulky)に大きくなり、細胞の色も濁って(darkend)いきます。この、異常な肌細胞が集まった部分がシミとして見えます。単にメラニン色素がたまったものではないのです。
さらに、肌の奥の真皮(derm)では、コラーゲン線維が減り、代わりに、本来なかった異常なタンパク質ができてきます(solar elastosisといいます)。これにより肌は硬く、革製品のようになり、深いシワが刻まれます。肌表面に白や茶色のイボができるのも、多くが日光による変化です。毛細血管(small veins)も開いて、肌の表面から血管が浮き出て見えます。このような、日光による肌老化をすべてあわせて光老化(photo aging)といいます。まさに、カーペットが日光を受けて色や質感が変わるのと似ています。このような肌の光老化は、カーペットの日焼けと同じで、毎日少しずつ進んでいきます。
日焼けは消えても、 真皮の老化の記憶は消せない
ではここでクイズです! 買って一週間しか経っていないカーペットがあります。新品と、色は変わりません。
ではこのカーペットは、新品と全く同じ色でしょうか。 答えはNO。ミクロの目で見れば、例えば色を正確に測る機械のようなもので測れば、一週間前の新品と色は違うはずです。 光老化とは、そういうミクロの、見えない変化の積み重ねだと考えてください。海で真っ黒に焼いたからシミができるのではなく、曇りの日も、窓越しの弱い日光も含めて、すべての紫外線が積み重なって、光老化は進みます。
また、カーペットの変化と同じで、基本的に、一方向にしか進みません。行ったり戻ったりするものではないのです。今年の夏は日焼けしてしまったから、あとのケアを頑張らなくちゃなどという人がいますが、それはあとの祭り。一度焼いたものは、元に戻すことはできません。日焼けの色はしばらく経つと消えていきますが、肌の奥に、老化の記憶はしっかり刻まれてしまっているのです。
ではシミを作らないために どうしたらいいか!?
それは、カーペットの色があせないように守るのと同じ。日に当てないこと。紫外線を遮断することがなにより大切です。100ドルの美白化粧品より、10ドルの帽子。そちらの方が、よほどシミを防いでくれます。
私は東京にいる時も一年中つばの広い帽子をかぶり、服は長袖、手の甲も手袋でカバーし、紫外線を遮断しています。色は黒が一番紫外線を遮断するので、全身黒子のブラックパンサーです。いつもの通勤スタイルを娘が撮ってくれたのですが、「ママはいつも黒い服ばかりで、おしゃれできなくてヘンだよね」と辛口コメントを添えられてしまいました。
シミは英語で、色々な呼び方をされます。 age spot、brown spot、 dark spot、 senile lentigo(老人性ほくろ)、 senile freckle(そばかす)、 liver spot(そのまま訳すと肝斑ですが、英語では、liver spotは肝斑でなく、日光でできたシミを指します。女性ホルモンの影響でできるいわゆる肝斑は、melasmaもしくはchloasmaと呼ばれます)
ちなみに日本では、紫外線=シミというイメージが強いですが、欧米では、シミは光老化の一部ととらえます。光老化には、先に述べたように、シミ以外に、キメの乱れ(coarse skin)、深いシワ(furrows)、たるみ(sagging)、イボ(papules、大きめのものはnodules)、血管拡張(telangiectasie)などが含まれます。
シミができた部分の皮膚を切り取って顕微鏡で拡大して見ると、変形した表皮細胞が積み重なり、その下に、メラノサイト(メラニン色素を作る細胞)が増えています。繰り返し日光が当たると、メラニンをつくるメラノサイトの数が増えてしまうのです。これでは美白化粧品でメラニンを抑えても、なかなか間に合いません。